真逆なふたりのお付き合い(エピローグ)(終)
真逆な2人のお付き合い、エピローグです。
「呼び方を変えましょう。」
「へ?」
俺…宍戸 涼平は、つい先日正式に恋人になった奥島 優子さんと、いつものカフェに来ていた。で、その奥島さんが注文の品が来て早々言ったのはさっきのセリフだ。
…にしても、呼び方を変えるって…?
「いや、急にどうしたの?奥しm「それです!」へ?」
「名字呼びだと他人行儀過ぎます!お互い名前で呼びましょう!涼平くん!さあ、はい!」
いや、いきなりが過ぎる。とはいえ、確かにずっと名字呼びっていうのも違うよな…と、俺は納得する。
…よし、やってみるか。めちゃくちゃ緊張するけど。
「ゆ、優子…さん…」
「ダメです。呼び捨てです。」
いや、いきなり呼び捨てはハードル高いって!それに…
「じゃあそっちも呼び捨てにしてよ。」
そうだ。俺だけ呼び捨ては不公平だ。っていうことで話してみたが…
「ダメです。恥ずかしすぎます。」
「それだったら俺も恥ずかしいし!」
「ぐぬぬ…」
「ぐぬぬ…」
譲らない2人。これは長期戦になるぞ…!
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少しの間にらみ合いをしていた俺たちだったが、ふと奥島さんがふうと息をつき、俺に話し掛ける。
「まあ、良いです。私が言い始めたことですから、私から呼んでみますね。」
そう言って奥島さんは気合いを入れ始めた。
「よしっ!」とか言ってる。可愛い。
「…」
…もじもじしてるの、めちゃくちゃ可愛いな。
そう思っていると、奥島さんはゆっくりと口を開いた。
「…りょ、涼平…」
…命が危なかった。恥じらいの表情と上目遣いが可愛すぎて恐い。
以前、クラスメイトが言っていた「うう~、尊すぎて心臓が止まる~!」とはこういうことか。
「…」
「あ、あの…?」
「待って。破壊力がヤバい。」
ようやく意識を取り戻した俺には、この発言が限界だった。
少し気を取り直して、俺は奥島さんの顔を見る。
「じゃ、じゃあ俺も…」
名前を出そうとする…が。
(は、恥ずかしい…!)
「ゆ、優子…」
「…」
「お、おーい…」
「恐ろしいですね。」
どうやら、奥島さんも思考が止まっていたみたいだ。
サッカー以外の趣味は全然違うのに、こういうところは気が合うんだよな…
「それにしても…」
そう言って奥島さんは真剣な目で俺を見つめる…と、話し出した。
「好きな人の恥じらいから来る照れ顔って栄養が詰まってると思うんですよね。」
「急にどうしたの!?」
…何言ってんだ?いやマジで。
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「と、とりあえず…当面は『さん』と『くん』付けで…」
「そ、そうだな…」
奥島さんの話に俺は同意する。
「で、では…改めて。」
こほんと咳払いし、奥島さんは手を差し伸べ、話し出した。
「これからよろしくお願いします。『涼平くん』」
「…こちらこそ、よろしく。『優子さん』」
こうして、呼び方論争は(一応)終結した…
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「…って感じ。」
「ほえー…」
その呼び方論争をしたカフェで、俺と幼馴染みである西郷 慶太は話している。
ファミレスで優子との思い出話、そしてカフェで再び思い出話…結構恥ずいな。
その時、慶太が「あっ!そうだ!」と言って俺の方へ向いた。
「それでさ!さん付けで始まったのに、いつの間に呼び捨てになったの?」
「ああ、それは…」
俺は再び思い出を語る…そうだ、あの時は…
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ある日のデート中、俺はあることに気付いた。
「あっ!忘れてた!」
「?どうしました?涼平くん。」
「親から頼まれてたもん、買うの忘れてた!すぐ戻るから!ちょっと待ってて!」
そう言って俺は駆け出した。
…後に、優子は「一緒に行きますよ。」と言っていたみたいだったが、焦りすぎて俺の耳には届いていなかった。
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「あー…良かった。」
俺が手に持っているのは人気の婦人雑誌。母が愛読しているのだが、平日に買いに行けないので「俺が買っておくよ!」と言っていたのだ。
自分で買うって言っておいて、忘れてたら母さんが可哀想だしな…と思いながら歩いていると、優子さんを見つけた…が。
「?あれって…おいおい…」
…また絡まれてる。いや、これは1人にした俺が悪いな。
俺は駆け出し、男と優子さんの間に入る。
「おい。」
「ヒッ!」
男は軽く悲鳴を上げる。…いくら俺の見た目がヤンキーでも、そんなに恐がらなくても良いじゃん。
まあ、好都合か。
俺は男を睨み付け、話す。
「俺の優子に手ぇ出すんじゃねえぞ。」
「す、すみません…!」
そう言って男はすごすご逃げていった。
俺のこの見た目、たまに誤解されてしまうが、こういう時に役に立つんだよな…
「…ふうぅぅぅ…助かった…!」
俺が安堵の溜め息をつくと、優子さんがもじもじしながら話しかけてきた。…何故?
「あ、あの…」
「あ、大丈夫だった?」
「は、はい…え、ええっと…ふへへ。」
「?」
何か優子さんがにやけてる。可愛い…けど、どうして?
そう思っていると、優子さんはゆっくり話し出した。
「い、今、『優子』って…」
「…あっ!」
「…ふふふ。」
言った!確かに言った!『俺の優子』って言ったわ!
…いや恥ずかしいな!
「いや、あれは咄嗟に…いや。まあ、良いか。」
俺は誤魔化そうとしたが、止めた。何か分からないけど、しっくり来たのでこのままにしよう。
俺は手を差し出し、彼女に話す。
「じゃ、行こうか。『優子』。」
…彼女の目が輝いた。可愛い。
優子は俺の手を取り、話し出す。
「…!はい。涼平くん。」
「…そっちはまだ『くん』なんだ。」
「…まだ、少し待ってください。」
少し恥ずかしそうに話す優子。
「…へーい。」
照れ臭くなった俺は、そんな軽い返事しかできなかった。
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「…って感じ。」
俺が語り終えると、慶太は机に突っ伏した。
「ああ~良いな~。俺も坂田さんとそんな感じになりてえ…」
「それはお前が頑張るしかねえよ。」
「それもそうだな…!涼平!俺頑張る!」
「おう。頑張れ頑張れ。…オッフッ!にげっ!ゴッホッ!」
「えっ!?何いきなり!?」
「…砂糖入れ忘れた…」
「…最後の最後で格好つかねえな…」
「う、うるせえ!」
慶太の言葉に、俺はそう答えるしかできなかった。
俺は手元のコーヒーに、角砂糖を3つ入れた。
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「…たく、慶太の野郎…!」
カフェから出た後、慶太は「俺、姉ちゃんの買い物があるから!」と言って本屋があるショッピングモールの方へ駆けていった。
いや、ショッピングモールに少し前までいたんだから、その時に買えば良いだろ。
「別に慶太の姉ちゃんの趣味くらい、俺も知ってんだからあん時に言やぁ良かったのに。」
そう思いながら帰路につこうとする俺…だったが、ふと思い起こす。
俺はMANEのアプリを開けた。
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夕方、俺はある公園のベンチに座っていた。
(…さすがに急すぎたかな。)
そう思っていると、俺に向かって駆け寄ってくる人影が見えた。
「涼平くん?急にMANEなんかして…どうしました?」
そう話すのは優子。ここは、俺と優子が恋人同士になった公園だ。
…そういえば、呼び出した理由、考えてなかった。うーん…どうしよう。
「…ちょっと会いたくなった。それだけ。」
結論、正直に伝えることにした。下手に誤魔化すより数百倍良い。
「…ふふっ。」
優子は静かに笑いながら、俺の隣に腰を掛ける。
優子はにこっと笑いながら、俺に話し掛ける。
「それでは、少しお話ししてから帰りましょう。」
「…うん。」
そうして、俺達は日が暮れるまで話し続けた。
…帰りが遅くなりすぎたせいで、心配した優子の兄…志郎さんに軽く説教をされたのは、言うまでもない。
おしまい。
これにて、涼平くんと優子ちゃんの話は(とりあえず)終わりです。
次回は短めのお話しを何本かまとめたものを投稿します。
題して、「ラブコメショートシリーズ」。お楽しみに!




