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覚悟を決めて

町の酒場で、リョウは釣り針を眺めため息をつく。


コウから受け取った5本の釣り針は、錆びて折れ、数を減らしている。

手元に残るのは最後の一つである。


今まで雑事を担当し、町の外での食料採取に貢献できていなかった自分。

非力な自分が、定期的に食料を手に入れることが出来たのは、この針のおかげだ。


なんとか同じようなものを作ろうと試みた。

廃材から薄い鉄片を拾い、刃物で薄く切り出す。

先端を削り、返しをつける。


曲げると、見た目はよく似たものができるが、指で触ると歪んでしまう。

大きく作ると、少しはしっかりするのだが、やはり十分とは言えない。


カイさんにも事情を話し、試しに作ってもらった。

自分のものより、随分よく思えたが、それでも強度が足りない。


ため息をつくと、子供たちが集まってきた。

同じような顔をして、ため息をつく。

この子達が元気になってきたのも、釣り針のおかげが大きい。


ユカリの代わりとして、子供達の様子を見ながら、雑事を担当する。

子供の食事だったり、いろんな人の伝言板になったり。


何時までも、釣り針を眺めていても仕方ない。

やるべきことをやらなければ。


出て行った二人は大丈夫だろうか。

いつも優しいだけのユカリが、あんな強硬な態度を見せたのは、リョウも驚いた。

まだ二日もたっていないのに、二人の姿が見えないのは心細い。


心配してくれてるのだろう、先ほどから纏わりつく子供達。

リョウは、子供たちをわっと捕まえると、頬に口づけていった。


タケルさん達が戻ってきて、水を頼まれる。

ろ過した水を渡すと、頭をグシグシと撫でられる。


この人はいつまでも、自分を子ども扱いしてくると、顔に出さずに苦笑する。

きっと5年経っても、10年経っても変わらないだろう。

扱いに不満があるが、ニッと笑って答える。


最悪の場合、コウもユカリもタケルさんも他のみんなも。

明日には兄のように、いなくなってしまうかもしれない。


だから、顔に力をいれて、この笑い方をする。

話すと泣き言がでるなら、グッと親指を立てる。


いつか出かけた時に、ユカリに怒られたとことを思いだす。

やっぱり、早く帰ってきてほしい。

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