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前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


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第31話 遠征からの帰還

城塞都市リスティアの巨大な石造りの門を見上げ、カケルは胸の奥から吐息を落とした。視界に入る街並みは、ハルバート領へ向かう前と何一つ変わっていない。


「……帰ってきたな、みんな」


行き交う馬車の轍の音や、鼻を突く家畜と屋台の香辛料が混ざった匂い。それが少しだけ懐かしく感じられた。


(……俺やみんなの力が、少しでも騎士隊の役に立てたのなら良かったな)


左肩の上では、定位置を確保したワサビ君が、くるくると左右の目を別々の方向に動かして街の景色を眺めている。体色は、少なくとも落ち着いているように見えた。


カケルの足元では、茶渋が「にゃうん」と短く鳴き、彼の脛に体を擦り付けた。


「まずは、騎士隊へ報告に行こうか。報酬も受け取らないとな」


カケルは茶渋の頭をひと撫でしてから、隣を歩く騎士隊長のエアリスと共に、騎士隊の詰所へと向かった。


詰所に到着すると、エアリスはいつもの穏やかな笑みを浮かべ、自身の執務室へとカケルを促した。遠征中、常に先頭で隊を率いていた彼は、肩の力が抜けているように見えた。


「本当にお疲れ様、カケル。君と家族たちが同行してくれたおかげで、今回の遠征はこれ以上ないほどスムーズに進んだよ」


「ありがとうございます、エアリスさん。みんなが頑張ってくれたおかげですよ。俺はただ、指示をしていただけですから」


カケルが謙遜すると、エアリスは「それが一番難しいことなんだがね」と苦笑した。彼は執務室の机から、ずっしりと重そうな革袋を取り出し、カケルの前へと差し出した。


「約束の報酬だ。金貨50枚と特別報酬の上乗せの計60枚だ、受け取ってくれ」


受け取った革袋は、片手で持つのが少し躊躇われるほどの重みがあった。


(日本にいた頃の感覚で言えば、ひと月分以上……そんなところか)


「ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」


「君のことだ。きっとまた『家族』たちの環境作りに充てるんだろうね」


エアリスは、カケルの性格を見抜いたように穏やかに笑った。


「君のそういう、私欲のない実直さは本当に信頼できるよ」


「あの子たちが俺のすべてですから」


カケルは少し照れくさくなり、そう答えて早々に詰所を後にした。


カケルは足早に通りを抜け、愛しい家族たちが待つ自分たちの家へと辿り着いた。扉を開けると、天井を舞う鳥たちや梁に潜むジャンピングスパイダーたちの気配が、温かくカケルを迎え入れる。


(……そういえば、ハルバート領での一件以来、ちゃんとみんなのレベルを確認していなかったな)


一息ついたカケルは、脳内のナビゲーターへ静かに語りかけた。


「ナビゲーター。みんなの現在のレベルを表示してくれ」


『承知しました。全召喚獣およびオーナーのステータスを表示します』


脳内に、透明な輝きを伴って馴染みのある文字が浮かび上がった。


『オーナー:カケル・モリシタ、召喚士レベル8。茶渋、レベル21。ワサビ、レベル20。ほっぺ、レベル15。キンカチョウ、レベル15(4体)。ジャンピングスパイダー:レベル10(2体)』


「みんな、一気に上がったな……。俺の召喚士レベルも8に上がっている」


今までも、レベルが上がるたびにスキルの威力が増しているのが見て取れた。みなどんどん強くなっていく。


ほっぺやキンカチョウたちもレベル15となり、合流したばかりのキョロとチョロも節目のレベル10に到達した。


(みんな、逞しくなったな)


カケルは部屋の隅で茶渋を抱き上げ、その温もりを確かめるように抱きしめた。重低音の「ゴロゴロ」とともに、茶渋の体がじわじわと大きくなっていく。カケルは慣れた手つきで、そっと床へ下ろした。


ワサビ君はカケルの肩から動かず、一瞬だけ片方の目をカケルに向けて、ゆっくりと瞬きをした。


(金貨60枚。レベル8……)


ナビゲーターによれば、次の召喚枠の解放はレベル10だという。


カケルは、金貨が詰まった革袋を棚の奥へと仕舞い込んだ。


(……このお金は、貯金しておこう。いつか本当に理想的な土地を見つけた時に、あの子たちが誰にも邪魔されず、のびのび過ごせる場所を作るための軍資金だ)


今はまだ、この家での穏やかな時間を過ごそう。そう思いながら、カケルは窓の外を眺めた。

執筆の励みになりますので、続きを読みたいと思っていただけたら、ぜひブックマークよろしくお願いします!評価もいただけると嬉しいです。


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