第1関門
「あの、何となく夫人が一部のお客様に不満を持っていらっしゃるのは分かるんですが、それがどうして夫人のシンプルな出で立ちに繋がるんでしょうか?」
分かるような分からないような気分なので、怒られるのを覚悟で聞いてみました。
「ふふふ、素直で正直な方ですね。
ステラ様は貴族令嬢ですよね?」
と聞かれました。
「あ、はい。しがない子爵令嬢です。
本来ならガブリエル夫人のお店になど入れる様な身ではないのです。
この様な機会をいただけた事感謝しています」
と私は頭を下げる。
するとガブリエル夫人はアンネマリー様を見て頷いています。
「ね、とても素晴らしい方でしょ?」
とアンネマリー様は笑います。
何の事ですか?
普通貴族間なら絶対にマウント取られて嘲笑われそうなものなのに…。
私はなんの事やら分からず、何か間違った挨拶をしてしまったか心配になりました。
するとオロオロしていた私に夫人は笑顔を向けてくれて言います。
「先程も言いましたが、私はデザイナーである自分に誇りを持っています。
今でこそ男爵位は頂きましたが元は平民ですし、そんな私の中には恩人の公爵夫人とこの国の王妃様、王女様以外の方には身分で値踏みしたり、順位を付ける感覚はありません。
すべては私がその人物そのものの価値を見極め、認めるか認めないかなのです」
「つまりね、彼女が気に入れば平民でもお客だし、気に入らなければ侯爵でも、伯爵でも駄目って事。
それを見極める1つ目の関門がこの格好なの。
これを見てナンシーガブリエルともあろう人がそんな地味な格好をしているなんて…とガッカリって顔をするか。
ステラ様みたいに素晴らしい縫製に気が付いたり、最高級の生地だと分かったりするかで彼女の第一関門を突破出来るかが決まるの」
とアンネマリー様が核心をついた説明をしてくれました。
やっとガブリエル夫人の意図を汲み取れました。
なるほどガブリエル夫人は職人気質な方なのだろう、自分の仕事や感覚に絶対の自信を持っている。
そしてそれを王妃様や公爵夫人が後押ししていらっしゃるのだろう。
けれど…
「あの先程第一関門とおっしゃいましたよね?
と言うことは、まだ何かあるのですか?」
私はふと思った疑問を聞いてみました。
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