第二十四章
会議室のブラインドが開けられ、午後の陽光が差し込む。
会議室には、岩田司令官、
中山、板橋、福留、加藤の中隊長4人、平井、千々和、渕、渡辺、東雲を含む12人の小隊長が揃っていた。
「以上が、私と東雲が封鎖地区で遭遇した、岡田 洋介と名乗る男…との会話の全てです」
平井が立ち上がり、動画の説明を行なう。
零も立ち上がり、
「資料の5ページ目にありますが、岡田 洋介と言う人物が◯◯町に住んでいたことは、確認できています。慎一と言う名前の子供に関しても、同じ◯◯町に9歳の男の子が住んでいたことが、確認されています」
と発言する。
「まさか、これだけの資料で半妖魔の発言を信じろと」
第1中隊長の中山が平井にたずねる。
「見た目は妖魔化してますが、彼等の心は人間です。」
平井が自分の意見を述べる。
「しかしなあ…。それが妖魔の作戦で、コチラを信用させ、罠にハメるとも考えられるしな…」
第7小隊長の吉尾小隊長がリスクを述べる。
「それは…否定出来ません。とりあえずは、基地内で隔離し生活の支援をするというのは、どうでしょう」
零が自分の意見を述べる。
「基地内に入れる!?そりゃリスクが高過ぎると思うぜ」
第2小隊長の西村が発言する。
「民間人が封鎖地区で生活してるんだ!保護するのが、我々の仕事だろうが!」
西村の発言に平井が反論する。
「我々の仕事は、妖魔を殺すことだ!」
西村が、さらに反論を返す。
どちらも同じことだ。
妖魔を殺すことで、民間人を守る。
民間人を守るために、妖魔を殺す。
見る視点が違うだけだ。
第14小隊長の渕が発言する。
「俺は保護するほうに賛成だ。ただし…条件付きでたが…」
零がたずねる。
「条件とは…」
「彼等には申し訳ないが、血液、筋肉、皮膚を含めたサンプルを取らせてもらう。上手くいけば、そこから妖魔の弱点…あるいは武器の強力化、街に広がる感染症の治療薬のヒントがわかるかもしれないからな…」
渕が意見を述べる。
「俺も渕隊長の意見に賛成します。保護してやりたいが、やはりリスクもある。なら…少しは協力してもらって、その代償として保護する」
千々和隊長が意見を述べる。
「あたしも、渕隊長の意見に賛成します」
渡辺も自分の意見を述べる。
「あのさ…、一つ気になっているんだけど」
第5小隊長の江崎が発言する。
「動画で、失敗作って言ってたよね?もしさ、成功作が完成してたら?」
何…
何を言ってるの…
全員が沈黙する。
「はっきり言おうか。もし成功作が完成してて、それが俺達が戦っている妖魔みたいな…あるいは、それ以上に強力な存在だとしたら…」
零は背中に冷たいものが走るのを感じた。
「リスクはあるよ、保護するリスクは。でも、渕隊長の意見を採用すれば、次のリスクへの打開策になるんじゃないかな」
全員が思っていた。
妖魔化した人間を保護するか、しないか。
それが、今回の議題だと。
しかし…。
今の動画には、新たなリスクの予兆が入っていたのだ。
誰も、次の言葉を口にしなかった。
重い沈黙が、会議室を支配する。
その時――岩田司令官が口を開いた。
「だいたいの意見は出たようだな。採決を取ろうか…」
わずかな逡巡の後、全員が頷いた。
お読みいただき、ありがとうございます。
この話は、何十年も前から、温めていたものです。
時間潰しに読んでいただき、
「面白い」
と、思っていただければ、嬉しいのですが。
また、コメントの代わりに「◯」、「△」、「✕」でも構いませんので、評価していただければ幸いです。




