ラストバトル④
世界が黒に染まった。
イザヤは重い瞼を開け、ゆっくりと自分の体を起こした。
そこは、果てしなく広がる虚無だった。
空も、地面も、全てが黒一色。無限に続く闇の中に、ただ一つ、異質な存在があった。
「——待っていたぞ、イザヤ」
アレクだった。
彼は虚空の中心に立ち、まるで王のように堂々と佇んでいた。その足元には、黒曜石のような床が広がっている。それがどこまで続くのか、イザヤには分からなかった。
「……俺の意識世界に、よくもノコノコ入り込んでこれたものだな」
アレクは静かに語る。
「いいか、イザヤ。ここは俺の世界だ。つまり、この空間では俺が神となる」
「へぇ、そりゃすげえな」
イザヤは肩を竦める。
「けどよ、俺だってタダで死にに来たわけじゃねえ。お前のそのクソみてぇな能力、ここで徹底的にぶっ壊させてもらうぜ」
アレクの顔が僅かに歪んだ。
「貴様、何を企んでいる?」
「お前が強化してくれたこの力……逆にお前自身にぶつけるのも悪くねぇよな?」
イザヤはニヤリと笑い、手をかざした。
瞬間——世界が弾けた。
暗闇の中に無数の亀裂が走り、空間が歪む。まるで巨大な鏡を叩き割ったかのように、あちこちが砕け散り、異様な光が漏れ出した。
「貴様……!?」
アレクの表情が険しくなる。
「俺は元々空間を支配する力でな……つまり世界の調律には俺にも利がある、お前の力の根幹を壊せば、どれだけ神だろうがただのクソ野郎に戻るんじゃねぇの?」
イザヤは一歩、また一歩と前進する。
「やれるものなら、やってみるがいい」
アレクが掌を開いた。
その瞬間——黒い世界が牙を剥いた。
無数の黒い刃が宙から出現し、一斉にイザヤへと向かってくる。まるで万の槍が降り注ぐかのような猛攻。だが——
「遅ぇよ」
イザヤの姿が、突如としてブレた。
次の瞬間、アレクの背後に回り込んでいた。
「チッ……!」
アレクは素早く振り向くが——
「遅いっつってんだよ!!」
イザヤの拳が、アレクの胸を撃ち抜いた。
衝撃が走る。
世界が震えた。
黒の空間が、激しく軋みを上げる。
「……ぐっ……!」
アレクの体が、一瞬、鈍く光を放つ。
「くそ……貴様……!」
彼の周囲に漂っていた原素が制御を失い、虚空へと散らばっていく。
イザヤは苦笑する。
「どうやら、俺の考えは間違ってなかったみてぇだな」
「……」
アレクは唇を噛み締める。
「だが——貴様の勝ちではない」
その瞬間、イザヤの背後に巨大な影が立ち上がった。
「——!」
黒き獣。
無数の触手のような腕がイザヤを捕え、圧倒的な力で締め上げる。
「ぐっ……!」
イザヤは抗おうとするが、その力は絶対的だった。
「これは……」
「ここは俺の世界だと言っただろう?」
アレクの顔が、不敵な笑みを浮かべる。
「貴様がどれほど足掻こうが、この空間で俺を倒す事は不可能だ……!」
「くそ……!」
イザヤは必死に力を込める。
だが——その抵抗は無意味だった。
「ハッ……!」
「なんだ?何がおかしい。自身の死に際に気でも触れたのか」
イザヤは口角を上げて笑みを浮かべる。
「お前さ、俺が本気でお前に勝ちに行ってると思い込んでんのか?」
「なんだと?」
「俺の力はお前の模倣さ。つまりオリジナルに勝てるなんざ、ハナっから考えてねえよ。つまりお前の力の根幹に触れられるタイミングを探ってただけだ」
イザヤは自身に絡みついている触手を両手で締め上げる。
「お前の作り出した幻想を破壊してやるよ!」
「チィッ、こいつ最初から捨て身か!」
イザヤは自身の持つ最大出力の念をアレクの触手に流し込む。その瞬間、アレクの頭部に激しいショックが流れていく。
「ぐわああああ、この雑魚風情がッ!」
目を血走らせたアレクはイザヤの肉体を触手で完全に握りつぶした。
「ハッ、後は頼むぜ、クソガキども……」
次の瞬間、黒の空間が完全に崩壊し——イザヤの意識は、深淵へと沈んでいった。
◇◆◇◆◇
「……イザヤ……!」
マヒロは驚愕した。
現実世界で、イザヤの体が完全に動かなくなった。
同時に、アレクがゆっくりと顔を上げた。
「——邪魔者は消えた」
彼の瞳に宿る冷たい光。
たが明らかにアレクの目には、最初に会った時ほど覇気が失われていた。
そして——
「さて、次は貴様らの番だ」
アレクの周囲に、無数の結晶が浮かび上がる。
「くっ……!」
マヒロは即座に身構える。
「お前を倒さねぇ限り、この戦いは終わらねぇんだよ……!!」
彼は拳を握りしめ、仲間たちと共に一斉に飛びかかる。
キョウゴが叫びながら拳を振るう。
カイが全力の蹴りを放つ。
ルナが拒絶の力を発動させる。
だが——
「無駄だ」
アレクの手がわずかに動いた。
瞬間——
「ぐああっ……!!」
キョウゴの体が吹き飛ばされた。
「カイ!」
マヒロが叫ぶが——
「クッ……!」
カイもまた、鋭い光の刃に斬り裂かれる。
次々と倒れていく仲間たち。
最後に立っているのは——
「……俺だけかよ」
マヒロは拳を握りしめる。
対するアレクは、微笑んだ。
「残ったか」
彼は静かに、手を掲げる。
「ならば、最後に貴様に絶望を与えてやろう」
マヒロは歯を食いしばる。
「……来いよ、アレク」
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!




