表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
園に来た男の子が配信者だと知ってから、帰り道が長い  作者: ユキ@異世界転生と俺TUEEEはもう辞めて現実的に生きよう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/39

ハンバーグ

 十月の夕方、スーパーの野菜売り場で蒼と合流した。


「今日は何が食べたい?」


 聞いてから、自分で笑ってしまった。仕事帰りに誰かと夕飯の材料を買うなんて、半年前は考えもしなかった。


「ハンバーグ」


 蒼は待っていたみたいに即答して、目を細めた。


 蒼がカートを押し、私は玉ねぎを選んでから合いびき肉とパン粉と卵を入れた。横から蒼が、何も言わずに牛乳とプリンを足す。


「それも買うの?」


「デザートです」


 蒼が真顔で言うので、私はそのままにした。


 レジに並ぶと、前にいた小学生くらいの女の子が、お菓子を握りしめて母親にねだっていた。


「かわいいですね」


 蒼が小さく言った。園で子どもを見ているときと同じ顔だった。


 会計を終えると、蒼が重い方の袋を持った。部屋までの道を、二人で並んで歩いた。


 キッチンに立ち、玉ねぎをみじん切りにする。


 蒼は横でフライパンを出したあと、何をすればいいかわからない顔で手を洗っていた。


「お皿出してくれる?」


 蒼が顔を上げて、「はい。何枚ですか」と聞いた。


「二枚。あと、焦げないように見てて」


「責任重大ですね」と言って、蒼は食器棚を開けた。


 ひき肉にパン粉と卵を混ぜ、塩と胡椒を振って手のひらで丸める。形は少しいびつだった。


 フライパンに並べると、じゅう、と音がして肉の焼ける匂いが部屋に広がっていく。蒼は火加減を見るために、コンロの前へ戻った。


 テーブルにはハンバーグとサラダ、みそ汁が並んだ。蒼が淹れてくれたほうじ茶から湯気が上がっている。


 向かい合って座り、二人で「いただきます」と手を合わせた。


 箸を入れると湯気が立ち、自分で食べたくて作ったものを口に運ぶ向かい側で、蒼も同じものを食べていた。


 蒼がハンバーグを飲み込んで、目を細めた。


「おいしいです」


「よかった。初めてデートしたときの、ファミレスのより?」


「……それは、比べるものじゃないです」


 そう言いながら、蒼はもう一口食べた。答えないところが答えみたいで、私は笑ってしまった。


 食べ終わるころには、窓の外が暗くなっていた。


 半年前、莉子からのLINEに返事をしながら、私はどうせまた延期になるんだろうなと思っていた。


 蒼が皿を流しに運び、私は冷蔵庫からプリンを二つ出した。


「次は何作ろうか」


 そう聞くと、蒼は少し考えてから「オムライス」と答えた。


「じゃあ、今度作ろう」


 プリンを一つ蒼の前に置くと、蒼は「はい」と言って、ふたを開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ