離脱と共走
マヒロは荒れ果てた部屋で横たわっていた。廊下で気を失った後、サクラたちに運び込まれたらしい。薄暗い天井を見つめながら、イザヤとの戦いの記憶が脳裏をかすめる。
(アイツ……結局何者なんだ?)
指先に残る鈍い痛みが、精神的なダメージの深さを物語っている。イザヤの攻撃をマヒロの能力――空間掌握で完全に押し返したとはいえ、その過程で相当な負担を強いられていた。
「……マヒロ君、無理しないでね」
聞き慣れた声が響き、視線を向けるとサクラが心配そうにこちらを見つめていた。その隣にはルナとカイも立っている。
「大丈夫。ちょっと疲れただけだ」
そう答えるが、声はいつもより力なく、視線も定まらない。それでもサクラたちは何も言わず、じっと彼を見守っている。
「これ以上淡海さんに無理させるわけにはいかないわ」
ルナが静かに口を開いた。
「私たちで状況を調べましょう」
「いや……俺も……」
マヒロが起き上がろうとしたその瞬間、足元がふらついた。
「ダメ! 安静にしていて」
ルナの声には強い決意が込められていた。
マヒロは眉をひそめながらも、身体が言うことを聞かないのを感じ取って、渋々大人しく横たわった。
「いまだに状況がよくわかんないけどさ。俺たちでやるしかないだろ」
カイが肩をすくめる。
「淡海が寝てる間に片付けてくるさ」
そう言いながら、ちらりとマヒロを見る。その表情には複雑な感情が見え隠れしていた。
「分かった」
マヒロは小さく息をついた。
「でも、くれぐれも気をつけろよ。特にカイはな」
「おいおい、バカにすんなって」
カイが笑いながら答える。
こうして、三人はマヒロを残し、事象の解決策を模索するため、ルナが感じる違和感の最深部を目指して進むことにした。
廊下は異様な静寂に包まれていた。異変が起きているはずの校舎内で、進めば進むほど他の人々の気配が消えていく。
「……まるで誰かに飲み込まれたみたいな空気ね」
ルナが低くつぶやく。
「確かに、なんか嫌な感じがする」
カイは周囲を警戒しながら周りを見回している。
進むにつれて、空気がじっとりと湿り気を帯び始める。まるでどこか別の空間に迷い込んだような不気味さだった。
「たぶん校舎を封鎖しているのは誰かの能力だろうけど……根幹を探らないと」
サクラが呟いた。
「でも、根幹ってなんなんだ? というかその能力って何のことなんだ」
カイが戸惑いを見せる。
「それは、……たぶん今となっては、カイ君も無関係じゃないはずだから、きちんと説明はしていくよ」
サクラの言葉に静かに頷くカイ。するとルナがピタリと歩みを止めた。
「待って。少し感じる……この先に何かある気がする」
ルナが指をさした。
「マジかよ……。こんなべっとりした空気のとこ、行きたくないな」
カイは苦笑いを浮かべた。が、その目は今までにない程にピリついていた。
三人は薄暗い廊下を進んでいく。遠くで何かが軋むような音が聞こえたが、気のせいなのかどうか分からない。
「……誰もいないのが逆に怖いわね」
サクラがポツリと言った。
その言葉に、三人の間に沈黙が訪れる。それぞれが胸の中に不安を抱きながらも、前進していく。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
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