真逆なふたりのお付き合い(優子編)(1)
優子ちゃんの話、第1話です。
私は昔から何かと絡まれやすい。
ある時、不審者に絡まれていた時に助けてくれた彼…
身体が大きく、鋭い目付きをした人…
そんな彼を見た瞬間、衝撃が走った。
その瞬間、私は一目惚れをしたと気付いた。
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時は流れ、中学1年のある時、私はその【彼】に出会った。
彼は私に駆け寄り、こう言った。
「一目惚れしました!俺と付き合ってください!」
…は?
周りの生徒達が私を見る。返事を待っているようだ。
…初対面で告白はさすがに無いな。
「は?何ですかいきなり…嫌ですけど…」
私はそう言って、彼から離れていった…
これが私…奥島 優子と、後に彼氏となる宍戸 涼平とのセカンドコンタクトであった…
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「…で、何で沈んでるのさ。」
教室でそう私に話すのは、クラスメイトの鷺谷 瑠美さん。席が近いというのもあって、私達は色々話す仲となった。
「…言いすぎました。」
私が沈んでいる理由は先日のこと、彼に対する物言いが少しキツかったことだ。
「いや、それくらいは言っても良いと思うけど。」
「…ですが…!」
あっけらかんと答える鷺谷さんに私が反論しようとすると、鷺谷さんは身を乗り出して話し始めた。
「良い?優子ちゃん。初対面でいきなり告白するやつにろくな奴はいないよ!」
「…それもそうですね。」
納得してしまった。確かにあんなナンパのような告白は普通ならしない。
「そうだよ!優子ちゃん、いくら一目惚れしたからって簡単に心を開いたらダメだからね!ただでさえチョロいんだから!」
「チョロいは余計です。」
私は鷺谷さんの頬を軽く引っ張る。
「ほ(ご)、ほへ(ごめ)んって…!」
私は鷺谷さんの頬を引っ張りながら考える。
(次はもう少し柔らかい言葉で話そう…!)
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「ねえねえ、マネージャーさん。手伝うよ。」
藍丹中との練習試合の日、彼が私に話し掛けてきた。…て言うか、私の名前を知らないのか…お互い様だけども。
「…先ずは自分のチームの手伝いをしたらどうです?」
私は正論を言う。前より言葉遣いは柔らかいと思う。多分。
「良いから良いから…あ!映画とか興味ある?一緒に見に行かな『ゴンッ!』痛ってえええ!!」
「バカ!そんな誘い方があるか!それより!片付けをしろ!バカ金髪!」
「公徳!痛えだろうg「あぁ?」すみませんでした。」
彼が矢継ぎ早に話していると、後ろから眼鏡の男性が彼の頭部を殴った。彼には悪いけど、正直助かった…!
「うちのがすまない。俺は大宅 公徳、藍丹中1年のDFだ。…で、このバカ金髪は宍戸 涼平という。こんな身なりだが、悪いやつでは無いんだ…全く説得力はないが。」
眼鏡の男性…大宅さんが自己紹介と他己紹介をした。なるほど...宍戸さんと言うのか。覚えた。
「…私は欧天中1年でマネージャーをしております、奥島 優子と申します。大宅さん、よろしくお願いします。…そこの宍戸さんも、一応よろしくお願いします。」
私も挨拶をする。今後も関わっていく以上、名前くらいは知らせた方がいいだろう。他意はない。…無いったら無い。
「では、俺達は退散する。本当にすまなかった、奥島さん。宍戸が変なことをしたらいつでも報告してくれ。制裁する。」
大宅さんは少し不穏な言葉を残し、宍戸さんと共に去っていった。
宍戸 涼平さん…なるほど。
名前を知って少し浮かれてしまう。
鷺谷さんが言う通り、私はチョロいのかもしれない。
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今日も藍丹中との練習試合。私達欧天中とは同地区なので練習試合がしょっちゅうあるのだ。
荷物を持って歩いていると、前から宍戸さんがやって来た。他の選手と談笑中だったが、こちらに気がついたようだ。
「あ…奥島さん。」
…?少し様子が違う…?
前みたいなグイグイ感が無い。誰かに何か言われたのかもしれない。
これ幸いにと、私から宍戸さんへ話を振る。
「宍戸さん。今日もよろしくお願いします。今日は負けませんから、AチームもBチームも。」
「…今日も勝つよ。俺達が。」
「ふふっ。楽しみにしておきます。」
「…」
「…」
…?宍戸さん、何か不思議そうな顔をしている…?もしかして。
「不思議そうな顔をしていますね。」
「えっ!?」
「私があなたのことをあまり嫌っていないことが不思議ですか?」
「…何で分かったの?」
「顔に書いてあります。」
「…俺って分かりやすい?」
「…そうだと思います。」
「そ、そっか…」
「…あなたのことは軽いとは思ってますが、嫌いではないです。」
「えっ。」
「好きでも無いですが。」
「あ、うん。」
実際、宍戸さんのことは嫌いではない。
一目惚れした当初と比べて好感度は下がったものの、嫌いとまではなっていない。むしろ、今の対応が変わらないんだったら、ちょっと好きかもしれない。…絶対素直には言わないけど。
「ただ…あなたのプレースタイルは結構好きです。」
これは本心。宍戸さんのプレースタイルは私の好きな選手とそっくりなのだ。
「そうなんだ!このスタイル、参考にしている選手がいてさ…」
「イタリアの選手ですよね。攻撃型MFの…」
「分かるの!?」
あ、やっぱり。…となると、その髪色もリスペクトの形なのかもしれない。
「ええ、ユーロも良く見てましたから。」
「気付いてくれたのこれで2人目だよ!」
「そうなんですね。…気付いたのは大宅さんですか?」
「そうそう!俺まだ下手だから中々上手くできなくてさ!あんまり気付いてくれないんだよ!」
「練習あるのみですね。」
…結構楽しい。まだ少ししか話をしていないけど、宍戸さんは結構サッカーに詳しそうだ。
あ、グラウンドの準備が終わったみたいだ。
「…と。準備が終わりましたので、またグラウンドで会いましょう。」
「あ、うん!またね!」
「宍戸さん。」
「えっ?」
「サッカーの話でしたら、またしましょう。男女のお付き合いはしませんが。」
「…!うん!またサッカー話しようね!でも、男女のお付き合いも考えてくれたら嬉しいな!」
「しません。」
お付き合いはしません。
…まだ。
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「試合終了!」
審判の声と同時に試合終了の笛が鳴った。
これで、我が欧天中はAチーム、Bチーム共に敗北した。
特にBチームは0-3で惨敗だった。
練習試合とはいえ、やっぱり敗北は悔しい。先輩達も同級生も選手としては優秀なはずなのに、手も足もでなかった。
特に、今年の1年は明らかに藍丹中が強かった…特に実力がありそうなのは4人、その中に宍戸さんもいる。
ふと、藍丹中のベンチを見る。
宍戸さんは本気で喜んでいる。
(やっぱり、ああ見えて本気でサッカーが好きなんだな…)
私はそう思いながらベンチの片付けをし、洗い場に向かった。
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練習試合が終わり、洗い場に行くと先客がいた。
(宍戸さん?)
宍戸さんがマネージャーと一緒に道具を洗っている。Bチーム勝利の立役者なのに。
「…宍戸さん、なぜここにいるんです?」
「いや、俺、片付けの当番だし…」
「そうなんですね…あんなに活躍したのに…」
「まあ、うち部員多いし、俺はまだレギュラーじゃないからね。そっちもそうでしょ?」
「そうですね…」
「…」
「…」
沈黙が走る。
「…次は、負けませんから。」
実際に戦うのは私ではないけれど、悔しいものは悔しい。チームが勝てるようにサポートをより一層頑張らなければ。
「…次も勝つよ。」
宍戸さんはそんな私の思いを汲んでか、しっかり答えてくれた。…嬉しい。
…もっと、宍戸さんとお話がしたい。
「…それはそれとして、サッカー談義はまたしましょう。ではまたお会いしましょう。」
「う、うん…!またね。」
こうして、サッカー部のマネージャーである私と、ライバル校の選手である宍戸さんの、奇妙な恋物語が始まった。
次へ続く!
涼平編同様、6話で完結予定です。




