天才と買い物2
連続投稿中。本日ラスト。
「・・・・・本当、ごめんなさいね」
どれほど素材に夢中になっていたのかわからない。
だが、フィーへ退屈しのぎ用の宝石があてがわれており、オルザとエーゲルから呆れた目で見られるぐらいには時間が過ぎていたようだ。
「クレアって、変わってるんだね」
フィーの言葉に落ち込む日が来ようとは。小さくうなだれる。
「あはは! それで、買うやつ決まったの? それとも全部?」
「うう、悩んだけれど・・・・・この子たちにするわ」
人の役に立ちたいと願った優しい子と、成りたいものが分からない器用貧乏な子。
願いも、品質も、錬金要素も、特性もとても良い。私の作りたいものに当てはまっていた。
「・・・・・クレアは物を人のように話すんだね」
「え? んー、そうね。確かにこの子たちは人ではないけれど、人と同じだもの。個性があって、得意なこと不得意なこと、叶えたい望みがある。ただ、自由に動かせる体と、願いを伝える口がないだけ。けれど、いつも思いを外に出しているの」
フィーが素材を耳に当て、真剣に何かを聴こうとした。
「多くに人には聞こえないけれどね。・・・・・だから、幻聴だとか妄想だとかよく言われるわ。でもね、その願いを私なりに叶えてあげたいの。それが出来るのが錬金術なのよ」
錬金術師は、不可能を可能にするものだと言われていたが、違うと思っている。
素材の願いを叶えてあげる、そんな力だ。
少なくとも私はそうあるべきだと考えていた。
「そっか。じゃあ、これは? この子は何て言っているの?」
フィーが近くにあった宝石を手に取り、渡してくる。それを鑑定した。
「あら、この子可愛いわ。フィーのこと気に入ったみたい。あなたの魅力を引き出す要素の一つになりたいって言っているわ」
「本当!? あたしも、この子のこと気に入ってたの!!」
「じゃあ、両想いね」
ふふふ、と笑い合った。
店主は商売のチャンスを見逃さない。
「それでしたら、良ければこちらでお嬢様に似合うように加工させていただきますが」
「んー。・・・・・クレア、作れる?」
「ええ、もちろん。私、天才だから」
「じゃあクレアに頼むから必要ないわ」
店主はポーカーフェイスを保っていたが、大きく落胆しているようであった。
それから宝石もみた。
フィーへ持ってこられたある程度加工されたものや、原石のままのものなど宝石関係ならば、何でも用意させた。
フィーを飾る装飾品にもなるので、いくつも選ばせてもらう。
今度は出来る限り手早く決めて、店を後にした。
値段は見ていないが、合計金額の桁は想像の一つも二つも違うだろう。申し訳ない。
「クレアが時間かけるから・・・・・お腹空いた!」
「それは・・・・・ごめんなさい」
「はっはっは、お店は取ってあります。そこで食べましょう」
これまた上品そうな店に案内された。
会話もそこそこに、給仕されつつ食事をする。大変高級な味がしました。食事を終えるとこの後について話し合う。
「クレアお嬢さん、他に欲しいものはあるかな?」
「うーん、そうね・・・・・あ」
足りないものはないかと考えを巡らせていると、ふとオルザと目があった。そして気づく。
「オルザの分の素材を買ってないわ」
「貴様、忘れていたのだろう・・・・・」
「うっかり、うっかり」
テヘペロとしたところで、睨まれるだけだ。オルザは大きく息を吐いた。
「構わんがな。ダンジョン産のものは高すぎて俺には合わん」
「なら良かった。そこら辺で適当に集めましょう」
露店を見て回ることに決定。
今度は値段も安いだろうし、気兼ねなく選ばせてもらおう。
軽い足取りで露店市へと向かった。
少々短いですが、前話が長かったのでここで切ります。




