第五十章
暗い廃墟の中を零と中林は、瓦礫を跨ぎ、ぶら下がるコードを避けながら進んでいた。
その時。
前方の瓦礫から音がし、瓦礫の一部が崩れた。
零と中林は、咄嗟に拳銃を向ける。
瓦礫の隙間から、ライトの光が差し込む。
瓦礫の隙間から、特異隊の戦闘服を着た人影が現れる。
「誰か…、誰か…いるか」
宮本の声。
「宮本…宮本か」
零が声をかける。
「隊長…。東雲隊長ですか…」
「そうだ…。会えて良かった…」
零の目に、熱いものがこみ上げてくる。
「自分も…。こうやって…合流出来て…安心しました」
「宮本さん…」
中林も、目が潤んでいる。
「中林も…よく頑張ったな…」
「…はい…」
宮本が、中林を労う。
「さっき、13小隊の橘と会ったが見なかったか」
零の言葉に、宮本の表情に一瞬の喜びが浮かぶが…
「いいえ…。誰とも会いませんでした…」
予想通りの言葉でも、零は落胆を隠せなかった。
「そうか…。そっちの通路は進めそうか…」
「わかりませんね…。あちこちで…崩落した瓦礫が、道を塞いでますから…。そっちは、ダメなんですか…」
「こっちは…。…例の黄色の液体が続いていた地下階段に続いてるんだ…」
宮本も黙り込む。
今は。
廃墟から出る。
それが。
優先だ。
「自分が通って来た道を…進んでみますか…。ひょっとしたら、橘さんと合流出来るかもしれませんし…」
宮本が提案する。
「そうだな…。外に出る努力をしながら…橘を探してみよう…」
「隊長…早く、行きましょう!あの階段から…離れましょう…」
中林は、恐怖に飲まれかけている。
「そうだな…。行こう、宮本…」
3人は、瓦礫の隙間を潜り、宮本が歩いていた道に出る。
宮本が先頭に立ち、3人は歩を進める。
一番後を歩いている中林が、声をかける。
「隊長…。異臭が強くなっていませんか…」
それは、零も感じていた。
「そうだな…。宮本、何か不審なものは無いか…」
零の問いかけに、
「いいえ…。何も見当たりません…」
少し歩くと。
黄色の液体が床に付いていた。
宮本からの報告は、無かった。
零は、歩みを止めて、異臭のする液体を観察する。
近くの瓦礫の拾い、黄色の液体に付けてみる。
粘液質な液体が瓦礫に付き、離すと糸をひく。
ゲル状には、なっていない。
まだ、新しいようだ。
廃墟に隠れていた妖魔が、崩落に巻き込まれたか……
「宮本……」
零が宮本を見ると。
その顔は、不気味に笑っていた。




