十一話 芽生えた気持ち
カレン視点です。
遅れて申し訳ありません。
わたし──カレン=カタトロフはへんきょうはくの長女として生まれました。家は裕福で、お金に困ることはありませんでした。
おとうさまもおかあさまもわたしの家で働いてくれてる人達も皆優しくて、とっても幸せです!
最近、おとうさまがしつむしつ? にわたしを呼び出して鈍色の本を渡してきました。おとうさまの説明を聞いてみると、わたしが受け取った本は魔書と呼ばれている本で、私専用の魔書だと教えられました。
おとうさまは説明を続けます。
「カレン。その魔書は魔導書と言ってね。魔書には二つ種類がある、魔術書と魔導書だ。中でも魔導書というのはとっても珍しい魔書なんだ。さぁ、一番最初のページを捲ってごらん?」
わたしは言われた通りにページを捲りました。
「ほら、一番最初のページにカレンの現在の状態が載っているんだ。便利だろう?」
わたしは最近文字を習い始めたばかりなので
、所々読めない文字がありました。わたしはおとうさまに読むのをお願いします。
「おとうさま、読めないところあるから読んでー?」
「ん? どれどれ……」
カレン=カタトロフ
種族 人間
職業
魔書 『剣士の書』
属性 緑
体力 90
魔力 0
敏捷 120
知力 70
防御 100
わたしの今のすてーたすがわかりました。
「ほう……。これは、魔導書だね。しかし、『剣士の書』か。カレンは騎士職に就いても安泰だな。しかし、私としては……」
おとうさまは一人で何かを呟いています。
わたしはおとうさまに言われた自分のすてーたすを見て、これからわたしの未来に何が待っているのかを考え、期待に胸をふくらませました。
―――――――――
私が魔導書である『剣士の書』をお父様から受け取ってから三ヶ月。
お父様は私に、
「剣術を学びなさい。それが後々のカレンの役に立つ」
と言って、『剣士の書』を受け取った日から私の剣術の先生を雇っていたらしく、今日に至るまで剣に関する訓練をしてきた。先生は勉学等も教えることが出来るらしく、最近は私も知識がついてきた気がする。
先生からは「どんどん知識を吸収してくとは……。お嬢様は凄すぎます」と褒められちゃった。
言葉を発する時の発音の方はまだほんの少し時間が必要だけど……。
最近は剣術の訓練がない日は、物心ついた時から一緒に遊んでいたアイラとユーマを連れて街の色んな場所に遊びに行きました。
街の人たちはとても親切で、よく果物とかを貰いました。
でも、私達が生活している調教師の街キューズは小さな子供は大抵外に出させることはありません。
街には調教されているとはいえ、魔物などがいます。調教されている使い魔はしっかりと体のどこかに主人から貰った物を付けているはずなので、野生の魔物とは大体区別が付きますが、それでも突然暴れだす使い魔もいれば、ごく稀に野生の魔物が市街地の中に現れます。
そのため、私達くらいの年齢の子供は外出を許されていない子もいます。
そんなある日、いつも通りアイラやユーマと一緒に、街の中にあるニュル川に遊びに来た時です。
川辺に銀髪で少しだけ黒髪が交じった見知らぬ男の子がいました。
けれど、外見を見た時にお父様から街の英雄『シュラ=サンフォード』様の子供は銀髪の中にほんの少し黒髪が交じっていると聞いていました。
か
もしかして、と思いその男の子に声をかけることにしました。
サンフォードの家の子なの? と訊ねると、男の子は肯定しました。
街の英雄の子供! 私は少し興奮しました! そしてつい友達になってくださいと、お願いをしてしまいました。
彼は戸惑いつつも、了承してくれました。
男の子はユキトと言う名前で、話してみると人当たりの良さそうな性格というのでしょうか? とても気さくで話していくうちに自然と仲良くなれる不思議な雰囲気を持っていました。
そんな彼が、水面を凝視したあと水中に異変があると言い始めました。
最初は魚類系の魔物では? と思ったのですが、よく見てみると全く違いました!
私はすぐさま後ろにいるアイラとユーマに臨戦態勢を取るように指示を出しました。私もすぐさま『剣士の書』を使う準備をしようと思い、太股についているブックホルダーに手を掛けましたが、それよりも早くスライムは私に飛びかかってきました。
予想以上に素早い動きで向かってくるソレに私は対応できずにいました。
目前に迫ったスライムを見て、私は「あぁ、ここで死ぬのかな……」と思ってしまいました。
けれど、私とスライムの間に割って入る人影がありました。それはユキトでした。
スライムはユキトの腕に絡みつきましたが、私は恐怖で動けずにいました。
ユーマが何かを叫んでる。
ユキトの腕が燃え盛る炎に包まれ、その後に続く響くユキトの絶叫。
スライムは絶命寸前になりましたが、ユキトは重症を負い、私とアイラは最後まで動けずにいました。
足は震え、今にも座り込んでしまいそうです。
そんな中、不思議な光景が目の前に広がりました。
なんと、絶命寸前だったスライムが突然眩しく光り輝いたかと思ったら、光が収まると、浅葱色だったスライムの色が、透明に澄んだ色に変化していて、ユーマの炎で負ったダメージも完全に消えていました。
けれど、少し様子がおかしいのです。
そのスライムはユキトに近付いたとおもったら、ユキトに擦り寄る様に身を寄せました。
それはまるで、主人に甘える使い魔のような仕草でした。
そんなスライムに、ユキトは焼け爛れた左腕に構わずに使える右手でスライムを撫でていました。
私は何が起こったか分からずに、ただ放心していました。
けれど、スライムを撫でているユキトの横顔を見ていると、胸が少し苦しくなりました。何故でしょう?
それよりも、ユキトを早く手当しなくては!
私達は、怪我を無視しながらスライムを撫で回すユキトに、必死に家に帰るようにと伝えたのでした。
面白いと思えて頂けたら嬉しいです。




