第十七章
定期パトロール当日。
零の隊に回されたC級異能者は、電撃系の中林と氷系の吉田という隊員だった。
零の隊は、
A級異能者ー零。
B級異能者ー平山。
C級異能者ー中林、吉田
ライフルマンー8名
という編成になった。
今回のパトロールの責任者である平井が、
「新人、決して勝手な行動はするな!何か見つけたら、先ずは報告しろ!わかったな!」
と、注意を促す。
「了解しました!」
と、平井の隊の新人2人を含めた4人が返事をする。
「乗車!」
各人が割り振られた装甲車に乗り込む。
零の装甲車には、零、吉田、ライフルマンが4人という編成だった。
「吉田、平井隊長の言葉を覚えているか」
「はい。勝手な行動はしない。何か見つけたら、報告する。です」
吉田は真面目な顔で答えた。
「そうだ。中林も忘れるな!
」
零がインカムで中林に話す。
「了解しました」
中林の返事には、緊張している様子が聞き取れた。
インカムに、平井からの確認する声が響く。
「全車、準備はいいか」
「東雲車、準備よし」
「橘車、準備よし」
「平山車、準備よし」
「よし、時間だ!出るぞ!」
4台の装甲車は野太い排気音を轟かせ、封鎖地区へ走り出した。
市街地を抜けると、人気のない封鎖地区が近づいてくる。
窓の外の建物は、どれも黒く沈んでいた。
倒壊した建物。
割れた道路。
散乱する瓦礫。
静まり返った街。
装甲車のエンジン音だけが響く。
突然。
「全車、停止しろ」
インカムから、平井の停車命令が聞こえた。
「零、前方に妖魔化した猫が見えるか」
「見えます。あれがどうかしましたか」
「ああ、新人の力を見ておこうと思ってな…。どうだ?やらせてみないか」
平井の意見に、零も納得する。
いざ実戦となって、新人の力がわからなければ、使いようがない。
それに、C級異能者を預かった小隊長は、異能教育部に報告書を提出しなければならない。
そのためにも、新人の異能を見ることは必要だ。
「わかりました。やらせましょう」
「さすが、零。誰を使う?」
零は同乗している吉田を見る。
「ウチの吉田にやらせて、よろしいですか」
吉田が目を見開き、人差し指で自分を指す。
「いいぜ。やらせてみな」
平井の許可が下りた。
「吉田、前方の妖魔化した猫が見えるか」
吉田が前を確認する。
先頭車両の左前方に、背中から2メートルくらいの触手みたいなのを何本も揺らす、灰色の猫みたいな生物が見える。
他の妖魔にやられたのか、飛び散る瓦礫にやられたのか、片目が潰れていた。
それは、骨を噛み砕く音を立てながら、何かを食べていた。
「はい。見えます」
「お前の異能で殺ってみろ」
「は…はい…」
吉田は上部ハッチを開けようとするが、緊張と焦りで上手く開けられない。
ギィ……。
上部ハッチが開く。
吉田が恐る恐る上半身を外へ出した。
車内に封鎖地区独特の嫌な臭いが入ってきた。
近くにいた零の耳に、吉田の唾を飲み込む音が聞こえた。
お読みいただき、ありがとうございます。
この話は、何十年も前から、温めていたものです。
時間潰しに読んでいただき、
「面白い」
と、思っていただければ、嬉しいのですが。
また、コメントの代わりに「◯」、「△」、「✕」でも構いませんので、評価していただければ幸いです。




