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RAISE FLAG  作者: 江戸悠然
第二章 始動
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『第十一話 初装着』

◇    ◇    ◇  



◇イーストメトロポリス・街外れの鉄工場・倉庫


自己紹介を済ませたタイガ達は鍛冶師の娘であるミズキからE-GEARを譲り受けるため鉄工場の奥にある倉庫に足を運ぶ。

倉庫の中には鉄工場で生産された様々なE-GEARが大量に陳列保管されており、その奥には作られたE-GEARの性能テストが行えるような設備が整っていた。


 「スゲェー!めちゃめちゃたくさんあるじゃんかッ!」


 「そうね!私の作品だけでも100は超えるかしら!」


 「100!?ネエちゃんスゲェ奴だったんだなッ!!」


ワクワクしながら目を輝かせるセイヤに対し、ミズキが誇らしげにそう答える。煌びやかに映る大量のE-GEARに一同の心は奪われていた。


 「にしても、親父さんは大丈夫なのか?」


タイガはE-GEARを引き渡すことに難色をしめした父親の手前、その娘からE-GEARを譲り受けることに気まずさを感じていた。


 「お父さんなら大丈夫よ。私の言うことなら何でもきいてくれるわ!」


どうやら頑固では強面な顔面からは想像できない程の親バカらしく、愛娘の頼みは断れないみたいだ。


 「じゃぁ早速だけど、ちょっと体をさわらせてもらうわね」


ミズキはそう言うとおもむろにタイガ、セイヤ、ジン、ゴウの体を順番に触りはじめた。それぞれの特性にあったE-GEARを見繕うため、筋肉の質や骨格などを調べていたのだ。若い娘に体を触れられ、ジン以外のメンバーが気恥ずかしそうにしていると、一通り調べ終わったミズキが口を開く。


 「まず炎堂タイガ、あなたは全体的にバランスの良い体で、スタミナと腕力がありそうね、鉄塊を破壊し続けるフィールド『ストロングジャングル』のフラッガーが合ってるわ」


 「次に雷鵬セイヤ、あなたは小柄で軽量な体と跳躍力を生かすべきだわ、何十段もある山を昇り続ける『ハイマウンテン』のフラッガー向きよ」


 「そして氷室ジン、あなたはしなやかなで長い脚に引き締まった筋肉がついていて、足がとても速そうね、迷路のように入り組んで長い『スピードラビリンス』のフラッガー向きね」


 「最後に土橋ゴウ、あなたはとにかく体が硬くて頑丈ね、その耐久力を生かして、最終防衛ラインで敵の攻撃を死守する『ガードグリフ』のガーディアン向き」


少し体を触っただけで四人の特性をピタリと言い当てる彼女に一同から感嘆の声が漏れる。


「こう見るとすごくバランスのいいメンバーね。これなら期待できそうだわ!ちょっと待ってて!」


そう言うとミズキは倉庫の奥から試作品のE-GEARを四種類持ち出す。持ち運ばれてきたE-GEARに目を輝かせた面々が我先にと群がると、タイガは右腕用の真っ赤なE-GEARを、セイヤは右脚用の黄色いE-GEARを、ジンは両足用の青いE-GEAを、ゴウは全身用の茶色のE-GEARを装着した。


 「イケてるじゃねーかヨ!!」


 「これが俺のE-GEARかッ!」


 「ふむ……悪くない……!」


 「中々様になってんじゃねぇか?」


早速身に着けたE-GEARのフィット感にそれぞれ手応えを感じる。


 「にしてもオッサンのE-GEARだけ全身装備ってズルくね?」


一人だけ全身用になっているゴウのE-GEARにセイヤが気づき、皆の注目が集まった。


 「敵の侵攻を防ぐ言わば最終防衛線であるガーディアン用だからよ。とにかく攻撃を防ぐことを目的にしているから、機動力は無いけど防御範囲が広く設計されているの」


疑問に答えるようにミズキが説明を続ける。


 「E-GEARの稼働にはパワーの起爆剤となるカートリッジ式燃料とは別に”生体エネルギー”が必要になるの。だからE-GEARをつければつけるほどパワーはでるんだけども体力はあっという間になくなっちゃうってわけ。つまり基本的に自陣で待ち構えているガーディアンだからこそ可能な装備とも言えるわね」

 

ただの不良達には少し難しい説明に、理解できたのかできていないのかわからない表情を見せる。


 「簡単に言うとスタミナの無いマッチョって感じね。百聞は一見に如かず、奥で早速試してみましょう」


そう言うとミズキに案内された奥の部屋でそれぞれ装着したE-GEARの機能テストすることになる。カートリッジ式の燃料を手渡されたタイガは分厚い鉄板の前に立たされると、伸ばした右手の裏側に弾を詰めるように燃料を装填した。するとE-GEARの内部にある車輪が回りはじめ、力を入れると車輪の速度がギュイーンと上がるのが感じ取れた。


 「殴ってみて」


ミズキにそう促されると鉄板の前に立つタイガは構えをとる。この硬そうな鉄の板を殴って本当に大丈夫なのかと半信半疑ではあったが、思い切って拳を振りぬくことを決心した。


 「オラッ!!」


バゴォォォンン


凄まじい衝撃音と共に目の前の鉄板は見事に粉砕された。そのあまりの威力に驚きを隠しきれないタイガは思わず口から感動の言葉がこぼれる。


 「す、すげぇ……!!」


それに続くように性能テストをするセイヤは地面から2m程は飛び上がり、ジンは50mを5秒で走り切るほどのスピードで駆け抜け、ゴウは200キロはあるであろう鉄球を片手で受け止めた。これなら闘える!各々がそう確信し手応えを感じると、鼻高々なミズキが嬉しそうに喋り始めた。

 

 「どう?すごいでしょ?……ただ調子に乗ってバンバン使ってると燃料も体力もすぐに無くなっちゃうから気を付けること!」


母親のように言い聞かせるミズキに頷く一同。


 「じゃぁ次はE-GEAR最大の見せ場、ギア・アクセラレーションのテストをしましょう――」


E-GEARの機能やRAISE FLAGの競技ルール・戦術についてなど、熱くなったミズキの説明は明け方まで続いた。

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