消えた居場所
前書き
人には、
人生を変えた場所がある。
学校かもしれない。
職場かもしれない。
誰かの家かもしれない。
でも。
その場所が残るとは限らない。
第37話です。
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第37話 消えた居場所
「これさ」
木戸が写真を見ながら言った。
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「普通にヤバくね?」
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誰も否定しなかった。
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高架下の事務所。
夜。
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机の上。
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黒岩が持ってきた資料。
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写真。
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契約書。
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求人広告。
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SNSの募集画面。
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どれも一見すると普通だった。
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むしろ。
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親切そうだった。
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『未経験歓迎』
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『住居完備』
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『仲間と夢を叶えよう』
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『人生をやり直せる場所』
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藍が嫌そうな顔をする。
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「なんか怖い」
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奈々恵も頷いた。
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「言葉は綺麗なんだけどね」
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田中が資料をめくる。
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「綺麗すぎるんですよ」
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静かになる。
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田中は続けた。
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「人間って」
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「そんな簡単にやり直せないです」
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その言葉。
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妙に重かった。
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翔太は写真を見ていた。
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一枚。
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また一枚。
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そして。
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ある写真で止まる。
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「……この人」
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全員見る。
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写真の端。
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若い男。
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笑っている。
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でも。
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目が笑っていない。
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翔太は小さく言った。
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「知ってる」
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空気が変わる。
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黒岩が聞く。
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「先輩か」
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翔太は頷いた。
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「高校辞めたあと」
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「急に金持ちみたいになった」
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「SNSで」
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「夢がどうとか」
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「仲間がどうとか」
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「人生変わったとか」
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少し沈黙。
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「みんな羨ましがってた」
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翔太は笑った。
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苦い笑い。
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「でも」
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「一年後には消えた」
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誰も喋らない。
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「連絡も取れなくなった」
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「地元にも帰ってない」
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窓の外。
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電車が通る。
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前原は煙草を咥えたまま聞いていた。
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表情は変わらない。
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でも。
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敦は知っていた。
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怒っている。
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かなり。
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その頃。
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窓際。
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創作組。
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藍。
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ますみ。
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航平。
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レン。
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実は。
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こっちも静かだった。
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ますみが笑花を描いている。
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藍は設定を書いている。
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でも。
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耳は向こうの話を聞いていた。
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ますみがぽつりと言う。
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「居場所って」
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「うん」
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「怖いね」
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藍が止まる。
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ますみは続ける。
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「だって」
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「信じたら無くなるかもしれない」
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静かになる。
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航平も聞いていた。
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レンも。
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それは。
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この部屋にいる人間の多くが思っていたことだった。
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藍は少し考える。
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そして。
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笑花の絵を見る。
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「でもさ」
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「うん」
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「無くなるの怖いから作らないって」
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「もっと嫌じゃない?」
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ますみが止まる。
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藍は少し笑った。
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「私」
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「今の方が好き」
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「怖いけど」
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「前より」
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その言葉。
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ますみは何も返せなかった。
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でも。
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スケッチブックへ視線を落とす。
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笑花。
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その横には。
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前より少し大きく。
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『友達』
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と書かれていた。
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夜十時。
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真由がやって来た。
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制服。
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コンビニ袋。
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「差し入れー」
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「何」
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「肉まん」
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木戸が反応する。
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「神か」
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「お前じゃない」
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真由が笑う。
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でも。
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翔太を見る。
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少し止まる。
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「新入り?」
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「らしい」
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「ふーん」
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真由は肉まんを一つ渡した。
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翔太が受け取る。
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「ありがとうございます」
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「別に」
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どこか。
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ますみと似ていた。
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ぶっきらぼうで。
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優しい。
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その時。
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黒岩が立ち上がる。
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「帰る」
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前原も立つ。
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「どこ行くんですか」
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敦が聞く。
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黒岩は笑う。
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「下見」
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「何の」
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「巣穴の」
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空気が少し張る。
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前原は振り返らない。
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川本だけが言った。
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「若い連中は手出すなよ」
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木戸。
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「フラグだな」
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「やめろ」
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久しぶりに。
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事務所に少し緊張が走った。
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でも。
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その緊張の中で。
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ますみはペンを走らせる。
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笑花。
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その隣。
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新しい人物。
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少し不器用そうな少年。
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名前はまだ無い。
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でも。
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どこか翔太に似ていた。
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物語の中でも。
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現実の中でも。
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人は少しずつ増えていく。
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そして。
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誰かの居場所は。
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誰かが守ろうとした時から、
本当の意味で始まるのかもしれなかった。
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後書き
第37話でした。
今回は静かな繋ぎ回ですが、
かなり重要な回です。
* 翔太の過去とシェアハウス問題が本格接続
* ますみが「居場所が消える怖さ」を言語化
* 真由が少しずつレギュラー化
* 笑花の世界に新キャラ誕生
そして次回から、
前原・黒岩・川本が動き始めます。
ただしこの作品なので、
殴り込みではありません。
もっと地味で、
もっと現実的で、
だからこそ厄介な戦いになります。




