その3 空に積もる足跡
女の子は知らない。
女の子が撮った写真は、
スマホの中だけではなく、
クラウドの空に静かに積もっていくことを。
女の子はただ、
「きれいだな」
「忘れたくないな」
「みんなにも見せたいな。」
そんなふうに胸が動いた瞬間を逃さないように、
写真の中にそっとしまっている。
でも――
その一枚一枚が、
誰かの心をそっと支えていることを、
女の子はまだ知らない。
ママとばあばは、その足跡をたどることができる。
クラウドの空に積もった写真は、
女の子にとっては“冒険の足跡”。
けれど、
ママとばあばにとっては――
女の子の成長をそっと見守るための道しるべ。
ママは、静かな時間に写真を開き、そっと微笑んで、お腹に手を添えた。
ばあばは、夕暮れの光の中でゆっくり写真を開き、今日の女の子を思い浮かべる。
写真の中には、
見つけた 光のかけら。
感じた 風の音。
立ち止まった 影の形。
少しだけ勇気を出した瞬間。
どれも、女の子が見つけた宝物だった。
積み重なった写真は、
遠く離れていても、
女の子が歩いた道をそっと教えてくれる。
ママは思う。
「ああ、今日も元気に歩いている。」
ばあばは思う。
「この子の世界は、こんなふうに輝いているんだね。」
その写真たちは、
離れていても、
女の子の冒険をそっと見守る窓になっていた。
女の子は知らない。
写真を撮るたびに、
自分の歩いた道が、
誰かの安心につながっていることを。
今日も女の子は立ち止まり、
心が動いた景色に、
そっとシャッターを切る。
空の向こうに積もっていく小さな写真たちは、
今日も静かに、
女の子の冒険を見守り続けていた。




