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マッスル・ストロンガー・ザン・マジック ~回復魔法と筋トレの相乗効果で究極の筋肉を手に入れよう~  作者: tomato.nit
第一章 少年編 

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第65話 新種の蛇と研究者たち


 アーデンの街に戻ったマットたちは、そのままギルドへと直行することになった。


 森での出来事を報告するため、というのが建前ではあるが、実際にはロイドの興奮が収まらなかったからだ。彼は道中ずっとアミノを観察し続け、時折ぶつぶつと何かを呟きながらメモを取っていた。


 その様子を横目に見ながら、マットは苦笑する。


「そんなに珍しいのか?」


「珍しいなんてものじゃないよ!」


 ロイドは即座に言い返した。


「まず、進化そのものが異常だ。ウィッチバイパー系統の蛇が人前で進化する例なんてほとんど記録がない。それに進化の兆候もほとんど観測されていない。普通はもっと明確な変化があるんだ」


 彼はアミノを指差す。


「なのにこれはどうだい。模様の変化と体長の増加だけで、ほとんど自然に進化している。こんな例、聞いたことがない」


 当のアミノはというと、マットの肩に巻き付いたまま、のんびりと舌を出し入れしている。毒蜘蛛の毒を吸い出した張本人とは思えないほど落ち着いた様子だった。


 ギルドに到着すると、ロイドはそのまま研究室へと駆け込んだ。


 数分後。


 建物の奥から、研究者たちがぞろぞろと現れる。


 白衣の男、眼鏡の女、髪を振り乱した老人まで混ざっている。


「どこだ!」「新種だって?」「見せてくれ!」


 一瞬でマットたちは取り囲まれた。


「ちょっと落ち着いてください!」


 ロイドが慌てて声を上げる。


「まずは鑑定水晶で確認します!」


 机の上に透明な水晶が置かれる。


 アミノがその前に下ろされると、研究者たちは固唾を呑んで見守った。


 ロイドが水晶に手を触れる。


 淡い光が水晶の中に広がった。


 次の瞬間、文字が浮かび上がる。


――――――――――


アミノ


種族:シンビオートヴァイパー レベル:36


生命力:154 魔力量:286

筋力:66 耐久:108

敏捷:184 器用:158 精神:261


適性

・電撃魔法:A+

・感知:A

・毒耐性:B


固有技能

・電磁探知

・振動感知

・雷牙

・電撃放出

・共生強化

・毒吸収


称号

・共にある蛇


――――――――――


 研究室が静まり返った。


 次の瞬間。


「シンビオートヴァイパーだと!?」


 研究者の一人が叫んだ。


「聞いたことがないぞ!」「図鑑を持ってこい!」「いや、どの図鑑にも載ってない!」


 研究室は一気に騒然となった。


 棚から分厚い図鑑が何冊も引き抜かれ、机の上に積み上げられる。ページが乱暴にめくられ、誰もが必死に該当する種族を探し始めた。


 しかし。


「……ない」


 誰かが呟いた。


「どこにも載ってない」


 その言葉で、研究者たちは一斉に顔を見合わせる。


 そして。


「新種だ!」


 歓声が上がった。


「完全な新種だ!」「観測例なし!」「論文になるぞ!」


 研究者たちは一斉にアミノへ群がる。


 だが。


 当のアミノは、研究室の窓辺に置かれた机の上で丸くなり、のんびりと日向ぼっこをしていた。


 普段なら人前に姿を現すことすら珍しいとされるウィッチバイパー系統の蛇が、十人以上の研究者に囲まれてもまったく動じていない。


 舌をぺろりと出し、むしろ心地よさそうに目を細めている。


「……特性どこ行ったの」


 リーリヤがぽつりと呟いた。


 その後、マットたちはギルドの応接室へと移された。


 森での出来事を正式に報告するためだ。


 机の向こう側で、イレーネが腕を組んで話を聞いている。


 ベノムスパイダーの群れ、奇襲、毒、そしてアミノの進化。


 すべての報告が終わると、彼女はゆっくりと天井を見上げた。


「……やっぱりこうなるのね」


 深いため息。


 リーリヤが気まずそうに目を伏せる。


「うちの弟がすみません」


「ああ、いいのよ。気にしないで」


 イレーネは手をひらひら振った。


「研究者連中がはしゃいでるだけなら、まだ可愛いもんだから」


「……はい」


 リーリヤは小さく頷く。


 一方。


 当のマットはというと、椅子の背もたれに体を預けながら、どこか他人事のような顔をしていた。


 それを見て、リーリヤの眉がぴくりと動く。


「マット」


「ん?」


「ちょっとは申し訳なさそうにしなさい」


 マットは肩をすくめる。


「姉さん、だんだん母さんに似てきたね」


 一瞬、沈黙。


 リーリヤはゆっくりと息を吐いた。


「……やっとお母さんの気持ちが分かるようになったのよ」


 その言葉に、マットは思わず苦笑するのだった。



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