表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッスル・ストロンガー・ザン・マジック ~回復魔法と筋トレの相乗効果で究極の筋肉を手に入れよう~  作者: tomato.nit
第一章 少年編 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/130

第53話 魔術学院という名の実験場 【挿絵付き】


 魔法都市の中心部に建つ魔術学院は、古い石造りの建物と新しい研究棟が入り混じる、いかにも学問の街らしい空気を漂わせていた。高い塔の窓からは魔力の灯りが漏れ、庭では学生たちが魔法陣の練習をしている。普通であれば、秩序ある知の殿堂と呼ばれる場所だろう。


 ただし。


 その秩序は、必ずしも全ての学生に当てはまるわけではない。


 研究棟の一角。


 実験室の床には焦げ跡が広がり、机の上には解体された魔道具が積み上がっていた。ガラス瓶の中では謎の液体が泡立ち、窓際では未完成の魔法陣が何枚も重ねて描かれている。


「……これ、学院の備品よね?」


 アルエが呆れた声で言った。


 その視線の先では、リーリヤが魔力計測器を分解している。


「備品ね」


「壊していいの?」


「壊してないわ。構造を理解しているだけ」


 カチリ、と小さな音がして、装置の内部が完全に開いた。


 リーリヤは中を覗き込み、興味深そうに頷く。


「なるほど。魔力を測るというより、魔力の流れを平均化して数値化しているだけね」


「それ、分解して分かることなの?」


「分かるわよ」


 リーリヤはさらりと言う。


「だって単純だもの」


 アルエは天井を見上げた。


 学院の教授たちが聞いたら卒倒しそうな発言である。


 実際、二人が学院に来てから数週間。


 すでにいくつかの授業が軽く混乱していた。


 理由は単純だ。


 リーリヤが質問をすると、教授が答えに詰まるのである。


 それも一度や二度ではない。


「魔法理論の授業、覚えてる?」


 アルエが言った。


「覚えてるわ」


「“魔力は術式によって安定する”って話」


「ええ」


「そのあと、あなたが」


 アルエは少しだけ笑う。


「“安定しているのではなく、逃げ場が無いだけでは?”って聞いたのよね」


 リーリヤは肩をすくめた。


「事実でしょう」


 その質問の後、教授はしばらく黙り込んだ。


 そして次の授業から、その部分の説明が微妙に変わっていた。


 アルエは机の端に腰を掛ける。


「ねえ」


「何?」


「ここ、普通の学生には難しい場所よね」


「そうね」


「でもあなた、楽しそう」


 リーリヤは分解した装置を軽く組み直しながら答えた。


「当然でしょう」


 ぱちり、と装置が元の形に戻る。


「ここは魔法を研究する場所よ」


 リーリヤの目が、ほんの少しだけ輝く。


「つまり、実験していい場所」


 アルエは苦笑した。


「教授が聞いたら怒るわよ」


「聞かなければ問題ないわ」


 その時。


 実験室の奥で、描きかけの魔法陣が微かに光った。


 アルエが眉を上げる。


「……それ、何の魔法陣?」


 リーリヤは振り向かずに答える。


「まだ決めてない」


「決めてない?」


「とりあえず魔力を流してみて、面白い反応が出たら考える」


挿絵(By みてみん)


 アルエは数秒黙り。


 静かに言った。


「学院が爆発する未来が見えるんだけど」


「大丈夫よ」


 リーリヤは魔力を指先に集める。


「爆発したら、次はもっと上手くやる」


 そして。


 魔力が魔法陣に流れ込んだ。


 次の瞬間。


 研究棟の窓から、強い光が漏れた。


 学院の庭で魔法練習をしていた学生たちが、一斉に顔を上げる。


「……またか」


 誰かが呟いた。


 最近、研究棟から謎の光が漏れることが増えている。


 原因は大体、同じ二人だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ