表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/37

ナツメあきらめる


深夜、ナツメは歩きながら迷っていた。

自分が足を踏みしめる音以外、何も聞こえない。


目の前には重厚な石造りの門構え。

深夜にもかかわらず、門は開いており、その先の庭は薄暗い灯りで照らされている。

その奥には魔法使いの名家、リコット邸の本宅がある。

本宅は五階建て、あるいはそれ以上だろうか。

表から見ただけでも、百人は容易に住まわせることができそうな屋敷。



大人の男性が独りで、女性の家を訪ねるには、時間があまりに遅い。

門は開いているとはいえ、数々の高名な魔法使いを輩出してきたリコット家。

色々な罠が仕掛けられているに違いない。

仮に罠を潜り抜けられたとしても、ヴァレンタリアの部屋を探し出すだけで、夜が明けてしまうだろう。

リコット邸の本宅を視界に入れたまま考える――


無理だ。


ナツメは潔くあきらめた。

明日の朝、学校で学長を交えてヴァレンタリアと話すことに決めた。

ナツメは闇に溶け込むようにして、リコット邸を後にした。



◇◇◇



翌朝、セノは弾むような足取りで魔術教室へとやってきた。

いつも居るはずの時間にノノアの姿がないのだ。

たぶん、居ないだろうが、念のため、ここにも探しに来た。

万が一の可能性もある。


教室の扉を開け、入っていく。

ナツメの姿がない。

二階かもしれない。セノはいつものように移動棒を使い、吸い込まれるように二階へ。


「あれ? セノ。早いね」


二階に着くや否や、背後から声をかけられた。

そこにいたのはナツメではない別の男。

ナツメがいない時だけ姿を現す、もう一人の先生――トーノだった。


「ナツメは?」

「ノノアちゃんとお出かけだよ。ちょっと遠出になるから、しばらく戻らないらしいよ」


「ナツメがおでかけ!? ノノアと!!!」


セノは、言葉を失って立ち尽くした。

まさかの組み合わせに思考が止まった。


セノはその場に崩れ落ち、力なく膝をついた。

そして、放心状態のまま、ナツメがいつも座っている席を見つめていた。


「セノ?」


トーノはセノの肩を必死に揺さぶって、飛んでいった意識を戻そうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ