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18 「聖女の面倒はお前が見ろ!」

ブクマありがとうございます!

励みになります!

 次の日、幽霊だと思っていた聖女エレナは俺達の仲間になり、冒険者の登録をしに行く事になった。


 聖女エレナのお願いは一部例外を除き、この世界に住む者なら断れない。仲間になりたいと言われれば、頷くしかなかった。


 だが、何故リラール教国に居る筈の聖女がここに居るのかという事情は、未だにエレナから語られていない。昨日聞こうと思ったのだが、なんだかはぐらかされてしまったので、おりをみて聞いてみようと思う。


 もしかしたら、キョウカなら既に聞いているかもしれないな。

 昨日は、二人で遅くまでお喋りしてたみたいだし。


「エレナちゃん武器とかどうする?」

「そうですね……扱いやすそうな短刀とかが良いです」


「あっ、エレナちゃん気配消せるから短刀似合いそう! まるでアサシンのように背後から忍び寄って、ブスッと殺れるもんね!」

「そうですね! そういう事にも使えそうです! キョウカちゃん、教えてくれてありがとうございます」


 のどかな住宅街で和気あいあいと話すキョウカとエレナ。

 話題は物騒ですけどね……。


 そう言えば……昨日、俺がエレナのおっぱいを揉んだ事などすっかり忘れてるなあの二人。俺はしっかり覚えてるぞ。あの豊満な胸の柔らかさは忘れられない……両手に、まだ感触が残っている位だ。


「二人とも~。仲良く話してるのは良いが、ちゃんと前みて歩けよ~」

「なんですか変態フォグさん?」

「私、あの時の事は一生忘れられません……」


 あ、覚えてるんですね……。


 その後、道端で必死に寝下座して謝り、一週間奴隷になるという条件で許して貰いました。聖女の奴隷とか俺得です。


「エレナ様! 足を舐めさせて頂きます!!」

「「キモ……」」


◆◆◆


「おー、フォグ! 最近来てなかったからどうしたかと思ったぜ。あれ……なんで両頬腫れてんだ? 大丈夫か?」

「自分……ぶふぃおうなんで」


 受付のおっさんだけが俺の味方だ。


「フォグさんが変態なのが悪いんです」

「そうか。そりゃしょうがねえ」


 前言撤回。おっさんの毛根よ、死滅しろ。


「おっ、見かけねえお嬢さん連れてるな」

「この子はエレナちゃんです。冒険者登録お願いします!」

「何卒、お願い致します」


「え、ああ、はい……」


 エレナの丁寧なお辞儀が心をしゃんとさせる。

 まさに聖女と言わんばかりの風格だ。


 その風格に圧倒されたのか、ギルドのおっさんは直立不動で固まってやがる。


 冒険者になろうなんて奴は脳筋がほとんどだ。こんな見事なお辞儀なんてされた事も、した事もねえだろうしな。


「おっさん。固まってねえで手続き」

「あっ! そ、そうだな! では、これに必要事項を書いて下さいませんか? それと、スキルチェックをさせて頂きたく存じます?」


 なんで疑問系なんだよ……無理して丁寧に喋ろうとするから変な感じになるんだ。こっち見んなハゲ。


「ええ、分かりました。ご丁寧にありがとうございます」

「ま、まるで聖女様のようだ……」


 慈愛に満ちた微笑みでおっさんから書類を受け取るエレナ。16とは思えない大人びた雰囲気とおっぱいは、確かに聖女そのものだ。


 子供みてえな誰かさんとは大違いですね。


「あっ? 何か言いました?」

「何にも言ってません……」


 怖いキョウカは置いといて、つつがなく手続きをこなすエレナ。書類の方は全部終わり、おっさんはスキルチェックのための水晶を持ってきたようだ。


 エレナのスキルを見たら、ビックリするだろうなおっさん……。


 まあ、聖女様って事までは分からんだろ。

 聖女のスキルは秘匿にされてるからな。


「こ、これは!? ……エレナさん、二階でお話を。フォグとキョウカも来い」


 はいはい、これはキョウカの時と同じパティーンですね。

 どうせ、ギルドマスターのエマさんと面会だろ?


◆◆◆


「貴女は正気か!? 見た事も聞いた事ない希少なスキルを持った貴女が、何故冒険者などに!! キョウカといい貴女といい、私を小馬鹿にするために送られた本部の間者か? もう訳が分からないよ……」

「私はキョウカちゃんとフォグさんの仲間です。仲間なら同じ土俵で同じ景色を見たいではありませんか」


「そうですね……好きにして下さい」

「お許し頂き、感謝致します。それでですが、私から申し上げたき事があるんですが、宜しいでしょうか?」


「な、なんですか……」

「私は……隣国リラール教国の聖女でございます。面倒が起こる前に申し上げたいと思いまして」


 え、それ言っちゃうの? てか、面倒な事ってなんだよ……なんだか、凄く大きな陰謀が絡んでそうでガクブルなんですが……。


「はい? いやいや、嘘言っちゃ……ああぁぁっー!! 確かにそのお顔は聖女エレナ様!! 居眠りしていたのはお許し下さい!! 私はまだ死にたくありませんっっ……」


 盛大にひれ伏すエマさん。

 何を勘違いしたのか、その瞳は涙で潤んでいた。

 居眠りってか……ソファーで爆睡してたけどな。


「エマ様を責めるつもりなどありませんので、頭を上げて下さい」

「ほ、本当ですか?」


「ええ、だから泣かないで下さい。綺麗なお顔が台無しですよ?」

「ま、まるで聖女様のようだ……」


 いや、正真正銘の聖女です。


「エマさん。なんでエレナが聖女だと分かったんですか?」

「貴様……聖女様のお顔は一度ご尊顔した事がある。このような崇高なお方の顔を忘れるはずないだろ!」


 エマさんは俺をキッと睨みながら答えた。きっと、エレナを呼びすてにしている事が気に入らないんだと思う。しょうがないじゃないか……呼びすてしないと泣いちゃうんだから。

 

「それで……聖女エレナ様が何故此処に? 馬鹿な私に教えて頂けませんでしょうか……」

「それは言えません! ですが……いずれ分かると思います。それまでは、私の事は秘密にして頂けませんか? 都合が良いのは重々承知しております……その上でお願い致します」


 またもや綺麗なお辞儀でエマさんにお願いするエレナ。

 聖女にここまでされては、当然断れないだろうな。


「あ、あ、頭をお上げ下さい! こんな所、リラールの国民に見られたら股裂きの上吊るし首よ……」


 気持ちは分かるぞエマさん。

 怖いのはエレナじゃなくて、エレナを慕う民全員だ。


「それでは秘密にして頂けますか?」

「股が裂けても言いません! ですが……私に分かったなら他の誰かもいずれ気付くのではありませんか?」


「確かにそうかもしれませんね……」

「そう思って、買ってきました!」


 今まで黙って聞いていたキョウカが、待ってましたと言わんばかりに服から真っ黒な衣装と短刀を取り出し始めた。

 

 そう言えば……ギルドに来る前に、雑用依頼で行った武器と防具の店に寄ってなんか買っていたが、それがこの衣装と短刀か。


「見て下さい! カッコいいと思いません?」

「それは……アサシンの装束と短刀じゃないか!! そんなの、闇市場でしか手に入らんぞ」


 なんて物売ってくれたんだあのオヤジ……。

 そんなうしろ暗い衣装、聖女のエレナが着る筈な──


「素敵! こういうの、一度着てみたかったんです。早速着替えてきますね!」

「うん! きっと似合うよ~」


 ま、まじかよ……。

 

「どうですか……?」


 着替えてきたエレナが、一回りして俺達に感想を聞いてくる。

 その声は、どこか不安そうだった。


 そんなエレナを上から観察していくと、フード付のピタッとした黒装束に、赤いベルトを巻いた官能的な腰回りが印象的だ。顔バレが危惧されていたが、口元は衣装と合わせた黒い布で覆われて目元しか分からない。


 これなら、顔バレする事もないだろう。また、特に素晴らしい点を上げるとするなら、ピタッとした服だけあって強調されたおっぱいが、凄くいいっん、ですっ!!


「素晴らしい。合格点だエレナ」

「何を採点してるんですか……それより、凄く似合うよエレナちゃん! どっからどうみてもアサシン(暗殺者)だよ!」

「うむ、アサシンだな。お似合いですよ聖女様」


 キョウカとエマさんは褒めてんのかそれ……。


「良かった~。私、アサシン頑張ります!」


 うん。聖女がアサシンを頑張っちゃダメ。

 絶対アサシンの意味分かってないよね。


「じゃあ、次はパーティー決めですか?」

「んな事出来る訳ないだろ!!」


 俺の質問に、キレ気味に返すエマさんは、なにやら俺の側に来て耳元で呟いてくる。


 なんだろ? デートのお誘いかな?

 しまった……今日は勝負パンツじゃねえぞ!!


「いいか……私は何も知らないし、この冒険者が誰か検討もつかない。しっかり面倒を見るんだぞ? 因みにこれはマスター命令だ。聞かなければクビだ」

「はいはい……分かりましたよ」


 ですよね……そういう気がしてたんだ。まあ良いさ。女神の使者が既に居るし、聖女の一人や二人面倒見てやるよ。 


「なあ皆……俺、頑張るからさ。三人で俺の顔を挟んでくれないか? おっぱいで」

「死ね!」

「クズ!」

「悪魔!」


「ですよね」


「そうだ! 折角聖女様が来てくれたんだから何かイベントをするか!!」


 思いだしたかのように、声を張り上げてイベント宣言をするエマさん。何しようってんだ……?


「題して! 『絶品珍味のビッグスパイダー争奪戦』だ! 一番多くビッグスパイダーを狩ったパーティーには100万エーンのボーナスを贈呈する!!」

「凄ーい! 100万エーンですってよフォグさん! 所で……ビッグスパイダーって?」


 不思議そうな表情で俺を伺うキョウカ。

 なるほどね。ビッグスパイダーか……。


「ビッグスパイダーは危険度Cのモンスター。狩るには大変だが、ビッグスパイダーの脚は絶品で、高級料理店なんかでも提供されている筈。多分、エレナが冒険者になった祝なんだろ。どっちにしても食えると思うぞ」

「うんうん! 絶対食べる! 私頑張ります!!」


 俺が耳元で教えてやると、興奮気味に拳を握りやる気を出したキョウカ。流石、食いしん坊なだけある。


「ふぅぅ~」

「あっ、ん……耳に息吹きかけちゃダメ……んっ」


 こうして、エレナは無事に冒険者として認められ、強制的に俺のパーティーへ加入する事になった。


 そして、聖女であるエレナがこの町で冒険者になった事が嬉しかったギルドマスターであるエマさんの一声により、この町で活動している冒険者全員を対象とした、ビッグスパイダー狩りのイベントが行われる事になった。


 だが、この時俺達は想像もしていなかった。

 このイベントが、あんな恐ろしい事態を招く事になるとは……。

仲間も増えたんで、そろそろ新しいスキルを獲得しにいきます!


前衛 フォグ(タンク兼アタッカー)

中衛 キョウカ(魔法使い兼弓使い)

後衛 エレナ(ヒーラー兼アサシン)


今のところ、先頭スタイルはこんな感じかな?

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