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俺が強すぎて人生ハードモード  作者: 雨宮悠理
Phase2 嵐を呼ぶ力
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夏の街と歪んだ視線

 夏日の夕方。陽は西に傾きかけているが、まだ空は明るく、澄んだ青が遠くの雲に溶けていた。アスファルトの道路はじっとりと熱を帯び、空気には昼間の名残のような生暖かさが残っている。


「……暑いな」


 マヒロは小さく呟き、額の汗を指で拭った。


「ほんとだね。最近は特に日が暮れるの、遅いよね」


 隣を歩くサクラも、手に持ったハンディファンを首元に当てながら、小さなため息をついた。


 商店街に差し掛かると、昼間の喧騒は和らいでいたが、まだ営業中の店先からは夕飯の買い物客がちらほら見えた。焼き鳥屋台の煙が漂い、香ばしい匂いが鼻をくすぐる。


「焼き鳥いいな~」


 サクラが匂いに釣られるように屋台を横目で見ながら言う。


「食べたらいいだろ」


「今お腹空いてないし、我慢する。淡海君は?」


「いや、俺も別に」


 子どもたちのはしゃぐ声や自転車のベルの音が、夏の街の音として耳に残る。


「淡海君、七神さんとまた会うの楽しみでしょ?」


 サクラがハンディファンを止め、いたずらっぽい笑みを浮かべた。


「そんなわけないだろ。あの人のなんかちょっと腹黒な感じ、割と苦手だし」


「えー、でも七神さんって面倒見良いよ? あれでも頼れる人だと思うけどな」


「お前、それ本気で言ってんのか?」


 マヒロは呆れたように肩をすくめた。


「うん、本気。淡海君に比べたらよっぽど大人だし」


「俺と比べんな」


「まあとにかくそんな風に言わないの。私たちの力になってくれる人なんだから」


 隣でサクラが笑顔を浮かべながら言うが、マヒロは少し眉間にシワを寄せていた。


「てかそもそもあの施設に行くのに毎回送迎が必要だってのも、マジで面倒くさい」


「淡海君、ほんと文句ばっかりだね」


 二人の軽いやり取りが続く中、後ろから親しげな声が響いた。


「おや、芹沢さん。こんなところで何をしているの?」


 マヒロが振り返ると、そこには1人の男子生徒が立っていた。端正な顔立ちに整った髪型、制服の着こなしもキッチリしている。だが、その瞳にはどこか底知れない冷たさが宿っていた。


「……あれ、黒崎君。生徒会長さんがこんなところでどうしたの?」


 サクラが声を上げ、嬉しそうに歩み寄る。


「ふふ、さすがだね、芹沢さん。僕が生徒会長になったばかりだっていうのに、ちゃんと覚えていてくれるなんて」


 会長はサクラに向かって柔らかく微笑んだ。その笑顔には親しげな空気が漂っていたが、マヒロはどこか不快感を覚えた。


「……誰だ?」


 無意識にそう尋ねたマヒロに、生徒会長の目が一瞬だけ冷たく光る。だが、すぐに興味を失ったように視線を外すと、再びサクラに向き直った。


「淡海君、新生徒会長のこと知らないの? この前就任したばっかりなんだよ。ウチらの代じゃ藤沢くんと同じくらい有名だと思うけどな」


 サクラがフォローするように笑いながら説明するが、生徒会長はマヒロを完全に無視して話を続けた。


「芹沢さん、これからどこかへ行くの?」


「えっと、ちょっと用事があって」


「そうか、それは残念だな。また学校でゆっくり話そう」


 生徒会長は名残惜しそうにサクラを見つめた後、マヒロの方を一瞥する。その目には明らかに憎悪と嫉妬が混ざっていたが、何も言わずに踵を返し、その場を立ち去った。


「……なんだあいつ?」


 生徒会長の背中が見えなくなった後、マヒロが呟いた。


「ん? 黒崎君、めっちゃ優秀なんだよ。成績も学年トップだし、誰にでも優しいんだって」


 ただサクラは少し怪訝そうに彼の背中を見つめて呟いた。


「でも今の感じ……、いや、まさかね」


「てかアイツの目……普通じゃなかっただろ」


「え、そうかな? そんなことないと思うけど」


 マヒロは納得がいかない様子で顎に手を当てたが、結局深く考えるのをやめた。


 それから数分後、二人は七神が手配した送迎車の前に立っていた。真っ黒なボディの高級車が街中でも異彩を放っている。


「おお、派手だな……」


「七神さん、意外と見栄っ張りだよね」


 サクラが笑いながら助手席側のドアを開け、マヒロも少し渋い顔をしながら後部座席に乗り込んだ。


 車が静かに発進し、目的地に向かって動き出す。マヒロは車窓から街の景色をぼんやりと眺めていたが、先ほどの生徒会長の冷たい視線がどうしても脳裏に残っていた。


(……あいつ、どうもただの生徒会長って訳じゃねえよな)


 そう思いつつも目的に集中することにした。車は、七神の施設へ向かっている――。

みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!


こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!

この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!


ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。


そして最後に……

いいねやコメント、本当に励みになります!

いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!


それでは、今日も物語の世界へどうぞ!

お楽しみいただけますように!

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