また来た
前書き
人は不思議なもので、
一回だけ会った相手より、
二回会った相手の方が、
ずっと気になる。
そして三回目になると、
少しだけ気にかけてしまう。
第24話です。
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第24話 また来た
「また来た」
木戸が言った。
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土曜日。
夕方。
高架下の事務所。
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入口に。
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長澤ますみが立っていた。
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パーカー。
リュック。
無表情。
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そして。
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ものすごく帰りたそうだった。
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木戸が笑う。
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「入れよ」
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「……帰ろうかな」
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「来といて?」
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正論だった。
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ますみは少しムスッとする。
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「敦さんいる?」
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「いる」
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「ならいい」
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木戸がニヤニヤする。
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「おぉ?」
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「違うから」
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「何が」
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「全部」
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敦が奥から出てくる。
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「どうしたの」
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ますみは少し黙る。
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「……暇だった」
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絶対違った。
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でも敦は聞かない。
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「そっか」
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「うん」
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それで終わる。
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ますみは少しだけ安心した顔をした。
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事務所の中。
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藍がホワイトボードと戦っていた。
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「違う」
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「ここ王都」
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「だから列車こっち」
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航平が真顔で答える。
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「地形的に無理」
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「なんでよ!」
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「山脈ある」
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「ファンタジーだよ!?」
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「でも物流は必要」
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「物流言うな!」
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ますみは目を丸くした。
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「……何してんの」
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木戸が即答。
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「オタク会議」
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藍がペンを投げた。
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「うるさい!」
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ますみは少し近づく。
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ホワイトボード。
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そこには。
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巨大な地図。
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国。
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鉄道路線。
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街。
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港。
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謎の生物。
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そして。
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大量の付箋。
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ますみが呟く。
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「すご……」
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藍が振り向く。
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「え」
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ますみは慌てる。
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「いや別に」
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藍は少し笑った。
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「ありがとう」
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その反応。
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ますみは少し戸惑った。
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たぶん。
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褒められると思ってなかった。
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いや。
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褒めたことを、
喜ばれると思ってなかった。
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その時。
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グエン登場。
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「マスミ!」
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「うわっ」
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完全に覚えられていた。
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グエンは嬉しそうだった。
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「キタ!」
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「来たけど」
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「オナカヘッタ?」
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「なんで」
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「イツモヘッテル」
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「失礼」
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でも少し笑う。
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グエンは満足そうだった。
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しばらくして。
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奈々恵が来た。
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コンビニ袋。
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ジャージ。
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眠そう。
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いつも通り。
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「おはよう」
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「夕方です」
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敦が言う。
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「私の朝だから」
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強かった。
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奈々恵はますみを見る。
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「初めまして」
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ますみは少し緊張する。
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「……長澤です」
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「奈々恵です」
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少し沈黙。
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奈々恵はなんとなく聞いた。
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「絵描く?」
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ますみが止まる。
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完全に。
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「……なんで」
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「顔」
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「顔で分かるの」
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「分かる」
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奈々恵は笑った。
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「藍と同じ顔してる」
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藍が反応する。
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「どんな顔よ」
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「ノート隠してそうな顔」
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藍が吹き出した。
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「分かる」
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ますみは真っ赤になる。
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図星だった。
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木戸が立ち上がる。
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「おぉ」
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「何」
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「仲間発見」
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ますみは焦る。
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「違う」
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「描いてない」
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「ほんと?」
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「ほんと」
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「嘘だな」
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全員思った。
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ますみはさらに焦る。
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敦は少しだけ笑った。
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藍も。
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奈々恵も。
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別に暴こうとしてない。
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でも。
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たぶん。
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みんな分かる。
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この子も。
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何か持ってる。
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まだ誰にも見せてないだけで。
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帰り際。
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ますみは扉の前で止まる。
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振り返る。
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藍は地図。
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カナコはギター。
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航平は路線図。
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奈々恵はパソコン。
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田中は資料整理。
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木戸は寝てる。
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前原は煙草。
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敦はコーヒー。
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変な場所だった。
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本当に。
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でも。
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少しだけ。
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居心地が良かった。
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ますみは小さく言う。
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「……また来てもいい?」
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部屋が静かになる。
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そして。
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前原が言った。
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「来るなら鍵閉めろ」
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全員吹き出した。
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ますみも。
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初めて。
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ちゃんと笑った。
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後書き
第24話でした。
ますみはまだ、
「何が好きか」
を言えません。
言いたくありません。
言うと壊れる気がするから。
でも。
奈々恵は気づいています。
藍も気づいています。
この子もまた、
何かを作る側の人間だと。
そして次回。
ますみのノート。
あるいはスケッチブックが、
少しだけ姿を見せ始めます。




