マヒロの午後
窓際の席に座りながら、淡海マヒロはぼんやりと外を眺めていた。
昼休みの教室は、どこか気怠い空気に包まれている。あちこちでグループが集まって雑談をしており、誰かが笑い声を上げると、それに合わせて周囲も盛り上がる。
だが、そんな賑やかさから少し離れた窓際の席にいるマヒロは、まるで別世界の住人のように静かだった。
(……なんでこう、最近ややこしいことばっかり起きるかな)
窓から見える景色を眺めながら、マヒロはここ数日の出来事を思い返していた。
矢口との戦いで引き出されたタイタンの力。
七神アキトとの出会いと、月瀬家での決闘――。
普通なら一生関わることのないような世界に、気づけばどっぷり巻き込まれてしまっている。とはいえ、元々こんな訳分からん力を持っていた時点でいつかはこうなる運命だったように思う。
(俺はただ平穏に過ごしたいだけなのに……)
溜息をつきそうになったその時――妙な気配を感じて、マヒロはふと前を見る。
「ニヤリ」。
目の前の席に、芹沢サクラが座ってこちらを見ていた。
元々その席の持ち主だったクラスメイトはどこかに行ったらしい。サクラはそんなことを全く気にせず、楽しそうに笑っている。
「……おい、何してんだよ」
マヒロが眉間に皺を寄せて問いかけると、サクラは無邪気に笑いながら言った。
「やっほー、淡海君。元気そうじゃん!」
「いや、なんでお前がここにいるんだよ。つーか、なんで勝手に座ってんだ」
目の前でニヤニヤと笑う芹沢サクラの姿を見て、マヒロは思わずため息をついた。
彼女は勝手に前の席に座り、肘をつきながらこちらをじっと見ている。
「それよりさ、淡海君。なんかちょっと暗くない?せっかく別のクラスから遠路はるばる話にきたのにさ」
「いや、別に暗くねえよ。それからそんなこと俺は1ミリも頼んでねえよ」
「そう?でもほら、もうちょっとこう、楽しい顔しようよ!淡海君ってさ、笑うと意外とイケるタイプだと思うよ」
「余計なお世話だ」
会話を交わすたびに、サクラのニヤけた表情はますます楽しそうになる。
その様子に、マヒロは「まただよ」と心の中で呟いた。
周囲を見渡すと、クラスメイトたちがちらちらとこちらを見ている。窓際で一人静かにしていたマヒロが、突如別のクラスの女子と楽しげに話している。それもあの芹沢サクラと――そんな状況が気になるらしい。クラス中の男子の目がどことなく痛い気がする。
「おい、サクラ」
マヒロはサクラに視線を戻し、小声で言った。
「目立つだろ。ちょっと静かにしろよ」
「えー、私たちそんなに目立ってる?」
「明らかに見られてるだろ……」
教室の隅で固まって話している女子たちが、こそこそと何かを話しながらこちらを見ているのが分かった。
「うーん、だとしても別にいいんじゃない?気にしない気にしない!」
俺はお前とは違うんだ――そう言い返そうとしたところで、教室の入り口に人影が現れた。
長身で引き締まった体つきの男子が、躊躇いがちに教室の中に足を踏み入れてくる。
他クラスの生徒らしく、どうやらサクラを探している様子だ。
「お、来た来た!」
サクラはその男子に向かって手を振り、にっこりと笑った。
「サクラ、ここであってるんだよな……?」
男子が声をかけると、サクラは笑顔で応じた。
「そうそう、思ったより来るの遅かったね」
男子はちらっとマヒロに目を向けると、少しだけ表情を引き締めた。
「君が噂の『淡海君』であってるのかな?」
「噂の……?」
マヒロが眉をひそめると、サクラは楽しげに頷いた。
「そうそう!この子、淡海マヒロ君。何でも解決できるよ、スーパーマン!」
男子はしばらくマヒロを観察するように視線を送った後、静かに息をついて言った。
「そうか。急にこんなことを言い出して申し訳ないんだけど、実は君に頼みたいことがあるんだ。どうしても君にしか頼めなくて……!」
真剣な目を向けてくる男子の言葉に、マヒロは一瞬だけ固まる。
「……頼み?俺に?」
突然の出来事にマヒロは目を丸くするばかりだった。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
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