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マッスル・ストロンガー・ザン・マジック ~回復魔法と筋トレの相乗効果で究極の筋肉を手に入れよう~  作者: tomato.nit
第一章 少年編 

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第8話 家族会議 in ジム


 洞窟の奥。


 俺の秘密のジムで――家族会議が開かれていた。


 中心にいるのはカーボ。


 胸を張って座る巨大な狼。


 その横には、俺。


 そして。


「ねえ、あなた……これ、どうしましょう?」


 頭を抱えている母、エルザ。


 一方で。


「ほお……」


 父、マエストロは感心したようにカーボの周りをぐるぐる歩き回っていた。


「こいつは滅多にお目にかかれないダイアウルフだな」


 しゃがみ込み、毛並みを触る。


「見ろよこの毛並み。しかもこの筋肉!」


 肩や背中をぺたぺた叩く。


「十分、群れのボス張れる個体だ」


 そして当たり前のように。


 カーボの頭をわしわし撫で回す。


 カーボは気持ちよさそうに尻尾を振った。


「言ってる場合じゃないでしょ!」


 スパーン!


 いい音が洞窟に響く。


 エルザの平手がマエストロの後頭部に直撃した。


「いてっ」


 その様子を見て。


 カーボが心配そうに近づく。


 ぺろぺろ。


 マエストロの頭を舐め回した。


「はっはっは!」


 マエストロは笑う。


「優しいなお前」


 エルザはこめかみを押さえた。


「で?」


 マエストロがこちらを見る。


「こいつとトレーニングしまくって強くなったって?」


「うん」


「なら――」


 腕を組む。


「ちょっと見せてもらうとするか」


「え?」


 よくわからない提案だった。


 だがマエストロは真剣だ。


「お前らが普段どうやってトレーニングしてるのか、俺も興味があるんだ」


 ニヤッと笑う。


「いっちょやって見せてくれ」


 なるほど。


 そういうことか。


 俺はカーボを見る。


 カーボもこちらを見る。


「やるか?」


「ワン」


 即答だった。


 いつも通り。


 距離を取る。


 構える。


 そして。


 次の瞬間。


 カーボが地面を蹴った。


 灰色の影が一直線に迫る。


 ガブッ!


 牙が肩に食い込む。


「回復」


 緑の光が傷口を包む。


 同時に拳を振る。


 ドゴォッ!!


 鈍い音。


 カーボが横に跳ぶ。


 着地。


 すぐに踏み込む。


 爪。


 牙。


 拳。


 回復。


 洞窟に衝撃音が響き続ける。


 岩が削れ。


 地面が砕ける。


 数分後。


 俺は息を整えた。


「まあ……見せるだけならこんなもんか」


 若干消化不良だ。


 俺は振り返る。


「こんな感じだよ」


 そこには。


 口をあんぐり開けた父と母。


 そして。


「あははははははははは!」


 マエストロが爆笑した。


「お前、普段からこんなことばっかしてんのか!」


 腹を抱えて笑う。


「そりゃ強くなるわ!」


「笑い事じゃないでしょうが!」


 エルザが叫ぶ。


「こんな訓練、見たことも聞いたこともないわよ!」


 その時。


 今まで洞窟の隅で震えていたリーリヤが、小さく呟いた。


「……こわっ」


 しまった。


 姉に引かれてしまった。


「でも、アルエもちょくちょく遊びに来るよ?」


 俺は言った。


「アルエもこんなことしてるの!?」


「アルエは魔法の練習だけだよ」


「最近はちょっと上達したくらい」


 エルザが眉をひそめる。


「ちょっとってどれくらい?」


「カーボにちょっとダメージ通るくらいかな」


 俺は首をかしげた。


「魔法って難しいんだね」


 その瞬間。


 洞窟の空気が凍った。


 エルザがゆっくり顔を上げる。


「……ちょっと待ちなさい」


 低い声だった。


「カーボって……この子よね?」


「うん」


「この子に……ダメージを与えられるの?」


「たまにだけどね」


 エルザは目を閉じ、こめかみを押さえた。


「リーリヤ」


「は、はいっ」


「アルエを呼んできてちょうだい」


「えっ、今?」


「今よ」


 リーリヤはびくっと肩を震わせると、慌てて洞窟の外へ走っていった。


 それからしばらくして。


「なに!?なにがあったの!?」


 アルエが息を切らして洞窟に飛び込んできた。


 そして。


 カーボを見て。


「わ、カーボだ」


 普通に近寄った。


 その頭を撫でる。


 カーボは嬉しそうに尻尾を振った。


 その光景を見て。


 エルザはもう一度頭を抱えた。


「……やっぱりそうなのね」


 ゆっくりとこちらを向く。


「いい?ちょっと説明するわ」


 腕を組む。


 完全に教師モードだった。


「まず前提から話すわね」


 洞窟の壁に背を預けながら言う。


「普通の冒険者」


「上を見ればきりがないけれど、一般的に冒険者として生計を立てて、村の警備を請け負うような人たち」


「その人たちのレベルは――だいたい二十五前後よ」


 指を一本立てる。


「私は二十七」


「まだ現役で戦えるくらいの実力」


 次にマエストロを見る。


「そしてこの人」


 マエストロは肩をすくめた。


「まあ、それなりに腕はある」


「レベル四十二」


 俺は少し驚いた。


「父さんそんな強いの?」


「そこそこな」


 エルザが指を俺に向ける。


「それで」


「あなた」


「レベル三十二」


 洞窟が静まり返る。


「……子供の数字じゃないわ」


 さらに続ける。


「しかも問題はそこじゃないの」


 指を二本立てる。


「ステータス」


「普通の冒険者の数値と比べて――」


「あなたの値は、ほぼ二倍ある」


 俺は首をかしげた。


「そうなの?」


「そうなのよ!!」


 エルザは叫んだ。


「筋力三百五十って何よ!!」


「聞いたこともないわよそんな数字!!」


 そして。


 アルエを見る。


「……あなたもよ」


「え?」


 アルエはきょとんとした。


「レベル十八」


「普通の子供なら、魔法を一つ使えるようになったら褒められるくらい」


「なのにあなた」


 杖を見る。


「ファイアボールしか使えないはずなのに」


「熟練度がとっくに最下級魔法の限界を超えてる」


 アルエは首を傾げた。


「そうなの?」


「そうなのよ!!」


 エルザは天井を仰いだ。


「理由は分かるわ」


 カーボを見る。


「自分より格上のモンスターを相手に」


「毎日のように魔法の練習をしてるんでしょう?」


「……まあ」


 アルエは頷いた。


「カーボが当たってもいいよって顔してるし」


 カーボは胸を張った。


「ワン」


 エルザは両手で顔を覆った。


「……もう全部おかしい」


 指を折って数える。


「異常なステータスの子供」


「最下級魔法を限界突破してる魔法使い見習い」


「そしてネームドのダイアウルフ」


 ゆっくりこちらを見る。


「ねえ」


「あなたたち」


「自分たちがどれだけ危ない存在か分かってる?」


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