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俺が強すぎて人生ハードモード  作者: 雨宮悠理
Phase3 動乱の学園
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犠牲者たち

 「――皆、大丈夫か?」


 廊下に立つ淡海おうみマヒロの声は、張り詰めた空気に吸い込まれるように消えた。

 彼と共にいるのは、サクラ、ルナ、カイ、キョウゴ、そして救出されたミホと石田。全員がそれぞれ傷を負いながらも、ようやく合流を果たした。

 彼らは、異常事態の収束を確信していた。戦いは終わり、学園は平穏を取り戻す――そう思いたかった。

 だが、現実は違った。


 「……」


 教室の扉を開けた瞬間、一同は言葉を失う。

 そこにいたのは、泥だらけで、血にまみれ、怯えきった生徒たちだった。

 ある者は机に蹲り、肩を震わせて泣いている。ある者は、服を裂かれた傷口を押さえ、痛みに堪えている。そして――。


 「あ……」


 壁際にうずくまっている男子生徒がいた。腕は不自然な角度に曲がり、額には乾ききらない血の跡。その隣には、同じ制服を着た少女が寄り添っている。


 「……何、これ」


 サクラが小さく呟く。


 「……お互いにやらせたんだろうな」


 キョウゴが低く言った。「操られてたんだ。そういうことだろ」

 マヒロやルナも思い当たる。片上ユリカが操られ、マヒロを襲った時のこと。あれは氷山の一角に過ぎなかったのだ。


(まさか……こんなに……)


 マヒロは息を呑む。手が震える。だが、次の瞬間。


 「おい、来たぞ……!」


 「……あいつらだ!」


 「バケモノだ……!」


 教室の隅にいた生徒たちが、次々と顔を上げる。怒り、恐怖、嫌悪――あらゆる負の感情が入り混じった視線が、マヒロたちに突き刺さった。


 「ふざけんな……! なんで、俺たちがこんな目に……!」


 「全部、あんたたちのせいだろうが!」


 「……死ねよ。お前らの顔なんて見たくない……!」


 生徒たちは怯えながらも、怒号をあげる。血走った目で、震える声で、彼らは拒絶を示した。まるで、自分たちを破壊者だと罵るかのように。


 「違う……!」


 サクラが反射的に声を上げる。


 「私たちは、皆を守ろうと――」


 「守る? ふざけるなよ! だったら何でこんなことになったんだよ!」


 男子生徒が机を叩いて叫んだ。


 「お前らが変な“力”を持ってるせいで、こんなことになったんだろ!」


 「消えろよ! もう関わらないでくれ!」


(――ああ)


 マヒロは痛感した。彼らの言葉は理不尽だった。だが――正しい。

 マヒロたちは、確かに戦っていた。だが、その“結果”として、生徒たちは巻き込まれ、傷つけられ、恐怖に晒された。


 「マヒロ!」


 弾かれたように前に出たのは、片上かたがみユリカだった。


 「みんな、誤解してる! マヒロ君たちは――」


 「片上、お前……」


 「まだそいつらに脅されてるのか?」


 疑いの眼差しがユリカにも向けられる。


 「違う! マヒロ君は……私たちを助けてくれた!」


 ユリカは力強く叫ぶ。


 「私、操られて……マヒロ君に酷いことをして……でも、マヒロ君は私を助けてくれたの!」


 「……!」


 ユリカの告白に、生徒たちはざわめく。


 「……信じられねえよ」


 「……嘘じゃない。私は、見た。マヒロ君が必死にみんなを守ってた」


 ユリカは拳を握り締め、涙を堪えながら必死で訴える。


 「お願い……もう、責めないで……!」


 その横で、同じくイザヤ戦を共にした生徒たちも口を開いた。


 「あの時……俺も助けてもらった」


 「淡海は……命懸けで、守ってくれたんだ」


 「……だから、責めるのは、やめてくれ」


 言葉が重なる。最初は疑念に満ちていた生徒たちも、少しずつ怒りが薄れていく。それでも恐怖や不安は消えない。誰もが傷つき、限界だった。


 「……おい、もうやめようぜ」


 一人の男子生徒がポツリと呟いた。


 「俺たち、今は……休むべきじゃねぇのか」


 「ああ……そうだな」


 怒号が静まり、教室内には沈黙が戻る。

 マヒロはホッと息をついた。


 「ありがとう、片上」


 小声で伝える。ユリカは涙を拭いながら、微笑んだ。


 「ううん。私……助けてもらったから」


 マヒロは、ぎこちなく頷いた。


(……俺たちは、守れたのか?)


 心の中には、まだ答えの出ない問いが残っていた。


 その後、生徒たちを落ち着かせ、応急処置を施しながら、マヒロたちは校舎内を回って安否を確認した。

 廊下には血の跡が残り、割れたガラスが散乱していた。倒れている生徒の中には、意識が朦朧としている者もいた。彼らを担ぎ上げ、保健室へと運ぶ。


 その道中も、生徒たちの視線は冷たかった。まるで、“力を持つ者”を異物だと見るかのように。


(これが、力を持つってことか)


 マヒロは噛み締める。“力”を持つことは、守ることもできる。だが同時に、“力”を持つ者は、恐れられる。


 「……」


 マヒロは拳を握った。どんな視線を浴びせられても――前に進むしかない。守るために――。

みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!


こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!

この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!


ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。


そして最後に……

いいねやコメント、本当に励みになります!

いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!


それでは、今日も物語の世界へどうぞ!

お楽しみいただけますように!

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