第七十三章
渡辺、渕、千々和の隊は、階段を上がり、2階に達していた。
廊下が続き、その両側にドアが連なっている。
「まるで病院だな…」
渕が漏らす。
ドアが開けられる。
出てきたのは、白衣を着た女性職員のようだった。
渡辺が、険しい目つきで違和感を探す。
「どうした…渡辺…」
千々和が聞く。
「……なんか、おかしくなかった?今の女性……」
「そうか…?」
千々和が渕を見る。
渕も顔を振り、
「おかしいどころか、ものすごい美人だったんじゃないか?」
「だよな…」
渡辺は、呆れと、失望を隠そうともせず、
「だから、男は役に立たないのよ……」
と、切り捨てる。
その時、
階段を降りてくる気配がした。
コツ…
コツ…
女性のようだ。
全員がライフルを構える。
踊り場を曲がり、女性が姿を現す。
完全武装した隊員が、銃口を向けても、
悲鳴をあげない。
驚きもしない。
平然と階段を降りてくる。
その女性は……
美しかった。
いや、
美し過ぎた。
ライフルマンだけでなく、渕と千々和も見惚れていた。
その時、
渡辺は、気がついた。
さっきの女性。
そして…
今、隊員達の横を涼しい顔で歩いている女性。
そう。
完璧過ぎるのだ。
美しさが。
DNAの完全型は、完璧な左右対称だが…
普通の人間で、完璧な左右対称はいない。
だが…
さっきの女性も、
今、
横を歩いている女性も、
完璧な左右対称なのだ。
それは…
加工された…
作られた…
『美しさ』であった。
何のために……
もちろん……
男を惑わすため。
——そのために、作られた美しさだった。




