崩落の学園
先ほどまでの喧騒が嘘のように、校舎内は張り詰めた緊張に支配されていた。
異変は突然だった。
「――えっ?」
誰かの小さな声を皮切りに、床がわずかに沈んだ。
次の瞬間、耳をつんざくような「ギシギシギシ……!」という不吉な軋みが廊下中に響き渡る。マヒロは直感した。
「――逃げろ!」
マヒロが叫んだ直後だった。
轟音とともに廊下が崩落した。
床が割れ、机が傾き、生徒たちが悲鳴を上げながら宙に投げ出される。
「きゃああああ!」
「助けて――!」
落下する生徒たちの叫び声が耳に刺さる。
マヒロは反射的に近くにいた片上ユリカの腕を掴んで引き寄せた。
「ユリカ!」
「ひっ……!」
ユリカは目を見開きながらも、マヒロにしがみつく。しかし――全員を助けられるわけではない。
目の前で、クラスメイトが無情にも闇に飲まれるように奈落へと落ちていく。
「……くそ!」
マヒロは歯を食いしばる。
(何だよこれ……!)
崩れ落ちる床、響き渡る悲鳴、そして、次々と消えていく顔。それはまるで地獄絵図だった。
ルナが必死に能力を使って周囲を安定させようとしている。しかし、範囲が広すぎる。力が及ばない部分では、生徒たちが次々と奈落に消えていった。
「間に合わない……!」
ルナの顔が青ざめる。
カイが両手で崩落する床を支えようとするが、むなしい抵抗だった。
「ダメだ……!」
キョウゴも力で壁を破って脱出経路を作ろうとするが、建物全体が歪んでおり、思うようにいかない。
「こんなの……!」
サクラが震えながらも、何かできることはないかと必死に周囲を見回す。
しかし、現実は無情だった。
そして――。
「ほう、これは随分と荒れているようだな」
その声は、崩れ落ちる瓦礫の音すらかき消すように、静かに響いた。
マヒロが顔を上げると、そこに立っていたのは、一人の男だった。
きっちりとスーツを着こなし、隙のない佇まい。
だが、その目には冷たさと、何よりも圧倒的な威圧感が宿っていた。
「アレク……!」
マヒロは無意識に拳を握りしめた。
その場にいる全員が感じていた。
――こいつは、別格だ。
「君たちの奮闘は拝見していましたが……どうやら、少し遅かったようだな」
アレクは生徒たちが落ちていく奈落を指差す。
「何人死んだか? 十人? 二十人? まあ、数えたところで意味なんて無いが」
淡々と、あまりにも軽い調子で言うその言葉に、マヒロの怒りが爆発した。
「ふざけんなよ……!」
「なんだ?」
「てめぇ、どうしてこんなことしやがる……!」
「誤解するな。私はただ、“手を加えた”だけだ。この空間は既に崩落を始めていた。俺はあくまでキッカケを与えたにすぎない。言っただろう、次に会う時が本番だとな」
「……!」
アレクは口元を歪めて笑う。
「さて――では始めようか」
次の瞬間、アレクの足元から黒い波紋が広がった。
「――来るぞ!」
マヒロが叫んだ時には、もう遅かった。
床から伸びる黒い腕が、一行を襲う。
「くっ!」
マヒロはユリカをかばいながら飛び退いた。
カイ、キョウゴ、ルナ、サクラもそれぞれ回避する。
「本気で殺す気だ……!」
キョウゴが拳を握りしめる。
「……当たり前だろう」
アレクは冷たく言い放つ。
「私は“仕事”を遂行するだけだ。それ以上でも、それ以下でもない」
そう言うと、さらに黒い波紋が広がり、校舎そのものが闇に飲み込まれていく。
「……ッ!」
マヒロたちはすぐに構えを取る。
「来るぞ……!」
マヒロはそう呟きながら、拳を握りしめた。
(――負けるわけにはいかない)
崩れ落ちる学園。
散り散りになっていく生徒たち。
そして――アレクという最強の敵。
マヒロは直感していた。この戦い、サクラが連れ去られてしまう結末が最もバッドエンドであることを。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
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