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WAY HOME ――行き場をなくした僕らの、小さな食卓――  作者: 和泉發仙


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26/105

見せてくれたもの

前書き


人が何かを見せてくれた時。


本当に大事なのは、


上手いとか、

下手とかじゃない。


「見せてくれた」


ことそのものだったりする。


第26話です。


⸻


第26話 見せてくれたもの


「上手くね?」


翌日。


木戸だった。


⸻


ますみは固まった。


⸻


「なんで知ってるの」


⸻


敦が目を逸らした。


⸻


ますみが察する。


⸻


「言ったな」


⸻


「いや」


⸻


「言ったな」


⸻


「少しだけ」


⸻


ますみは頭を抱えた。


⸻


「最悪……」


⸻


木戸は笑っていた。


⸻


「別に絵見せろとは言わねぇよ」


⸻


「ほんと?」


⸻


「ほんと」


⸻


「絶対嘘」


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「まぁちょっと見たい」


⸻


「やっぱり!」


⸻


事務所が少し笑いに包まれる。


⸻


ますみは不満そうだった。


⸻


でも。


⸻


前みたいに帰ろうとはしない。


⸻


そこが少し違った。


⸻


⸻


その頃。


⸻


航平はホワイトボードと戦っていた。


⸻


「いや待って」


⸻


「ここ駅多すぎる」


⸻


藍が反論する。


⸻


「必要だもん!」


⸻


「人口何万人いる設定なん」


⸻


「知らない!」


⸻


「決めろ!」


⸻


木戸が笑う。


⸻


「地図オタク強ぇな」


⸻


⸻


そこへ。


⸻


レンがノートPCを抱えて現れる。


⸻


「見ろ」


⸻


全員が見る。


⸻


「なに」


⸻


「ロゴ」


⸻


画面には。


⸻


藍の街をイメージした。


⸻


簡単なタイトルロゴ。


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歯車。


⸻


列車。


⸻


雨。


⸻


そんなモチーフが入っていた。


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藍が止まる。


⸻


「……え」


⸻


レンは少し照れた。


⸻


「昨日暇だった」


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「いやいやいや」


⸻


藍が混乱する。


⸻


「え?」


⸻


「え?」


⸻


「なんで作ったの」


⸻


「面白そうだったから」


⸻


即答。


⸻


奈々恵が笑う。


⸻


「創作者の悪い癖だね」


⸻


⸻


藍はしばらく画面を見ていた。


⸻


自分の頭の中だけだった世界。


⸻


それが。


⸻


少しずつ。


⸻


外へ出始めている。


⸻


⸻


その時だった。


⸻


ガチャ。


⸻


扉が開く。


⸻


知らない女の子。


⸻


高校生くらい。


⸻


金髪。


⸻


いや。


⸻


染めてる。


⸻


制服。


⸻


スカート長い。


⸻


イヤホン。


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そして。


⸻


めちゃくちゃ警戒している。


⸻


全員を見る。


⸻


そして言う。


⸻


「藍いる?」


⸻


藍が固まる。


⸻


「え」


⸻


「マユ?」


⸻


どうやら知り合いらしい。


⸻


⸻


名前は


篠崎真由


⸻


藍の同級生。


⸻


⸻


木戸が小声。


⸻


「友達いた」


⸻


「失礼」


⸻


藍が即反応。


⸻


⸻


真由は部屋を見回した。


⸻


前原。


⸻


川本。


⸻


木戸。


⸻


グエン。


⸻


森下。


⸻


航平。


⸻


カナコ。


⸻


⸻


「……怖」


⸻


正しい。


⸻


全員頷いた。


⸻


⸻


真由は藍を見る。


⸻


「ここ?」


⸻


「うん」


⸻


「マジ?」


⸻


「うん」


⸻


「変なとこだね」


⸻


藍が少し笑った。


⸻


「それはそう」


⸻


⸻


敦は少し気づいた。


⸻


藍。


⸻


学校の友達と話してる時、


⸻


ちょっと違う。


⸻


年相応になる。


⸻


⸻


真由は少し躊躇ったあと。


⸻


言った。


⸻


「学校来てないからさ」


⸻


藍の顔が少し曇る。


⸻


「みんな心配してる」


⸻


静かになる。


⸻


でも。


⸻


前原たちは何も言わない。


⸻


⸻


真由は続ける。


⸻


「先生とかじゃなくて」


⸻


「普通に」


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「私とか」


⸻


⸻


藍が止まる。


⸻


完全に予想外だった顔。


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⸻


「……なんで」


⸻


「なんでって」


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真由は少し困る。


⸻


「友達だから」


⸻


⸻


藍は黙った。


⸻


たぶん。


⸻


そういう言葉。


⸻


最近聞いてなかった。


⸻


⸻


その空気を。


⸻


木戸が壊す。


⸻


「よし飯行くか」


⸻


全員:


⸻


「急だな」


⸻


⸻


木戸は立ち上がる。


⸻


「シリアス長い」


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グエンが即賛成。


⸻


「ゴハン!」


⸻


⸻


真由が吹き出した。


⸻


藍も笑う。


⸻


⸻


空気が戻る。


⸻


少しだけ。


⸻


⸻


帰り際。


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ますみは窓際で。


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一人。


⸻


スケッチブックを開いていた。


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誰にも見られないように。


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こっそり。


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でも。


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前より少しだけ。


⸻


ページを開く速度が速くなっていた。


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そして。


⸻


その様子を。


⸻


奈々恵だけが静かに見ていた。


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何も言わずに。


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ただ。


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少し嬉しそうに。


⸻


⸻


後書き


第26話でした。


今回は新キャラ。


篠崎真由(16)


* 藍の同級生

* ギャル寄り

* 意外と面倒見が良い

* 「学校側」ではなく「友達側」


を投入しました。


そして、


ますみのスケッチブック。


藍の世界。


レンのロゴ。


少しずつ、


「頭の中にしか無かったもの」


が形になり始めています。


そして次あたり、


ウクライナ留学生や、

アイルランド人オタクも登場させられそうです。

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