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前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


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第43話 トカゲで行くピクニック

快晴に恵まれたピクニック当日。カケルの自宅前には、遠足前の子供のような高揚感が漂っていた。用意したお弁当を、イガとグリの背に備え付けられた荷鞍へ丁寧に積み込んでいく。


「よし、準備万端だね。じったん、ごめん。君は歩くのが少しゆっくりだから、着くまでは一旦戻っていてもらうよ」


カケルがそう言ってじったんを送還すると、ちょうど通りにさわやかな笑顔を浮かべたエアリスが姿を現した。


「おはよう、カケル。いい朝だね。みんな、準備はいいかい?」


「おはようございます、エアリスさん。ええ、いつでも出発できますよ」


カケルが笑顔で応じると、彼の肩にいたほっぺが、待っていましたと言わんばかりに羽を広げてエアリスへと飛び移った。


「ホッペチャン! オハヨウ!」


「はは、ほっぺもやる気満々だね。今日もよろしく頼むよ」


エアリスの肩を独占したほっぺは、誇らしげに胸を張り、上機嫌で「幸せなら手を叩こう」のメロディを奏で始めた。


一行は街を抜け、目的地である高台の草原を目指して出発した。イガにはカケル、グリにはエアリスが跨がり、リアナは愛狼のシルバーの背に揺られている。


「……驚いたな。本当に馬より快適だ」


グリの背に揺られながら、エアリスが感嘆の声を漏らした。


フトアゴたちの歩みは低重心で、四肢がしっかりと地面を捉えるため、馬のような上下の揺れがほとんどない。力強い足取りが背中を通じて伝わってきて、独特の安心感があった。


「そう言ってもらえると嬉しいです。イガたちは足場が悪くても滑りませんし、長距離の移動でも疲れにくいんですよ。人を背中に乗せて走ることもできるんです!」


「素晴らしいよ。これなら長距離の移動でも、乗り手の身体への負担がかなり少なくて済みそうだね」


爽やかな風が吹き抜ける街道を、二体の巨躯と一頭の銀狼が悠然と進んでいく。ほっぺの奏でる鼻歌が調子よく跳ねて、ピクニック気分をいっそう盛り上げていた。


一時間ほどの軽快な道を経て、一行は目的の高台に到着した。眼下にリスティアの街並みが広がり、遠くには山々が重なる絶景の草原だ。カケルは、ここまで運んでくれたイガとグリを労って一度送還し、ゆっくり休ませることにした。


「まずは、じったん。お待たせ」


カケルが意識を集中させると、まずは巨躯のじったんが姿を現した。続いて茶渋、ワサビ君、鳥たち、そして三十センチほどのジャンピングスパイダーであるキョロとチョロを、一体ずつ丁寧に呼び出していく。


エアリスは、次々と現れる個性豊かな家族たちを眩しそうに眺め、肩に乗ったほっぺを優しく撫でながら静かにその光景を見守っていた。イガとグリもしばらく休ませた後に再召喚して、後で家族全員でこの景色を楽しむつもりだ。


姿を現したじったんは、柔らかい草の感触を確かめるようにゆっくりと移動し、一番日当たりのいい場所を見つけてどっしりと腰を据えた。ワサビ君は近くの木の枝に登って、左右の目をキョロキョロと別々に動かしながらのんびりと周囲を眺め、茶渋はさっそくじったんの背中の上で丸くなっている。


カケルたちは木陰に布を広げ、用意したランチを並べた。


「平和だね……。カケル、君とお茶を飲んでいると、ここが魔物の出る世界だということを忘れてしまいそうだよ」


「そう言っていただけると光栄です。エアリスさん、このサンドイッチも食べてみてください。リアナの自信作なんです」


「我ながら、とっても美味しくできたんだから!」


「はは、それじゃあ遠慮なく。……うん、美味しい。外で食べる食事とこの空気、最高のご馳走だ」


エアリスは爽やかに笑い、賑やかな食事の時間を楽しんでいた。


その時、草原の端の藪がガサリと揺れた。空腹の魔獣、フォレスト・ラットの群れが、お弁当の匂いに釣られて姿を現したのだ。エアリスが反射的に腰の剣に手をかけたが、カケルはそれを制した。


「大丈夫ですよ、エアリスさん。茶渋、お願い」


じったんの背中で昼寝を邪魔された茶渋が【威圧】を放つ。群れはびくりと跳ね、尻尾を巻いて藪の奥へ散っていった。


シルバーの低いうめき声も加われば、格下の魔獣にとってこの場所は「絶対的な強者の領域」でしかない。


「……驚いたな。あの小さな子が、これほどの圧を放つとは。騎士隊の精鋭でもこうはいかないよ」


剣から手を離したエアリスが、感嘆したように溜息をついた。


食後、カケルは十分に休ませたイガとグリを再び呼び出した。ようやく勢揃いした家族たちの姿に、草原はいっそう賑やかさを増す。カケルは荷物の中から自作の木製ブーメランを取り出した。


「リアナ、シルバー。これで遊ぼうか。こうやって投げるから、シルバーは取ってくるんだよ」


カケルが手本を見せてブーメランを放り投げると、美しい放物線を描いて戻ってくる。


「わあ、すごい! シルバー、行ってきて!」


「ワフッ!」


リアナに促され、シルバーが弾かれたように駆け出す。


「ははは! 気高いシルバーウルフがまるで子犬のように楽しそうにはしゃいでるね」


エアリスは温まったお茶を楽しみながら、ブーメランを追いかけて笑い合うリアナとシルバーの姿を、カケルと共に微笑ましく見守っていた。


頬をなでる穏やかな風。耳に心地よい鳥たちのさえずりと、ほっぺの鼻歌。すぐ側では、イガとグリ、じったんが幸せそうに目を細めてバスキングをしている。


街での喧騒や余計な噂、それら全てを忘れられる、満ち足りた時間。


目の前で家族たちが思い思いに過ごすこの光景を、カケルはただ静かに見守っていた。――この瞬間を、忘れたくないと思いながら。

執筆の励みになりますので、続きを読みたいと思っていただけたら、ぜひブックマークよろしくお願いします!評価もいただけると嬉しいです。


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