↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/112

覚悟を決めて 5

明日帰ることになった。


「帰る前に、もう一回頼むわね(セイエキノサイシュ)」


良子が言う。


「約束はできない」と返事すると、意地悪をされたような顔をする。

男性の心情を説明するのも苦しい。

「努力はする」と、返事をあらためる。


良子は『同室で』泊るってと、リツと、はしゃいでいる。

こんな人だったのか。


自分には女性のことは、何もわからない。

これからは、女性のことは何もわからないことを、心に刻もう。


ユカリはこちらを、恨みがましい表情で見ている。

どうして、この流れで自分が悪いのかも、わからない。

世界は不思議に満ち溢れている。


話を変えたい。


「二宮さん、どうして池にブラックバスがいたんだろう。」


良子は、それが当然のように答える。


「優秀な食料だからよ、ブルーギルに、ウシガエルもいるわよ。」


そして、面倒な返事をしたとでも言わんばかりに、話を元に戻す。

早めに部屋に移動しよう。


案内された部屋には、シングルベッドが二つあった。

リツと良子が「せーのっ」と、ベッドをくっつけている。

「シャワー」使えるから、あっちねとドアを指さす。


ユカリが『当然です』なんて返事をするからだ。


ようやく二人が出て行って、並んでベッドに横たわる。

ユカリが手を繋いできたので、握り返す。


目が覚めて、二ヶ月近い。

人生で一番波乱だなと、苦笑する。


先にシャワーを浴びさせて、照明を眺める。

やたらと緊張するが、明日のこともあり、何もしないだろう。

夫婦だから、悪いわけではないのだけど。


夫婦か・・・。

初めて会った頃のユカリは、随分と大人びて見えた。

いまは高校生くらいに感じる。


娘が出来たようだと、思えばいいのだろうか。

相変わらず、自分には、わからないことだらけだ。


シャワーを交代し、ベッドに戻る。

寝ようとすると、いちど胸を叩かれたが、『何もしませんよ』と、丁寧に伝える。

もう一度叩かれるが、諦めたようだ。


でもね・・・。

「一生大事にするよ」と伝え、額にキスをした。

これが今の精一杯だ。

ようやく、横で寝息が聞こえてくる。


見慣れない天井を眺め、これからを思う。

きっと、大変なことばかりだろう。

そして、この世界の平凡に埋もれて、死ぬのだろう。


自分では、それさえ必死につかみ取らないといけない。

あらためて、気合を入れる。


そうして、ユカリの胸を一瞬思い出し、罪悪感を覚えて眠りにつく。

明日は頑張らなくてはいけない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。