歪められた楽園
キョウゴが舌打ちをした直後、ラヴィニアがくすくすと笑い声を漏らした。
「……うふふ、かわいい坊やたち。そろそろ私を楽しませてくれるのかしら?」
彼女は優雅な仕草で髪をかき上げると、その指先を軽く動かした。
次の瞬間、空間に紫色の波紋が広がり、キョウゴとカイの足元がぐにゃりと歪んだ。
「なっ……!」
カイが驚いて足を踏ん張るが、まるで床そのものが泥のように絡みつく。まるで足が地面に溶けていくかのような感覚。
「……テメェ、何をした?」
キョウゴは冷ややかな目でラヴィニアを睨みつけながらも、一歩も動けないことに気づく。
「んー? ちょっとした《お遊び》よ?」
ラヴィニアは妖艶な笑みを浮かべ、指先をもう一度くるりと回した。
――次の瞬間。
カイの視界がぐらりと揺れた。
「う……っ」
眩暈がしたかと思うと、いつの間にか自分の体が逆さまになっていることに気づく。
「なっ……!?」
カイは慌ててバランスを取ろうとしたが、感覚が狂っている。
まるで重力が反転したかのように、地面に立っていたはずの自分が天井に吸い寄せられていく。
「重力が……!?」
キョウゴも同様に、片足だけが床にめり込んだまま、もう片方の足が空中に浮かび上がっている。
空間が歪み、重力の向きがバラバラにされているのだ。
「うふふ、ふふふふっ。どう? 私の《エデン》は楽しいでしょう?」
ラヴィニアは愉悦に満ちた表情で二人を見下ろした。
「チッ……完全に遊ばれてるな」
キョウゴは忌々しげに舌打ちをした。
カイも歯を食いしばりながら必死に体勢を立て直そうとするが、足元どころか空間そのものがぐにゃぐにゃと歪んでおり、立つことすらままならない。
「さあ、どうするのかしら?」
ラヴィニアの指が再び宙を舞う。
その瞬間――キョウゴとカイの身体が、まるで糸で操られたかのように空間ごとぐにゃりと歪められた。
重力がめちゃくちゃにされ、視界すらも正常ではいられない。
「クソッ……!」
キョウゴが力を込めようとした瞬間、ラヴィニアが指をひらりと振った。
その直後――キョウゴの体が勢いよく壁へと吹き飛ばされた。
ドガァァァンッ!!!
轟音とともに壁が崩れ、キョウゴの体が突き刺さる。
「……マジかよ……」
カイはそれを見て、冷や汗を流す。
キョウゴの膂力ならば、まともに受ければ一撃で壁を粉砕できるはずだった。それが、逆に吹き飛ばされたのだ。
「あら、意外と面白くない子たちなのかしら……」
ラヴィニアがつまらなそうにため息をついた。
「さあ、そろそろ終わらせましょうか?」
彼女の指が、最後の仕上げをするかのように動く。
「――やらせるかよ!」
その瞬間、キョウゴの咆哮が響き渡った。
瓦礫の中から勢いよく飛び出し、拳を振りかぶる。
だが――。
「うふふ、まだ理解してないのね?」
ラヴィニアが小さく笑うと同時に、キョウゴの身体が空中でピタリと止まった。
「チッ……またか……!!」
キョウゴが歯を食いしばる。
ラヴィニアの空間操作の前では、力技は通用しない。
「さて、次はあなたね」
ラヴィニアがカイに視線を向けた。
カイは全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。
多分、まともにやり合えば。死ぬ。
だが――。
(……このまま何もしなければ結局、結末は変わらない)
カイは奥歯を噛み締めた。
その瞬間――彼の身体に、わずかながら《何か》が宿り始めた。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
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