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マッスル・ストロンガー・ザン・マジック ~回復魔法と筋トレの相乗効果で究極の筋肉を手に入れよう~  作者: tomato.nit
第一章 少年編 

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第9話 冒険者ギルドって?


 洞窟の中は静まり返っていた。


 俺。


 アルエ。


 カーボ。


 そして父と母。


 さっきまでの話で――俺たちが普通じゃないことは、もう十分すぎるほど分かってしまった。


 最初に口を開いたのはエルザだった。


 深く息を吐く。


「……このまま村に置いておくのは無理ね」


 その一言で洞窟の空気が変わる。


「無理って?」


 俺が聞くと、エルザはカーボを見る。


 巨大な狼は、いつものようにのんびり尻尾を振っていた。


「この子よ」


「ダイアウルフなんて、本来は討伐対象のモンスターなの」


 アルエがびくっと肩を震わせる。


「えっ」


「もし村人に知られたら、大騒ぎになるわ」


「最悪、討伐隊が来る」


 カーボが首を傾げる。


「ワン?」


 俺は少し考える。


「でもカーボ悪いことしてないよ?」


「問題はそこじゃないの」


 エルザは首を振る。


「強すぎるのよ」


 洞窟の奥に沈黙が落ちた。


 その時だった。


「簡単な話だろ」


 マエストロが口を開いた。


 壁にもたれながら、面白そうに笑っている。


「冒険者にすればいい」


「は?」


 俺とアルエの声が重なった。


 マエストロは肩をすくめる。


「強い奴はな、隠すより登録した方が安全なんだ」


「冒険者ギルドの管理下に入るからな」


 カーボの頭をぽんと叩く。


「モンスターを従えてる冒険者もいる」


「こいつもテイム扱いにできる可能性がある」


 エルザは少し考え込んだ。


 そして小さく頷く。


「……確かに」


「ギルドに登録すれば、少なくとも勝手に討伐されることはないわね」


 俺は思わず身を乗り出した。


「冒険者ってさ」


「モンスターと戦ったりするんだよね?」


「そうよ」


「依頼とか受けて?」


「そう」


 胸の奥が少し熱くなる。


 村の外。


 モンスター。


 知らない場所。


 今まで本で読んだり、父の昔話で聞いたりするだけだった世界だ。


 俺は思わず笑った。


「……なんか面白そうじゃん」


 アルエが振り向く。


「マット?」


「ちょっとワクワクしてきた」


 マエストロがにやりと笑う。


「だろ?」


「男は一度は憧れるもんだ」


 エルザは呆れた顔をした。


「まだ話は終わってないわ」


 今度はアルエを見る。


「あなたも来なさい」


「え?」


「ええ!?」


 アルエが飛び上がる。


「わ、私も!?」


「当然よ」


 エルザは言った。


「あなたの魔法、放っておくには危なすぎる」


 アルエはまだ混乱している。


「でも……ギルドってすごい人たちがいるんでしょ?」


 少し考えてから聞く。


「本物の魔法使いとかも?」


 エルザが一瞬きょとんとした。


 それから、少し笑う。


「……私も魔法剣士なんだけどね」


 アルエが固まった。


「え」


「ええ!?」


「え、エルザさんって魔法使えるの!?」


 マエストロが笑う。


「こいつの剣、見たことあるだろ」


「魔力強化してるんだよ」


 エルザは肩をすくめる。


「純粋な魔法使いとは違うけどね」


「魔法で身体を強化して戦うのが魔法剣士」


 アルエの目がさらに輝く。


「すごい……」


「じゃあ街にはもっとすごい魔法使いがいるの?」


「ええ」


 エルザは頷いた。


「宮廷魔術師とか、魔術師ギルドの連中とかね」


 アルエは完全に興奮していた。


「見たい……!」


 その横でカーボが尻尾を振る。


「ワン」


「……でも」


 アルエがふとカーボを見る。


「この子、街に入れるの?」


 洞窟の空気が少し止まる。


 エルザが腕を組んだ。


「普通は無理ね」


「やっぱり?」


 俺はカーボを見る。


「どうする?」


「ワン?」


 マエストロが顎をさする。


「門番は確実に止めるだろうな」


「犬ってことにする?」


 アルエが真顔で言った。


 俺はカーボを見る。


 巨大狼。


 肩の高さ、俺の胸くらい。


 牙、ばっちり。


「無理じゃない?」


「ワン」


 カーボは胸を張った。


 マエストロが笑う。


「まあギルド行けば話は早い」


「ネームドなら説明も通るだろ」


 エルザは小さくうなずいた。


「それに……」


「ギルドの試験で実力を見せれば、文句は言われないはずよ」


 試験。


 その言葉に胸が少し高鳴る。


 強い相手と戦うのは嫌いじゃない。


 むしろ。


 少し楽しみだ。


 俺はカーボの頭を撫でる。


「街か……」


 村の外の世界。


 どんな場所なんだろう。


 人がいっぱいいるのか。


 モンスター素材の店とかあるのかな。


 冒険者ギルドってどんな建物なんだろう。


 考えただけで少し楽しくなってくる。


 マエストロが笑う。


「こいつはもう完全に冒険者だな」


 カーボは得意そうに胸を張った。


「ワン!」


 エルザは深く息を吐いた。


「……決まりね」


 俺たち全員を見る。


「明日、街に行くわ」


 俺とアルエが同時に顔を上げる。


「目的は一つ」


 エルザははっきり言った。


「冒険者ギルド登録」


 その横で。


 マエストロが笑う。


「受付が腰抜かすぞ」


 少し考えて。


「……いや」


「ギルド長が出てくるかもな」


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