↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WAY HOME ――行き場をなくした僕らの、小さな食卓――  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/105

任せるということ



⸻


前書き


人は、


「任せる」


と言われた時が一番緊張する。


信用されるというのは、


嬉しい反面、


少し怖い。


第45話です。


⸻


第45話 任せるということ


翌日。


高架下の事務所。


朝十時。


珍しく全員が集まっていた。


ホワイトボード。


今日は路線図ではない。


大きく一行だけ。


【作戦会議】


⸻


木戸が見る。


「文化祭?」


⸻


「違う。」


敦が答える。


⸻


「説明会。」


⸻


空気が少し静かになる。


⸻


前原。


川本。


黒岩。


桜井。


佐伯。


全員揃っていた。


⸻


前原は煙草を灰皿へ置く。


「まず確認だ。」


⸻


「乗り込む訳じゃねぇ。」


⸻


「喧嘩もしねぇ。」


⸻


「正義の味方もしねぇ。」


⸻


木戸。


「え。」


⸻


「じゃ何すんの?」


⸻


前原。


「見る。」


⸻


「聞く。」


⸻


「帰る。」


⸻


全員。


「……」


⸻


木戸。


「地味。」


⸻


「一番大事だ。」


桜井が静かに言う。


⸻


「証拠がない。」


⸻


「だからまず知る。」


⸻


佐伯も頷く。


「行政も同じです。」


「事実が必要なんです。」


⸻


その時。


陸が手を挙げた。


「俺行けます。」


⸻


翔太も。


「俺も。」


⸻


敦は黙っていた。


⸻


前原が見る。


⸻


「敦。」


⸻


「はい。」


⸻


「お前も行け。」


⸻


敦が少し止まる。


⸻


「俺……ですか。」


⸻


「一番近かった。」


⸻


「……。」


⸻


「だから分かる。」


⸻


静かになる。


⸻


敦は少し考えた。


⸻


そして。


⸻


「……分かりました。」


⸻


前原はそれ以上言わなかった。


⸻


そこへ。


⸻


「ちょっと待った。」


⸻


藍だった。


⸻


全員見る。


⸻


「危なくない?」


⸻


前原。


「危ない。」


⸻


「じゃあ。」


⸻


「だから俺らもいる。」


⸻


藍はまだ納得していない。


⸻


ますみも。


⸻


翔太を見る。


⸻


翔太は笑う。


⸻


「大丈夫。」


⸻


でも。


⸻


その笑顔。


⸻


少しだけ硬かった。


⸻


⸻


その空気を壊したのは。


⸻


グエンだった。


⸻


「ワタシモイク!」


⸻


全員。


⸻


「ダメ。」


⸻


即答。


⸻


「ナンデ!?」


⸻


「お前絶対喋る。」


木戸。


⸻


「ソウ!」


⸻


「認めるな!」


⸻


爆笑。


⸻


⸻


少し空気が軽くなる。


⸻


その時。


⸻


詩織がカメラを置いた。


⸻


「じゃあ。」


⸻


「帰ってきたら。」


⸻


「みんな写真撮ろう。」


⸻


「え?」


藍が聞く。


⸻


「今を残そう。」


⸻


「成功しても。」


⸻


「失敗しても。」


⸻


「この時間は戻らないから。」


⸻


静かになる。


⸻


奈々恵が笑う。


⸻


「いいね。」


⸻


「集合写真。」


⸻


ますみが少し笑う。


⸻


「まだ早い。」


⸻


「そう?」


⸻


「もう少し。」


⸻


「増える気がする。」


⸻


その一言で、


部屋が静かになる。


⸻


前原が小さく笑った。


⸻


「……そうだな。」


⸻


その笑顔は。


⸻


誰にも見られていなかった。


⸻


⸻


会議が終わる。


⸻


翔太は外へ出た。


⸻


一人。


⸻


高架橋の下。


⸻


深呼吸する。


⸻


怖い。


⸻


正直。


⸻


またあの世界を見る。


⸻


また思い出す。


⸻


でも。


⸻


後ろから声がした。


⸻


「翔太。」


⸻


振り返る。


⸻


ますみだった。


⸻


無言で。


⸻


小さな封筒を渡す。


⸻


「?」


⸻


開ける。


⸻


中には。


⸻


笑花の小さなイラスト。


⸻


裏には、


たった一行。


⸻


『ちゃんと帰ってきて。』


⸻


翔太は少し笑った。


⸻


「うん。」


⸻


「帰ってくる。」


⸻


ますみは照れ臭そうに頷く。


⸻


「約束。」


⸻


「約束。」


⸻


遠くで電車が通る。


⸻


高架下に、


いつもの音が響く。


⸻


でも。


⸻


誰も知らなかった。


⸻


この約束が、


これからの物語で、


翔太にとって一番大切な約束になることを。


⸻


後書き


第45話でした。


今回は「戦う準備」ではなく、


「信じて任せる準備」の回です。


そして、ますみが翔太に渡した小さなイラスト。


これは恋愛ではありません。


「居場所へ帰ってきてほしい」


という、仲間としての約束です。


次回、第46話からはいよいよ、


敦・翔太・陸の三人が説明会へ向かう潜入編が始まります。


一方で、前原・川本・黒岩・桜井は、少し離れた場所から彼らを見守ることになります。ここから物語は、静かな緊張感をまといながら次の章へ進んでいきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。