ガブリエル夫人
「お待ちしておりました。お嬢様」
奥の扉の前で腰を折って挨拶をしている中年の女性。
シルバーブルーの巻き毛、クリーム色のブラウス、濃紺のロングスカートという凄くシンプルな出で立ち。
「こんにちはガブリエル夫人」
とアンネマリー様が言います。
え?
この方がこの店のオーナーのガブリエル夫人なの?
こんな色の洪水みたいなお店のご主人がずいぶんとご自分はシンプルなのね。
「こちら我が公爵家の大事なお客様のステラ様。
今日はこの方のドレス、帽子、手袋から下着まですべてを見繕いたいの。とりあえず1週間分くらいかしらね」
とアンネマリー様はさらっと凄い事をおっしゃってます。
ドレスを1着作る位のつもりでいた私は驚きすぎて、冷や汗が出てきました。
「かしこまりました、どうぞ奥の部屋へ」
私達は夫人の後ろの扉の奥へと通されました。
応接室のような部屋は先程のお店と違い淡いクリーム色とグリーンに統一されています。
所々金色のアクセントが効いていてとシンプルでもゴージャス感を醸し出していました。
色の洪水に遭遇し溺れた後だと、とてもホッとしました。
「ステラ様、夫人の服装をどう思われました?」
大きなソファーに座るとアンネマリー様が聞いてきました。
「お店には色が溢れかえっていて、ひとつひとつのドレスもどれも素晴らしかったので、それを作っているナンシー・ガブリエル様もさぞ凄いドレスを来ているんだろうと思っていました。
でも…」
「でもあまりにも地味な出で立ちだったと?」
「地味と言うか、とてもシンプルで。
生地や縫製は最上級なのは分かりましたしとても着心地も良さそうな服ですが、お店の中を眺めて進んできてふとガブリエル夫人を見た時に違和感はありました」
「素晴らしい、さすがサン・ジュスト家のお客様ですわね」
後ろからガブリエル夫人が現れてそう言われました。
「え? あ、あの」
「改めまして、ようこそいらっしゃいました。
この店の主人ナンシー・ガブリエルと申します」
ガブリエル夫人は私に極上の微笑みで挨拶をしてくださいました。
「ステラ・アンダーソンと申します。よろしくお願いいたします。
あの…ガブリエル夫人、先程言われた事はどういう…」
私は挨拶の後、気になってしまいつい聞いてしまいました。
お読み頂きありがとうございます。
お気に召して頂けたら、是非イイねやブックマークをよろしくお願いします。




