書斎での2人
「それで、ここ数日同じ邸で過ごしてみて、アルから見てステラ嬢の感想は?」
書斎に移りアルフォンスと2人だけで、酒を酌み交わすジュリアンが聞く。
「見た目通りの魅力的な女性だな。家の者は侍女から妹まで皆彼女に夢中だ」
「ふーんその皆にはアルも含まれるのかい?」
と面白がるように聞くジュリアン。
アルフォンスはその事に返答せず、毎日朝食と夕食をステラと共にしている事を話し出した。
そしてステラから聞いた伯爵家での話も。
伯爵家では朝食の給仕を命じられ3人の女の給仕をしている間ずっと嫌味や叱責を受けるのが日常だった事。
食事もわざと冷めた少量の物を食べるように仕向けられていた事。
「給仕? 侍女でもメイドでもないのに?」
それにはジュリアンも驚いて自分の質問を忘れている。
「侍女のような暗い色の質素なワンピースを着るように強要され、給仕の他にも掃除や洗濯を使用人と一緒にやらされていたそうだ。
彼女の痩せ細った理由はこれだ」
「なんて事だ」
ジュリアンもアルフォンスも貴族の中でもトップの家の人間だ。
どちらの家でも、家を維持し盛り立てていく為に働いてくれている使用人達を大事にするのが当たり前だと教えられてきた。
そこに敬愛と信頼が生まれお互いがよい関係を保てるのだ。
貴族の中には使用人をまるで使い捨ての物の様に扱う愚か者がいる事は知っていたが、その様な家はいずれ人に裏切られ衰退すると思っている。
そんな2人でも婚約者として連れてきた貴族令嬢にその様な真似をする伯爵家があるなんて聞いた事もなかった。
「ステラの話では伯爵の母親と妹の散財のせいで使用人の人数も少なくいつも邸の仕事が回らないそうだ。
おまけに給金が他より少ないから人も集まらず半端な人材しか雇えないらしい」
「聞けば聞く程、酷いな。
もう、潰してしまった方が世の中の為になるんじゃないか?」
ジュリアンが過激な事を言い出した。
「ステラのされた事を考えれば仕返ししてやりたいが、聞こえてくる話はどうやら母親と妹2人が主だっている。
伯爵の事が分からないと伯爵家全てを糾弾すべきか悩む所だ」
「主が自分の家族を押さえられない時点でダメだろ」
と切り捨てる様に言うジュリアンは直ぐに気を取り直して。
「でも、あのエドガーとか言う伯爵の事も調べ始めたから、少し待ってやろうかな」
と愉しげにグラスを傾けた。
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