第三十五章
「お姉ちゃんも、食いしん坊だな。そんなに血を飲んで…」
男の子は、笑顔を浮かべて戦闘を見ている。
その目が鋭くなり、冷たい光が宿る。
「どんだけ時間かけるんだよ…。遅過ぎなんだよ…、お姉ちゃんは…」
『カチリ』
男の子は、ハサミを鳴らした。
吉田のから生えていた触手が、一気に
うねり。
しなり。
何十本という触手が、遮蔽物ごと隊員を叩き潰す。
コンクリートが砕け、
肉と骨が、まとめて潰される。
悲鳴と銃声が、瓦礫にこだまする…。
隊員が吉田に、銃弾を浴びせるが、身体に当たる前に、触手に阻まれる。
吉田の頭部に銃弾が集中する。
吉田の頭部は。
孔が開き…。
破裂し…。
なくなっていくが、吉田の身体は、支障なく動いて、特異隊の隊員を襲い続ける。
「安、奴を斬れるか」
「やってみます!」
渕からの問いかけに、B級異能者の安河内が立ち上がり、右手を振り上げる。
生体剣!
指先から、黄色の光が線のように伸び、糸のようにしなり、宙に舞う。
安河内が、右腕を振り降ろす。
指先から、伸びた光が。
触手に…。
吉田の身体に…。
当たった瞬間に断ち切る。
触手が斬られて、地面に落下し。
断ち切られた吉田の身体が、瓦礫の上に転がっていく。
安河内は、さらに光る糸を、吉田の残骸と、瓦礫の上でのたうち回る触手に降ろす。
全てが肉片になった頃合いを見計らって、渕がインカムで命令する。
「火炎放射器を使って、全て焼き払え」
ガソリンのオレンジ色の炎ではなく、酸素とアルミが反応した「直視できないほどの白い炎」が、肉片を細胞から焼き尽くす。
男の子は……。
不敵な笑みを浮かべながら、隊員の行動を見ているだけだった……。
お読みいただき、ありがとうございます。
この話は、何十年も前から、温めていたものです。
時間潰しに読んでいただき、
「面白い」
と、思っていただければ、嬉しいのですが。
また、コメントの代わりに「◯」、「△」、「✕」でも構いませんので、評価していただければ幸いです。




