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私は今日逃げると決めた〜え?逃げれない?実は愛されていたなんて知りませんでした。〜  作者: 漆原 凜


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ズルい妹 後編

「私のよ!離しなさいよ!」


妹が追いついた。恐ろし程ゴホゴホと咳いている。令嬢は走らないものね。特に甘やかされていたあの子は体力がなさそうだもの。


抱きしめられている腕に力が入る。アル様が静かに怒っている。


「いつまでくっついているのよ!あんたは後妻に行くんでしょ!」


空気が読めず喚いている。認めてもいないことを叫ばれても困る。は?と上から聞こえる。マズイ。キレる。


「アル様大好きです。愛してます。だから私に任せてください。」


アル様は照れながら落ち着いてくれる。危ない。私の事でキレると怖いんだよ。無理しないでね?と頬に口づけをしてくる。周りの警護の人達がいつものじゃれ合いかと生温かい目で見る。居た堪れない。


「何でなのよ!私の事が好きなんでしょ!お姉様に脅されて一緒にいるだけなんでしょ!なんでイチャついてるのよ!!」


相変わらず喚いている。話をしようとアル様から離れ妹の方を向く…が背後から抱きついてくる。そうじゃない離れて欲しい。


妹の沸点が大爆発している。顔がぶち切れている。そらそうだ。相思相愛だと思っていた人がこれだもの。


「あのね…アル様は私が大好きなの。だから諦めて帰って欲しい。今ならまだ間に合うから。家族皆で働くか嫁ぎ先を探すかした方がいい。」


え?まだ間に合うよね。チラッとアル様を見るが優しく微笑んでいるのでいけると確信する。


「なんで私がそんな事しないとダメなのよ!さっさと代わりなさいよ!」


腕にグッと力が入るのがわかる。マズイ。


「いいから!今ならまだ間に合うから言う事を聞いて!」


妹に必死に懇願する。家族として過ごした事は無いが多少なりとも情はある。諦めて自分の幸せを見つけて欲しい。


「嫌だってば!」


こちらに一歩近づこうとした瞬間、アル様が手を上げ警護の人達に取り押さえられる。


終わった。頑張ったがもう間に合わない。大人しく引いてくれていれば…そっとアル様の手に触れる。アル様は警護の人達に指示を出す。そして微笑み帰ろうと私の手を引かれ歩き出す。


妹はまだ喚いていたが連れて行かれた。幸せになって欲しかった。家族の行く末はわからないが幸せを祈る。


ーーーーー


「顔を見せて。」


馬車に乗った瞬間、抱き寄せられ足の上に座らされた。確認し幾度となく口づけが降ってくる。ごめんと謝るが辞めてもらえない。私が全面的に悪いので受け入れるしか無い。


私を力いっはい抱きしめ、もう会えないかと思った。と悲しい顔をしてすり寄る。


慰め終わるのに何日かかるのだろう…遠い目をしてこの先数日間の自分自身に謝る。自由が無くなるけどごめんと。



ーーーーー


結局自由に動ける様になったのは1週間たってからだった。こんなに長いのは初めてで大変だった。何処に行くのも何をするにも付いてきた。あの日の自分を恨んだが仕方ない。どの日の自分であっても同じ行動をしただろうから。


あれからすぐ両親は鉱山送り。妹は他国の貴族に第5夫人として送られたと聞いた。40歳も年上で子供や孫も沢山いるらしい。相手にされず生きていくのだろう。アル様は教えてくれなかったが、父の弟がおしえてくれた。


あの時引いてくれていればと後悔する。しかし私が傷つくとアル様が気にしてしまうので聞かなかった事にする。過去に蓋をしアル様とこれからも歩んで行く。



ーーーーー



「私が君を好きな訳ないじゃない。」


「優しくしてくれたじゃない!お花だってくれた!秘密だよって愛を育んでいた!」


「ミリィのために、ずっと嘘ついてたんだ。出会った時からミリィだけ。君なんかいらない。ミリィの妹だから優しくしてあげたのに勘違いも甚だしい。」


「…!ひどい!!信じていたのに!」


「ヒドイのはどっち?ミリィを傷つけ蔑ろにするなんてありえないよね。」


言ったと同時に自分に刺さった。ミリィは許してくれているが、あの数年間の後悔がいまだに疼く。胸を押さえミリィに会いたくなる。


「お姉様に本性バレて嫌われろ!こわれてしまえ!」


「ミリィに会いたいから帰るね。第5夫人として幸せになってね?2度とミリィの前に現れないように。」


まだ喚いていたが、連れて行ってと指示をだす。他国に行けば2度とこの地を踏むことはないだろう。


ミリィには嫌われたくない。本性には気づいていそうだが、お互い口には出さない。嫌われたら閉じ込めて私の事だけ見て生きてもらわないとダメになる。そんな事したくない。


優しいミリィには綺麗な世界で生きていて欲しい。そのためには私は何だってしたい。


早く帰ってミリィとお茶を飲もう。あの暖かい日差しの中で共に過ごそう。急いで帰ったのにミリィが出迎えてくれなかった。


探すとお菓子作りをしていた。私を見ると嬉しそうに微笑んでくれる。帰ってきたら一緒にお茶の飲むだろうと思い作ってくれていたと。奉仕活動の際に羨ましがったのを覚えていてくれたようだ。


暖かな日差しの中、ミリィとお茶をする。あの数年間はいまだに後悔しているが、これからはミリィだけを大事に生きていく。


「ミリィ大好きだよ。」


照れたミリィが可愛くて仕方ない。

私は君を離してあげれない。



ーーーー

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