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憧れの御曹司が、なぜか私にだけ甘すぎる。けれど私はまだ、あの日の男の子だと気づけない  作者: 常陸之介寛浩✪書籍・本能寺から始める信長との天下統一


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第78話 “あなたに会いたい”知らない番号からのメッセージは恋を揺らす

 メッセージを見た瞬間、私はスマホを持ったまま固まった。


 送り主の名前は登録されていない。

 でも、文面の整い方と、少しだけ上品な言葉遣いで分かる。

 あの人だ。

 澄香さん。


「……どうしよう」


 小さくつぶやいて、私はベッドの上に座り込んだ。


 嫌ではない。

 でも、怖い。

 なぜ私に直接会いたいのか分からないからだ。


 恒星くんのこと?

 家のこと?

 それとも、あの日の私を見て、何か言いたいことがあるのか。


 どれにしても、軽い話ではなさそうだった。


 とりあえず、ひまりにスクリーンショットを送る。

 返信はすぐに来た。


『うわ』

『本格的に来たね』

『会うの?』


 私はその問いを見て、しばらく画面を見つめた。

 会う。

 怖い。

 でも、逃げるのも違う気がした。


『まだ迷ってる』

 と返すと、ひまりから少し長めのメッセージが届く。


『会わない選択も全然あり』

『でも、栞が“逃げたくない”って思ってるなら』

『会うのもあり』

『ただし、ひとりで抱え込まないこと』

 私はその文を何度も読み返した。


 ひとりで抱え込まないこと。

 その通りだと思う。

 私は前より少しは進めるようになったけれど、まだひとりでぐるぐる考えすぎるところがある。


 少し迷ってから、私は恒星くんにもメッセージを送った。


『澄香さんから連絡が来た』

 返事は数秒で来た。


『見せて』

 スクリーンショットを送る。

 少しだけ間があって、返信。


『無理に会わなくていい』

『でも、栞が会いたいなら止めない』

 私はその言葉に、少しだけ息を吐いた。

 やっぱり、この人はそこを私に選ばせる。


『……会った方がいい気がする』

 そう返すと、しばらくしてから返事が来た。


『分かった』

『ただし、嫌だと思ったらすぐ帰って』

『あと、終わったら必ず教えて』

 そのメッセージを見て、私は小さく頷いた。


 怖い。

 でも、やっぱり逃げたくない。


 私は、震える指で返信を打った。


『会います』

『時間を合わせてください』


 送信ボタンを押した瞬間、胸の奥が大きく鳴った。

 でも同時に、少しだけ腹が決まる感じもした。

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