タイマンの幕開け
辺りが薄暗くなった頃、マヒロはサクラとミホを連れて、指定された場所へ向かっていた。
その場所は学校から少し離れた廃工場の裏手。昼間は物静かだが、夜になると地元の不良たちが集まりやすい場所として知られていた。
本当はマヒロ一人で来るはずだったが、どうしても付いて行くと聞かないサクラと、よく分からない責任を感じ、せめて見届けさせろと聞かないミホを連れて行く羽目になった。
「マジで不良映画でしか見たことねえよ、こんな場所……」
マヒロは既に来てしまったことを後悔し始めていた。無視しても良かったが、それで結局ミホに何かあってはいけない。それに正々堂々と勝負を申し込んできた矢口の意思をなんとなく無碍にはできなかった。
「すっごい場所だね!」
サクラは何も怖がらずに辺りをキョロキョロと見渡している。
一方で、ミホは震えながら後ろをついてきた。
工場裏手の空き地に着くと、そこには既に大勢の不良たちが群がっていた。まるで見物客のようにざわざわと話しながら、マヒロたちに気づくと一斉にこちらを睨みつけてきた。
「おい、あれが相手のクソガキじゃねえか?」
「こんな陰キャが矢口さんとタイマンだってよ!」
群衆の中からブーイングと罵声が飛び交う。
「おい、お嬢ちゃんたち、今日は応援団か?」
「俺らとこっち来て仲良く応援しようぜ~?」
サクラやミホに対してセクハラまがいの言葉を浴びせる者もいた。
「てめえら、うるせえぞ!」
鋭い怒声が群衆を黙らせた。その声の主は、ゆっくりと現れた矢口だった。
「ガタガタ騒いでんじゃねえよ。静かに見てろ」
矢口が一喝すると、不良たちは何も言えずに頭を下げる。彼の圧倒的な威圧感に、その場の空気が一瞬で変わった。
矢口はマヒロに向き直ると、静かに言った。
「来たか」
「……ああ」
二人は無言のまま向かい合う。周囲の不良たちが自然と息を潜め、緊張した空気が漂った。
「ルールを確認するぞ」
矢口が低い声で言う。
「どっちかが降参するか、10秒立ち上がれなければ終わりだ。それでいいな?」
マヒロは頷いた。
「……なあ、矢口」
「…………」
「今のうちにやめねえか?怪我する前に」
だが、矢口はその言葉にかぶせるように言い返した。
「心配無用だ。俺はここに死ぬ覚悟で来てる」
「……本気かよ」
マヒロは呆れたように息を吐いた。
(仕方ねえ……やるか。大怪我させない程度に痛めつけて、さっさと終わらせる)
二人が構えると、不良たちが口々にざわめき始めた。
「矢口さん、やっちまえ!」
「あのクソガキ、矢口さんとやり合えばマトモな身体じゃ帰れねえぞ」
「始めろ!」
誰かの合図でタイマンが始まった。
マヒロは軽くなるべく力を込めないよう矢口の顔面にパンチを当てるため腕を振る――その瞬間だった。
矢口の右フックが鋭い軌道を描き、マヒロの側頭部を直撃した。
「――っ!」
衝撃でマヒロの体が宙に浮き、数メートル先の地面に叩きつけられる。その瞬間、薄汚れたコンクリートの地面にバキバキと音を立ててヒビが入った。
「……痛ぇ」
マヒロは地面に手をつきながら呆然と呟いた。
(俺が……殴られて……痛みを感じてる……?)
初めての感覚に動揺しながら、マヒロは矢口を見上げた――。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
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