久しぶりの町
ステラはアンネマリーと共に馬車に揺られていた。
町に出てきたのは、あの日エドガー様に婚約破棄された時以来です。
まだ1週間程しか経っていないのに、もう随分昔の事のようです。
あの時をこんなに心穏やかに振り返れるなんて思ってもみなかった。
そしてあの時はこれからどうすればいいのか…途方に暮れていたけれど、伯爵家を出てこんなにのんびりと充実した毎日を送れるなんて夢にも思わなかったな。
これもジュリアン様とアルフォンス様のお陰ね。
そう言えば、ジュリアン様はどうされたのかしら?
数日したら、またお邸に戻って来るって言っていたのに…。
「ステラ様はどんな服がお好き?
フリルやレース多めとか、お花や宝石付けたいとか、必ず首周りはスクエアカットがいいとか…」
アンネマリー様が私に聞いてきました。
「こだわりはあまりないです。
強いて言うなら軽い生地をお願いしたいです。
あまりフリルが多すぎてドレス自体が重くなると、動けないので…」
私はもともと肉付きのいい体型ではない。
その上この数ヶ月は食事の量や回数が減った上に体を使う事が多かったのでまた痩せてしまった。
なのであまり重いドレスだと、服に潰されそうになるのです。
ある意味メイド服は動き易いし軽いからありがたかった。
「確かにステラ様は細すぎますわ」
そう言って私の手首を持ってため息をつかれた。
「これでも公爵家にご厄介になって、少し頬がふっくらと戻って来たんですよ」
公爵家のご飯はとても美味しいし、アルフォンス様と一緒だと良く食べてます。
と言うかアルフォンス様がどんどん食べさせるのですもの。
私は毎食後お腹一杯です。
「と、言うことは前より痩せてしまったと言う事ですの?」
「えっと… それは…」
アンネマリー様に突っ込まれて、伯爵家ではメイドの様に扱われていた事や食事を抜かされたり、わざと少なくされたりしていた事を言ってしまった。
またアンネマリー様が激怒しそうで怖いけど…
「なんて性格の悪い人たちなの!」
案の定、自分の事のようにプンプン怒り出したアンネマリー様だった。
「すみません…」
アンネマリー様の勢いについ謝ってしまった。
だって、皆が私の為に憤慨してくれて、何だか
有難いし申し訳なくもなるのです。




