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俺が強すぎて人生ハードモード  作者: 雨宮悠理
Phase3 動乱の学園
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空想空間の葛藤

 広がる空間は白と黒の抽象画のようだった。足元は確かに地面を感じるが、それが何でできているのかもわからない。ただ、マヒロの周囲には絶えず波紋のような模様が広がり、彼の一挙手一投足を監視しているようだった。


「ここで終わりにしようぜ。お前も楽になる。俺も飽きてきた。」


 イザヤの飄々とした声が響く。彼は手に握った小さな球体――空間の中枢とも言えるそれを弄びながら、余裕の表情を浮かべていた。


 だが、マヒロの視線は別の場所に釘付けだった。遠くに見える2つの場面――。


 1つは倒れたサクラが囚われている光の檻。今にも消え入りそうな彼女の姿が映し出されている。

 もう1つは、多くの生徒たちが無数の鎖に絡め取られ、苦痛に歪む顔をしている光景。


「どうする?」


 イザヤが不敵に笑う。


「お前の好きなほうを選べ。そっちを助ければ、もう片方は跡形もなく消えてもらうけどな。」


「ふざけんな……」


 マヒロの拳が震える。選べという言葉が胸に刺さり、激しい痛みを伴って脳裏をかき乱す。


 サクラを助けたい。彼女を失うわけにはいかない。それは確かだ。

 だが、だからといって、無関係な奴らを見捨てることなんて……。


「迷ってる暇はないぜ?」


 イザヤが小さな球体を指で弾くと、光景が揺れる。生徒たちの悲鳴が耳をつんざき、サクラの囁くような声がかすかに聞こえた。


「……マヒロ君……お願い……」


 マヒロは両手で頭を抱え、奥歯を食いしばる。


(どっちかなんて、選べるわけがないだろ……!)


 突然、マヒロの脳裏にイザヤの嘲笑が響く。


「お前は誰も守れやしない。いつだってそうだっただろう?」


 その言葉が、胸を強く締めつける。過去の失敗、無力感がよぎる。


 ――いや、俺は全てを助ける。助けられる。たとえ自分を犠牲にしてでも。


「いい加減、調子に乗るなよ……!」


 マヒロが顔を上げ、鋭い目つきでイザヤを睨む。


「俺はどっちも選ばねえよ。」


 マヒロの言葉に、一瞬の沈黙が訪れる。だが、それを破ったのはイザヤの乾いた笑いだった。


「ははっ……バカじゃねえのか?選ばなきゃ、全員死ぬだけだぞ?」


「選ぶ必要があるってのが、そもそも間違いなんだよ。」


 マヒロは拳を握りしめた。そして、自分の足元に広がる空間を鋭く見据える。


「俺が壊すのは……このクソみてえな選択肢そのものだ!」


 突如、マヒロの体から黄金の光がほとばしった。その眩い光は、周囲を覆う白と黒の世界を押し返し始める。自身から飛び出した光にマヒロ自身も驚きを隠せなかった。


「ふざけるな!」


 イザヤが球体をかざし、空間を安定させようとする。しかし、マヒロの力はそれを上回る勢いで広がっていった。


「おい、待て……お前、まさか空間そのものを――!」


 イザヤの顔から冷笑が消える。その代わりに、焦燥と驚愕が浮かび上がった。


「どんな選択肢を用意されても、俺のやりたいことは変わらねえ!」


 マヒロが地を踏みしめながら叫ぶ。


「俺は全員を助ける!」


 その瞬間、足元の空間が割れ始めた。ひび割れた大地から無数の光の柱が立ち上り、イザヤが作り上げた空想空間を引き裂いていく。


「ふざけるな!お前がそんなことをしたら、この空間は暴走して……!」


 イザヤの声が途切れる。崩壊する空間の中、マヒロは振り返ることなく前に進む。


「全部まとめてぶっ壊してやる!」


 空間は崩壊の極致に達し、イザヤ自身もその中に巻き込まれそうになる。


「バカが……!お前まで消えるつもりか!」


 しかし、マヒロは気にも留めない。その目は、前方に見える小さな光だけを見据えている。


「選択肢なんてくだらねえ。俺は、俺のやり方で全員助けるだけだ。」


 その瞬間、マヒロの体が眩い光に包まれた。そして、マヒロは不敵な笑みを浮かべて言い放つ。


「こんなものに惑わされる俺じゃない!」


 マヒロがイザヤの懐に飛び込み、その胸倉をつかむ。


「それにな、俺はお前だって救ってやるよ、イザヤ。」


 その一言に、さすがのイザヤも表情を一瞬だけ歪めた。


 だが、すぐに薄ら笑いを浮かべる。


「……お前、ホントにバカだな。俺を、救う?」


「お前みたいな奴を放っておいたら、また同じことを繰り返すだろうが。それじゃ、全然面白くねえだろ?」


 マヒロは口元に不敵な笑みを浮かべた。


 その言葉に、イザヤは目を見開き、しばらく沈黙する。だが、次の瞬間、彼は吹き出した。


「ハッ……、お前。マジで面白え奴だな……! この状況で言うことじゃねえだろ」


 イザヤの肩が震えるほどの笑い声が空間に響いた。


 笑い終わると、イザヤはすっと顔を引き締め、マヒロを見据えた。

 その瞳にはこれまでの軽薄さではない、冷たさとも違う、妙な感情が宿っていた。


「ここで潰しとくつもりだったけどよ……もうちょっとお前を見てみたくなった。せいぜい死ぬなよ、そしてそのくだらねえ信念を――貫き通せ」


「……言われなくても」


 静かに返すマヒロを見て、イザヤは苦笑した。


 空間がゆっくりと崩壊し始める。

 イザヤの姿も光に溶けるように薄れていく中、彼は最後に呟いた。


「……俺とは違ってな」


 その言葉を最後に、イザヤの姿は完全に消えた。そしてそれに同調するかのように空間が崩壊し始め、光がすべてを飲み込んでいった。マヒロは最後にサクラや、他の生徒たちの姿が浮かび上がるのを見た。


(俺のやり方、間違ってないよな――。)


 そう心で呟きながら、マヒロは光の中に消えていった。


◇◆◇◆◇


 気づくと、マヒロは冷たい廊下に横たわっていた。頭上にはサクラやルナ、カイの心配そうな顔が見える。


「マヒロ君、大丈夫!?」


 サクラの声が震える。


 一瞬、何が起こったのか分からず、ぼんやりと天井を見上げるマヒロ。

 だが、次第に視界がはっきりしてきた。自分が無事であることを確認すると、彼は静かに目を閉じた。


「……全部、助けたよな?」


「え?助けたって、いったい何の話?」


「いや、……いい」


 そう呟くと、マヒロは安堵の表情を浮かべた。


 その手のひらには、まだイザヤとの戦いの余韻が残っていた。

みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!


こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!

この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!


ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。


そして最後に……

いいねやコメント、本当に励みになります!

いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!


それでは、今日も物語の世界へどうぞ!

お楽しみいただけますように!

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