雅飛鳥(147)
ボルテージは正直最高潮だった。
生でアイドルを見たのも、人混みで嫌気がさしたのもあったと思うけど、その時に辛い、嫌だ。そういう気持ちをいとも簡単に塗り替えたのは目の前のアイドルだ。
そんなアイドルが、夢ちゃんが不意に手拍子を求めて頭の上で手を叩く。するとここが会場だったんだと錯覚するくらい一体感溢れる手拍子が。
「えっ、凄っ」
思わず後ろを振り返ると、私はさっきまで確実に眉間にシワの寄せた人達しか見てなかった。
それなのに、みんな笑顔で楽しそうだったんだ。
その楽しそう、楽しいという伝播にのって私もはしゃいでいたら歌いながらなんか夢ちゃん近づいてくるな。
「え、えっ!?」
突然の出来事には人間、対処出来ないようで。
目の前に来てしまった。向こうから!
「うわぁ、綺麗……」
「……ありがとうね」
私は!アイドルと!喋った!!
あろうことか夢ちゃんはゼロ距離に近づいてギュッと抱きしめてくれた。
ん?何が起きた?
「……不安だった。でも貴女が変えてくれたんだよ」
耳もとで囁かれた天使のような声と、この空気を一変させて、確実に無名アイドルだった夢ちゃんが、一瞬でファンを増産した夢ちゃんが私に弱音を!?なんだこれ!?夢か!?
パッと話して駆け出していく夢ちゃんを見ることしたできなくって、しばらくその抱きしめられた力と、腕の細さや黒髪の綺麗さが何度も何度もフラッシュバックするし。
オッパイオオキカッタナァ!!
と、そこで私は事切れた。
「ちょぉぉ!あーちゃん!?しっかりして!?あ〜ちゃ〜ん!!」




