覚悟を決めて 2
タケルは酒場に顔出し、いつもの日課を行う。
リョウの頭をグシグシと撫でまわし、彼女の笑顔を確認する。
遠い昔、自分の両親が生きていた頃に、自分もよく預けられていた。
まだ火災の跡が残る店内をみると、余計に思い出される。
小さかったリョウが子供達の預かる姿は、時の流れを感じさせた。
何処からか持ち込んだ、以前はなかった席へ向かう。
どっかりと腰を下ろして、今後の相談を始める。
収穫を間近に控え、警戒はより一層強化すべきだろう。
例年なら、怪しげな緑色の姿を見ることも多い時期であるが、今年はそれがない。
それは良いことにも思えるが、妙に胸が騒ぐ。
タケルはカイのほうではどうかと、尋ねてみる。
「カイはどう思う」
「そうですね、まだ何ともいえません。偶然かもしれません。」
カイは、悪い状況とは思ってはいないようだが、どこか不安が残る。
食料を求めて訪ねてくる者、食い詰めた者が町へ現れる時期でもある。
居留地でも、この町は最も古く、小さいながら知られている町なのだ。
善いものも悪いものも訪れやすい。
それが、ここ数日影を潜めている、安心より不安を覚えた。
無ければ良いと思えず、何かの予兆を疑ってしまう。
そろそろ夏が終わる、秋の実りを求めて、姿を見せるはずの獲物も見ない。
リョウが皆に釣りの指南をし、苦しいところを抜けたが、この先の不安は残る。
冬の備えもせねばならず、やはり鹿やイノシシなど、何頭かは欲しいところだ。
カイが、酒場の帳簿を確認し、状況を説明する。
「食塩や、野菜については例年より余裕があるくらいなんですけどね。」
プランターで育てた野菜は、例年より上乗せされた収穫だ。
わずかな余裕が、少しだけ安心を与えてくれる。
判断も少し、安全を重視できるだろう。
「ともかく、少人数で食料採取は控えよう。」
「・・わかりました。皆に伝えておきます。」
カイは、心配しすぎではと感じていたが、思いなおす。
生き残ってきた彼らの経験や判断に、まだ自分は遠く及ばない。
そして二人は、今まで一度も我儘を言うことのなかったユカリのことに触れる。
コウは善性ではあるが、多分に頼りないとも感じていた。
ユカリの好みについて、口を出すべきではないのだろうが、悪いのでは・・。
心配は飲み込んで、明日に備えよう。
子供達を守るために。




