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第二十九章
辺りは、異常な程の静けさを保っていた。
ゴクッ
唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえる。
グローブの中の手が、汗ばむのが、はっきりわかる。
隊員の緊張も、そろそろ限界だ。
これ以上の緊張は、隊員が我慢出来ず、発砲する可能性を引き上げる…。
ここで間違えたら。
全てが終わる。
瓦礫に立つ、4本足の妖魔は…慎一君なのか…
もし…。
そうなら…。
「なあ…ボク…」
渕は、震えを我慢して、横にいるハサミの腕を持つ男の子に話しかける。
「サトシ君はどうなった…」
沈黙。
「サトシ君だよ…。君と同じくらいの…。昼間…オジサン達の友達と話をした…」
「死んだよ……。怪物に……襲われて……」
――違う。
サトシじゃない。
あの子の名前は、慎一だった。
目の前の“子供”は、それを知らない。
渕は迷わず、ライフルをフルオートで姉弟に叩き込む!
「ぎゃあああ!」
姉弟が悲鳴を上げる。
「渕さん…!」
冨田の問いかけに、
「全員、コイツ等に集中砲火だ!」
「了解!」
「2体から離れろ!ランチャー用意!」
隊員が姉弟から離れ、遮蔽物に身を隠す。
4本のランチャーが火を吹き、必殺の弾丸が姉弟を粉砕するため飛んでいく。




