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俺が強すぎて人生ハードモード  作者: 雨宮悠理
Phase2 嵐を呼ぶ力
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月影の目覚め

 少し薄暗い部屋の中、マヒロはゆっくりと目を開けた。

 天井に見慣れない木の梁が走り、鼻腔には仄かな檜の香りが漂う。どうやらどこかの和室にいるようだ。ぼんやりとした視界の中、ふと横に感じる人の気配に目を向けると、そこには月瀬ルナがいた。


 「……あ、気がついた、淡海さん」


 ルナは膝の上に置かれた冷却タオルを静かに手に取りながら、マヒロの顔を覗き込んでいた。その瞳はどこか冷静さを保ちつつも、心配を隠しきれないように微かに揺れている。


「……俺……負けたのか?」


 声を絞り出すように尋ねるマヒロに、ルナは黙って小さく頷いた。


「そう。葛城さんに……あなたの力は及ばなかった。でも――」


 言いかけて、ルナは言葉を切る。代わりに冷却タオルを再び額に載せると、ひんやりとした感触がマヒロの額を落ち着かせた。


「でも?」


 マヒロが再度問いかけると、ルナは少しだけ俯き、ゆっくりと口を開いた。


「あなたは最後まで諦めなかった。どんなに押し潰されても、立ち上がろうとした。見ていて、本当に……すごいと思った」


 その声にはどこか感情が滲んでいる。彼女にとっては、もしかすると何か響くものがあったのかもしれない、とマヒロはぼんやりと思う。


 「……そうか。でも俺にとってはただの無様な負けだよ」


 そう吐き捨てるように言いながら、マヒロは布団の中で拳を握りしめた。その悔しさが痛いほど伝わったのか、ルナは小さくため息をつく。


「淡海さん、出過ぎたことを言ってしまうかもしれません。ごめんなさい――。」


 ルナは彼の拳にそっと目を落としながら言った。その声は優しさとともに、どこか冷静さを含んでいる。


「……悔しいとは思うけど、最後まで諦めずに戦いましたよね」


 ルナの柔らかな声が、静かな部屋に響いた。


「私だったら……きっと、怖くて挑戦なんてできません。でも、淡海さんは違う。ちゃんと抗って、挑戦できる。その姿を見て……尊敬しました」


 ルナの視線が揺れた。彼女の声には、隠しきれない本音がにじんでいる。


「……尊敬、ねえ」


 マヒロは少しだけ苦笑を浮かべながらも、彼女の言葉を否定する気にはなれなかった。


 二人の間にしばしの静寂が訪れる。心地よい沈黙――と、そんな雰囲気を壊すように、大きく開け放たれる襖の音が響いた。


「ほほう、若いのにもう仲良くやっとるのか?」


 ガハハと笑いながら月瀬隆盛が姿を現した。その後ろには七神アキトと数人の使用人らしき者たちが控えている。


「お邪魔だったかな?」


 七神が軽い口調でそう言うが、どこか鋭い目線をルナとマヒロに向けている。


 ルナは慌てて立ち上がり、少し頬を赤らめながら小さく頭を下げた。


「……いえ、そんなことありません」


 マヒロは小さくため息をつきながら、布団の上で体を起こした。


「……で、負けた俺はどうなるんすか?」


 布団から体を起こしたマヒロが、隆盛に向かってそう尋ねる。


 隆盛は一瞬だけマヒロを見下ろすように目を細めると、ふん、と鼻で笑った。


「何を寝ぼけたことを。ハナからお前が勝てるとは思ってないわ」


「……は?」


 思わずマヒロは顔をしかめた。


 隆盛は腕を組み、堂々と笑いながら続ける。


「タイタンの力を持っていようと、所詮まともに覚醒して数日。お前には現実をしっかりと分からせる必要があっただけだ」


 七神が横から「まあまあ、隆盛さんなりのフォローだよ」とコメントを入れるが、マヒロには納得できる話ではない。


「じゃあ……俺がやられ損ってことですか?」


 隆盛は口元を歪めて笑いながら、マヒロの言葉に首を横に振った。


「いや、そんなこともない。お前は負けはしたが、あの葛城に少しヤル気を出させた。これは正直予想を大きく超えていた。お前の能力を見込んで今後、頼みを聞いてもらうこともあるかもしれんな」


「……頼み?」


「ああ、そうだ。今はまだ言わないがな」


 隆盛は不敵な笑みを浮かべながらマヒロをじっと見つめた。


 ルナが小さな声で「お父様……」とたしなめるように呟くが、隆盛はその声も意に介さず部屋を出て行く。


 残されたマヒロは、再びため息をつきながら布団に背を預けた。


「……この家、面倒な奴ばっかだな」


 隣で立ち尽くしていたルナは、苦笑を浮かべながら小さく呟いた。


「それは……私も、少しそう思います」


 ルナの柔らかな声が、少しだけマヒロの心を軽くしたように感じられた。

みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!


こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!

この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!


ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。


そして最後に……

いいねやコメント、本当に励みになります!

いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!


それでは、今日も物語の世界へどうぞ!

お楽しみいただけますように!

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