覚悟を決めて 6
翌朝を迎え、良子が迎えに来た。
良子はユカリをからかうと、「医務室にお願い」と告げる。
左手をあげて、一人医務室に向かう。
そして、相当苦心して、仕事を果たす。
廊下に出る、「随分遅かったのね」と、良子が意地悪に笑う。
リツとユカリは、恥ずかし気に顔を伏せている。
何も言わず、手で答える。
少し上気した顔で、リツが告げる。
「食事の用意が出来ているから、昨日の食堂へ」
「あぁ・・うん。ありがとう。」
顔を見ずに礼を言い、食堂に向かう。
昨日と同じ、固いパンと、スープ。
それに、小さめのゆで卵がついていた。
「養鶏をしているのかい?。」
リツは、養鶏という言葉に馴染みがなかったようだ。
質問の意図を説明する。
食事が終わる頃、キャンディの缶を持ってきて見せてくる。
中には、3つの卵が入っており、布でくるまれていた。
「バイクで運ぶから、割れない様に厳重にしといた。」
とリツが笑う。
礼をできるものが無いことを詫びる。
「わたしと、リクとユウタの分だから、気にしなくていいよ。」
そういって、リツは照れくさそうに笑った。
良子に別れを告げに行く。
思い出したように、ペンを2本渡す。
シェルターで見つけた、高給そうなペンと、書きやすさが売りの100円のペン。
懐かしいと喜んでくれた。
「また、いつか」
お互いに、同じ言葉で別れを告げる。
もう少し、ここで学ぶことも考えたが、駅の町が気がかりだ。
何もないといいが、虫の知らせを感じる。
ユカリと良子が抱き合って、別れを惜しむ姿を眺める。
随分と仲良くなったものだ。
リクとユウタが現れて、出発の用意をしている。
古いガソリンとアルコールを混ぜた燃料を補充し、エンジンをかける。
白煙がマフラーから流れ、駆動音が聞こえる。
リツに手を引かれ、ユカリがバイクにまたがる。
良子にもう一度目を合わすと、いつかのような、優しい笑顔で返してくれた。
さぁ、町に帰ろう。




