黄金の導き
「…っ、くそ、こいつ…!」
キョウゴは忌々しげに舌打ちを鳴らしながら、目の前の女を睨みつけた。
ラヴィニア──黒のドレスに身を包んだ、グラマラスな体を惜しげもなく強調した美女。彼女はまるでダンスでも踊るような優雅なステップで、キョウゴの懐へと滑り込んでくる。
「そんなに怖い顔しないでよ、男の子でしょ?」
ふわりと絡みつく甘い香り。ゆったりとした動きとは裏腹に、その一撃は鋭く、正確だった。
キョウゴは拳を叩き込もうとしたが──その瞬間、ラヴィニアの指がキョウゴの顎を持ち上げた。
「──んっ♪」
唐突に、舌が這う感触がした。
「……ッ!?!?」
一瞬、自分の身に何が起こったのか理解できなかった。
ラヴィニアの舌が、彼の頬をゆっくりと這い上がる。その行為は妖艶で、挑発的で、しかし同時に──。
「……動けねぇ……!?」
異変に気づいたのは、ほんの一瞬遅れてからだった。
体が、硬直している。全身の筋肉が金縛りにでもあったかのように、まったく動かない。拳を振り上げたまま、腕はそのまま宙で止まってしまった。
「あはっ、カワイイ♪」
ラヴィニアは唇を艶めかしく舐めながら、囁くように言った。
「私に ‘愛された’ 人はね、しばらく自由を奪われちゃうの。どう? 初めての経験?」
「……ッ!」
キョウゴの目がギラリと怒りの色を宿すが、どうすることもできない。
ラヴィニアはその様子を愉快そうに見下ろしながら、「もっと楽しみたかったけど、そろそろ決めちゃおうかしら?」 と、彼の首筋に手を這わせた。
その時だった──。
「……ッ、やめろ!!」
カイの声が響いた。
だが、ラヴィニアは気にも留めない。優雅な仕草でキョウゴの頬を撫で、まるで手折る寸前の花のように扱う。
「あらあら、もうちょっと待っててね? すぐに ‘可愛いお友達’ の相手もしてあげるから♪」
カイは歯を食いしばった。
(クソッ、なんだよこれ……! 俺は──!)
足がすくむ。体が思うように動かない。自分の無力さが痛いほど突きつけられ、悔しさが胸を満たしていく。
キョウゴは目の前で捕らえられ、ルナは別の敵と戦っている。サクラはどう動くかわからない。
──このままだと、全員やられる。
(……力がほしい)
そう願った、その瞬間だった。
「……ッ!?」
視界がぐにゃりと歪んだ。
気づけばカイは、どこまでも広がる “無” の空間に立っていた。光も影もない、静寂だけが支配する世界。
──いや、違う。
たったひとつだけ、確かに “存在” しているものがあった。
それは──
「……ルナ?」
そこに立っていたのは、淡い金色の光を纏う女性 だった。
顔ははっきりと見えない。だが、髪の流れ、佇まい、雰囲気……どこからどう見ても、ルナにしか見えなかった。
「藤沢カイ……あなたには、力があるわ」
透き通るような声が、直接脳内に響く。
まるで、ルナが語りかけているようだった。
「俺に……力?」
カイが呟くと、ルナらしき光の女性は、ゆっくりと手を差し伸べた。
その手に触れれば、何かが変わる──そんな確信があった。
カイは、震える手を伸ばした。
「──うおおおおおっ!!」
光が弾ける。
現実に戻った瞬間、カイの目が青白く光を帯びた。
「……は?」
ラヴィニアが訝しげにカイを見た、その刹那──。
「キョウゴ!!」
カイの声が響いた瞬間、キョウゴを縛る見えない束縛が弾け飛んだ。
「……ッ!!」
キョウゴはハッとしたように息を飲み、体の自由を取り戻したことを確認すると、すぐさま後方へ飛び退る。
ラヴィニアは驚いた表情を見せた。
「……あら、あなた、意外とやるじゃない?」
カイは荒い息をつきながら、自分の手を見つめた。
指先に、うっすらと金色の光が宿っている。
(……今、俺がやったのか……?)
信じられない。けれど、確かに “何か” を掴みかけている気がした。
そして、キョウゴはニヤリと笑い、拳を鳴らしながら言った。
「……戦力にならねぇとか言ったけどよ、ちょっとは見直したぜ」
カイは少し気恥ずかしそうに頭を掻きながら、ニヤリと笑って返した。
「とりあえず、やってみようか」
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!




