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前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


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第41話 砂塵を駆ける巨躯

リスティアの街外れ。朝日が廃屋の裏庭を鮮やかなオレンジ色に染め上げていた。


イガとグリの二体。そしてアオジタトカゲのじったん。巨躯となった彼らは、日の光を浴びる「バスキング」の最中だった。


「じったん、しっかり体を温めような」


カケルが声をかけると、丸太のように太い胴を持つじったんが、ゆっくりと瞬きをした。重厚な体をいっそう低く沈め、特有の青い舌をチロリと覗かせる。腹の下で、土がわずかに鳴った。


カケルが触れても嫌がらず、体温を上げるためにじっと太陽光を浴びていた。


一方、イガとグリは、庭の大きな岩の上に陣取り、首をぐいっと持ち上げて口をあけ、喉元を黒くしてアゴを膨らませていた。


「イガ、グリ。お前たち、そのサイズでそれをやると、ちょっとした魔獣騒ぎだぞ」


苦笑しながら、カケルはじったんの滑らかな鱗に触れた。ひんやりとした感触が、朝日を受けてじわじわと温まっていく。


そこへ、軽やかな足音と、シルバーウルフの爪が地面を叩く音が近づいてきた。リアナとシルバーが起きてきたようだ。


「師匠!おはよう!って、うわああ……やっぱり何度見ても大きいわね!」


シルバーはじったんたちの巨体に気圧されているのか、耳を伏せて慎重に距離を保っていた。


「おはよう、リアナ。……トカゲたちは大人しいから、シルバーも心配しなくて大丈夫だよ」


「大人しいって言っても、この質量で動かれたら、踏まれただけで大怪我しそうじゃない。……でも、不思議。シルバーがこれほど警戒しているのに、彼らからは微塵も敵意を感じないわ」


「それが爬虫類のいいところだよ。基本、無駄なエネルギーは使わない子が多いんだ」


カケルはふと、イガの平らで幅の広い背中に目を止めた。昨夜のレベルアップの際、システムから騎乗が可能であるとの告知を受けていたことを思い出す。


「リアナ。実はイガたちは、人を背中に乗せて歩くことができるらしいんだ」


「えっ!? この子たちに乗るの?」


カケルは試しに、イガの背中に手をかけた。持ち手として長くせり出した二本のトゲを握り、その広い背中へと跨がる。


そこにはずっしりとした安定感があった。馬のような高い視線ではなく、地面に近いが、圧倒的なパワーを感じる視点だ。


「……どうだ、イガ。重くないか?」


イガは首をかしげ、カケルの顔をじっと見つめると、力強く一歩を踏み出した。その足取りに迷いはない。カケルを乗せたまま、当然のように歩き始めた。


「すごい……! 師匠、まるで竜騎士みたい!」


「竜騎士っていうか……トカゲ騎士だな」


陽が完全に昇った頃、カケルは三体を一度送還し、リアナと共にギルドへと向かった。ギルドに到着すると、カケルは奥の執務室にいたギルドマスターのヴォルガンを訪ね、裏の空き地に来てほしいと伝えた。


「……待たせたな、カケル。それで、わざわざ呼び出して見せたいものというのは――」


空き地に現れたヴォルガンは、言葉を失って石のように固まった。カケルが空き地で再召喚した、悠然とバスキングを続けるトカゲたちがそこに並んでいたからだ。


「新しく召喚できるようになった、トカゲのイガ、グリ、じったんです」


「……カケル。俺の記憶が確かなら、トカゲってもっと……こう、扱いやすい大きさじゃないのか?」


「ええ。この子たちは召喚獣なので、特別といいますか……」


「……お前。これはどう見ても『地竜』の亜種か何かだぞ!」


「いえ、ただの、少し大きいだけのトカゲですよ。性格は温厚ですし、ほら、触ってみますか?」


ヴォルガンは額を押さえて天を仰いだ。


「わかった、わかった。……事情は把握した。だが、街中での召喚は禁止だ。大騒ぎになる!」


「わかりました」


ギルドを後にしたカケルたちは再び街の外、人目のない旧街道へと出た。帰り道、検証を兼ねてイガの背に乗って走っていると、藪の中から魔獣フォレスト・ウルフの群れが飛び出してきた。


「リアナ、新しい戦術を試してみよう!」


「了解、師匠!」


カケルはイガのトゲをしっかりと握り、並走するグリにも合図を送った。


「イガ、グリ、【砂走り】!」


次の瞬間、街道に土煙が舞い上がった。イガとグリは爆発的に加速し、低空を滑るように群れの中心へ突っ込んだ。


彼らの全身を覆う鋭いトゲ状の鱗が、高速移動の勢いのままウルフたちの側面を掠め、無数の微細な切り傷を刻んでいく。


「グルルッ……!」


不意の加速と、触れるだけで皮膚を裂く鱗の洗礼に、ウルフたちの統率が乱れる。


「ワサビ君、トドメをお願い!」


カケルの肩からイガの背へと移動したワサビ君が、瞬時に大型犬ほどのサイズへと巨大化する。混乱に陥り、足を止めた群れの残党に対し、ワサビ君の大きな口から一瞬で十メートル近くまで伸びた舌が放たれた。


空中のウルフを正確に貫き、そのまま強靭な力で引きずり戻して、地面へと叩き伏せた。ドォンという激しい衝撃音と共に、脳内にシステムのアナウンスが流れる。


『対象:フォレスト・ウルフの討伐を確認。』

『召喚獣:イガ、グリのレベルが3に上昇しました』


「すごいな……! 今の、イガもグリもすごすぎる! ワサビ君も、あのスピードの中でさすがの精度だ。みんな、本当にかっこいいぞ!」


「すごい……すごいよ、師匠! 圧倒的じゃない! これならどんな魔境だって踏破できそう!」


「うん。今日はみんな大活躍だったし、このくらいにしようか。帰って最高のご馳走を振る舞ってあげないと」


夕日に照らされながら、カケルたちは家路についた。新しい家族が増えた分だけ、歩幅も、笑い声も、少しだけ大きくなっていく。

執筆の励みになりますので、続きを読みたいと思っていただけたら、ぜひブックマークよろしくお願いします!評価もいただけると嬉しいです。


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