ラストバトル①
爆音が鳴り響く。
崩れ落ちていく学園の床。その上で、マヒロたちはアレクと対峙していた。
「……手間をかけさせるな」
アレクが低く、静かな声で呟いた。
その表情には焦りも怒りもない。ただ、面倒事を片付けるような、そんな淡々とした色だけが浮かんでいた。
「こっちは、早く“ターゲット”を確保して引き上げたいんだ」
そう言うやいなや、アレクは右手をかざした。
「お前たちに力の素を与えてやろう」
次の瞬間——。
「う、うあっ……!」
キョウゴの筋肉が異常に膨張した。身体が勝手に暴走し、制御不能になる。
「クソっ……なんだこれ……!」
「どうしたの!?」
ルナが叫ぶが、彼女も異変に気づく。
「……あれ、力が、使えない?」
ルナの拒絶能力が、発動しない。
「ほう。そちらも効いてきたか」
アレクは、冷ややかな瞳で見下ろしながら告げる。
「お前の力は反対に、“抜かせてもらった”」
「抜いた……?」
「私の能力は“原素掌握”だ。といってもお前達に理解はできないだろうがな」
アレクは掌をゆっくり握る。その周囲で、見えない何かが歪む感覚がマヒロには伝わってきた。
「力の素を操る。引き出し、与え、奪い取る」
そう淡々と説明しながら、アレクは一瞥をくれる。
「イザヤ、リディア、ラヴィニア。奴らにも私が“力”を分け与えてやった。……その結果が、あれだ」
小さく嘲笑が滲む。
「使えない連中だったな。力をくれてやっても、誰一人として狩れないとは……ゴミめ」
マヒロは奥歯を噛み締める。
「てめぇ……自分の仲間をそんな風に……」
「仲間?」
アレクは薄く笑った。
「私にとっては、ただの“道具”でしなかった。使えない道具は捨てる。それだけの話だろう」
そう言うと、アレクは右手を振り上げた。
「これ以上、無駄な時間を使いたくないのでね」
次の瞬間——。
目に見えない“塊”が空間を歪ませる。
ドンッ!!
何もない空間から衝撃波が放たれ、マヒロたちは吹き飛ばされた。
「ぐっ……!」
「くそっ!」
マヒロは必死に踏ん張る。
(空間が……揺れてる?)
直感で理解する。
アレクが操っているのは「目に見えない力」。タイタニアの能力そのものを構成する“原素”——おそらくはそのエネルギーを、塊にしてぶつけてきているのではないか。
「お前たちも、無様に地に伏して終わるか?」
アレクは無表情で告げる。
「そうであれば、せめて私の貴重な時間を奪わないでもらえるか?」
そう言った直後——。
「ぐあっ……!」
キョウゴの右腕が、再び暴走しかけた。
膨れ上がった筋肉が軋み、悲鳴を上げる。
「無理すんな、キョウゴ!」
マヒロが叫ぶ。
「てめぇ……ふざけやがって……!」
怒りが込み上げる。
マヒロは拳を握りしめ、自身の持つタイタン、空間掌握を発動させる。
「手間をかけさせるなと言っている」
アレクが掌を開いた。
次の瞬間——。
「ぐっ……!」
マヒロの全身が軋んだ。
「てめぇ……!」
「お前の“力の素”も、弄らせてもらった」
淡々と言い放つ。
アレクは、一切焦りも喜びも見せない。ただ“作業”として、マヒロたちを片付けようとしている。
「悪いが、もう終わりにしよう」
アレクの掌が開かれる。
“力の塊”が凝縮される。
「サクラさん……下がって!」
ルナが叫ぶ。
「マヒロ君も……!」
「——黙ってろ」
アレクが力を解放する。
ドンッ!!
爆風。
床が陥没する。
瓦礫が飛び散る。
マヒロたちは必死に回避する。
「クソ……!」
身体の節々から血を流しながら、マヒロは歯を食いしばる。
「私がターゲットを連れて行けば、それで終わるんだ」
アレクはそう言う。
「余計な犠牲を出さずに済む。お前らが無駄に抵抗するから、こうなる」
「サクラさんは渡さない!」
ルナが叫ぶ。
「だからこうしてるんだろうが」
アレクの声音に、僅かに苛立ちが滲んだ。
「お前ら、力の差を理解してないのか? 私の仕事の邪魔をするな」
「てめぇ……!」
マヒロが拳を握る。
(どうする……どうすりゃ、こいつに勝てる……)
追い詰められるマヒロたち。
アレクは、容赦なく止めを刺そうとしていた。
——その時。
ドドドドッ!!
遠くから、何かが近づいてくる。
「な……!」
アレクが初めて目を細める。
瓦礫を踏み潰し、姿を現したのは——。
「——イザヤ……?」
ボロボロになりながらも、あの飄々とした男が歩いてきた。
「ったく、派手にやってんな……」
イザヤがニヤリと笑う。
「ようよう、邪魔しに来たぜ、アレクさんよ」
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!




