お気に入りの服
「おはようございます。アルフォンス様」
食堂に入って来たステラは淡い若草色のスカートにクリーム色の上品なブラウスを着ていた。
決して派手な色ではないしゴテゴテした飾り物もないシンプルな部屋着なのに、彼女の品の良い美しさが引き立っていた。
そして何より体にぴったりフィットした服が余計に彼女を可憐に見せていた。
ステラは痩せていてウエストも細いので、公爵家にあった予備のドレスは1番小さなサイズの物でも少し大きかったのだ。
「よく似合っている。 それはガブリエル夫人の店で買ったものかな?」
「はい、アンネマリー様にドレスや普段着をオーダーしてもらいました。
それらはまだ届いてはいないのですが、この服は私が気に入ってしまって、無理を言ってその場で少し詰めてもらって昨日頂いて来たのです」
私はウキウキとした気分で裾を持ち上げた。
だって自分の服を新しく買ったのって何ヵ月ぶりだろう。
ここへ来てアンナが上等な服を幾つも持って来てくれたけど、やはり自分でお店へ行って選べた服はうれしかった。
「ステラ様ったら、既製品のそれもとても安価な品を1番気に入ってしまったのです。
でも、試着したらこの様にとても似合ってしまうんですもの。
反対も出来ませんでしたわ」
とアンネマリー様が後ろから現れて苦笑いをされています。
「アン、本人が気に入るのが1番だから」
と私の肩を持つ様に言って下さるアルフォンス様。
「別に私も怒ってなどいませんわ。ステラ様は欲がありませんのよ。
でも、高い安い、上等だから貴重な品だからなどの基準で選ばれる方は多いでしょ?
特に貴族は。
ステラ様は自分をしっかり持っていらっしゃるのよお兄様。
自分が好きな色形。似合う物をぶれない目で選ばれると申し上げたかったのです。
そこをガブリエル夫人にも認められ気に入られていましたもの」
ガブリエル夫人が私を気に入って?
そうなのだろうか?
とても親切な方ではあったけど…。
「その顔は、気が付いてなかったようね。
ステラ様?」
私のキョトンとした様子にアンネマリー様が言いました。
「ふふふ、そこがステラのいい所じゃないか」
アルフォンス様の言葉にアンネマリー様は呆れたようなため息を1つ。
その後すぐにクスクスと笑いだしました。
部屋の端に控えていたアンナも笑いを堪えてる様子。
え?え? 私が原因ですか?
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